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秋深まる明治神宮の杜で、現代アートに酔いしれる休日を〜「紫幹翠葉ー百年の杜のアート」展〜

<このnoteはコンシェルジュの田中水美が書いています>

4連休はGoToで旅に出る方も多いかもしれません。
9月に入り、YourConciergeには旅のご相談が多く寄せられるようになりました。
さて、とPCに向かい、お客様からの依頼に沿った
落ち着けそうなお宿を検索し始めると・・・

!!・・・満室?!

箱根や伊豆の都内からアクセスの良い温泉地は、ほぼ予約でいっぱい。
(すでに車で旅行予定の方は、渋滞覚悟で出かけられた方が
 良さそうです・・・。)
東京都民はまだGoToの恩恵は受けていないはずなのに、
温泉宿は大盛況。
みなさん本当に心のリフレッシュ、「心身の伸び」を求めているんだな〜と実感します。

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予定を立てそびれた方。
連休の混雑は避け、都内でのんびり過ごしてみようと
最初から旅の予定のない方。

東京にいても心の伸びを感じられ、
緑と清々しい空気と感動に洗われる、アート展をご紹介します。

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明治神宮鎮座100年を祝う祝祭行事として現在、明治神宮ミュージアムで開催中の「紫幹翠葉ー百年の杜のアート」展

昨年10月に開館したばかりの美しいミュージアムの入り口で私たちを出迎えてくれたのは、名和晃平「White Deer <Meiji Jingu>(2020)

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瀬戸内海の犬島や、宮城・石巻の牡鹿半島で展示されてきたシリーズの最新作で全身ブロンズ製。
神宮という場所にマッチする白く神秘的な輝きはホワイトパール。

私たちコンシェルジュに丁寧に作品の解説をしてくださった、
本展のアーティスティック・ディレクター山口裕美さんからは、
名和さんがこの作品を作られた制作動機について、
コロナで世界全体が不安であったり、苦しんだりしている状況のなかで前向きな気持になれるような良い「気」を運んでほしいという想いと、東日本大震災で被害を受けた石巻と神宮をつなぎ、被災地のことも忘れないでほしいという想いを鹿に込めた、というお話を伺いました。

このWhite Deerと同じく「神宮の杜芸術祝祭」のイベントのひとつ、野外彫刻展「天空海闊(てんくうかいかつ)」の作品として、
JR原宿駅に近い南参道鳥居から境内に入り、
ミュージアムへつづく参道の途中にあるのが、こちら。

松山智一「Wheels of Fortune (2020)

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鹿の角と車のホイール、ふたつのモチーフを組み合わせた作品。
辺りの景色を写し込む鏡面仕上げのステンレスは、
厳かな鎮守の杜と斬新なアートが出会い、あたかも
その一角を異次元への入り口に変えたかのよう。

整然と敷き詰められた砂利を踏みしめ明治神宮境内に入ると、
急に気温がグッと下がるほどマイナスイオンに包まれた木立の中で
まずは度肝を抜かれる彫刻です。


借景の美がさらに作品を美しく。

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「紫幹翠葉ー百年の杜のアート」の会場となっているのが、
昨年10月にオープンした、明治神宮ミュージアム。
設計は隈研吾氏。
ガラス張りの館内は、森の中を歩いているかのような錯覚に誘う、借景の美を追求した空間です。

鎮守の杜は神社には珍しく針葉樹ではなく広葉樹の杜ですが、
それは、創建の際に荒地だったこの辺りの造営にあたり、本多静六、本郷高徳、上原敬二ら林学の専門家たちが、何を植えたら「永遠の杜」になるかを考え、椎・樫・楠などの照葉樹を主な構成木となるようにあえて広葉樹を全国から集めた先見の明ゆえ。
当時の内閣総理大臣だった大隈重信の反対を押し切って、豊かな杜が
彼らの願い通りに育っています。

日本古来の美と現代アートの融合

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こちらは、品川亮の「菖蒲田図屏風」
金箔の屏風に描かれている菖蒲の花の部分は、鮮やかなアクリル絵具。
日本画の手法と合体させ、気品溢れる作品となっているこの屏風は
背景の青緑の木々を額縁にして、さらに華やかにして荘厳。
入ってすぐの場所にあるこの作品は、一気にこのアート展の世界へと
来場者の感性を飛躍させます。

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こちらの軸は、川久保ジョイの「メディウム#14」。
軸の絵は、実は写真です。

伊豆半島西部から富士山を遠望する静かな海を撮影、それを絵の雰囲気、
作者の思いをさらに昇華させる軸装に仕立てた、美しい一点。
軸先はガラス。

この他にも、ミヤマケイ、平川恒太、ナマイザワクリス、椿昇、町田久美など現代アート作家40人の作品が展示されています。
それぞれが独自の発想で明治神宮や100年かけて豊かに育った鎮守の杜に思いを寄せ、情熱溢れる作品を制作。屏風、掛け軸、衝立(絵画)、扇面といった日本古来の様式と見事に溶け合い、心奪われる作品となっています。

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秋は、四季の移り変わりに敏感な我々日本人にとって、
心の琴線に触れる季節。
万葉集の中で一番多いのは秋を詠った歌、そして最も多く登場するのは「萩」、約140首に出てくるそうです。

3密を避け、緑豊かな広大な神宮の杜に抱かれ自然とアートを体感できる「紫幹翠葉ー百年の杜のアート」展。
鰯雲と虫の声を愛でながら細胞の隅々まで秋色に染まるひとときを、
過ごしてみてはいかがでしょう。
コンシェルジュからのお勧めです。

お出掛けが難しい方は、Google Arts & Cultureを使ったデジタル鑑賞をどうぞ。



【「紫幹翠葉ー百年の杜のアート」INFORMATION】
会期:2020年7月10日(金)〜9月27日(日)
休館日:毎週木曜日
時間:10:00〜16:30 ※最終入館は閉館時間の30分前まで
会場:明治神宮ミュージアム
入場無料 ※別途、明治神宮ミュージアムの入館料1,000円が必要です
芸術監督:山口裕美
Web: https://jingu-artfest.jp
*4人のアーティストが神宮の杜各所に立体作品を展示する野外彫刻展「「天空海闊(てんくうかいかつ)」が同時開催中。



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