コンシェルジュへの依頼から。「鎌倉へ移住したいんですけど・・」
<このnoteは、コーポレート・コンシェルジュの田中水美(みなみ)が書いています。>
コロナウィルスは人のマインドを変えました。
目に見えないウィルスが人類の未来図を塗り替えていく・・。
その脅威は人の欲を抑え、少しだけ私たちを謙虚に変えたかもしれません。
住みたいと思う場所も、都会の中心部から郊外へ。
社会で言われているニュースを反映するかのように、
「鎌倉へ引っ越そうかと思っているんですけど・・」と言う
相談がコンシェルジュに寄せられました。
通勤がマストではなくなり、
リモート環境でも仕事が出来ることを実感する人が増えました。
まだまだウチの会社は、とか
職種的に通勤はあたりまえ、という人の方が全体的には多い現実がありながらも、働く人のマインドは確実に変化してきています。
コンシェルジュに、
「鎌倉あたりに引っ越してみようかと思っているので、住みやすさについて色々教えてください。」という相談が来たのは7月初旬。
「鎌倉が地元」のコンシェルジュが対応
鎌倉は横須賀線で東京まで約50分。
恵比寿・渋谷・新宿へも湘南新宿ラインのおかげで
乗り換えなしで行けます。
私が若い頃は(ちなみに私は昭和39年生まれのコンシェルジュ)
品川で山手線に乗り換えて行っていたことを考えると
とても便利になりました。
海も山もある。
かつて幕府が置かれた古都なので遺跡や神社仏閣も多く、
歴史を感じる場所がそこここにある。
通勤にも便利。
美味しいお店もたくさんある。
いざ、鎌倉へ!
そう計画しているご依頼者へ、鎌倉生まれ鎌倉育ち、
在住56年の私が知る鎌倉について、役立つ土地情報をお届けしました。
お客様は現在、具体的な引越し計画進行中です。
鎌倉と言っても範囲は広い
こちらは大仏から山を上がって鎌倉駅方面や北鎌倉方面へ抜けることができるハイキングコースから見た旧鎌倉市街。
奥に見えるマンションは、逗子マリーナです。
「鎌倉」からイメージされる景色や観光地の多くは、この旧鎌倉を呼ばれる幕府のあった場所(鎌倉駅周辺)や、江ノ電に乗って江ノ島方面へ向かう途中、稲村ヶ崎や七里ヶ浜といったあたり。
そして、鎌倉五山と言われる臨済宗円覚寺派または建長寺派の
寺院が多く集まる北鎌倉駅周辺。この2カ所かと思われます。
しかし。
鎌倉は案外広いです。
そして、東西南北でその雰囲気、景色、住民意識、店、便利さが
全く異なります。
その方の価値観によっても住みたい地域が全く異なってくる、
それが鎌倉です。
当然ながら、海に歩いていけて、鎌倉駅にも近くて、平坦で車の入れる旧鎌倉地域の中でも希少価値的なこんな場所に余っている土地は少なく、
お値段もお高め。
「駅から不便ではあるが環境はいいところ」なら、選択肢多め。
最寄駅が大船になると、市内でありながら戸塚に近い場所が多くなります。
鎌倉生活に何を求めるか。
家族構成はどうか。
生涯にわたって住み続けられることを第一とするか。
あとあと売買することも視野に入れての引っ越しか。
自分の「したい!」を明確にしてから家探しをすることがポイントです。
北鎌倉地域
俗世間から離れた静かな地域。
北鎌倉の魅力を一言で言うなら、そんな場所です。
北鎌倉駅周辺に広がる山ノ内(かなり広いエリア)が人気のエリアで
私の生まれたところです。
今では旧家が売買され土地の分割によって家が増え、低層マンションもできて、私が生まれた昭和30年代から40年代と比べると風景はだんだん変わりつつありますが、それでもよその都市と比べると、
その変貌の振り幅は非常に小さく、まだまだ近代的とは言い難い
昭和の趣を色濃く残すエリアです。
何と言っても、建長寺(鎌倉五山第一位)に代表される臨済宗の寺が集まっており、禅宗の雰囲気が街全体に溢れています。
建長寺、円覚寺、東慶寺、浄智寺。
歩いて行ける範囲に大きな寺があり、日曜座禅なども行われています。
修行僧たちが街中の家を一軒一軒訪れて経を唱える「托鉢」が行われていて、子どもの頃は月初めになると門の前から聞こえてくるお経に耳を澄まし、「来た来た!」と言って母から100円玉をもらって修行僧が首から下げる前掛けのような袋にお金を入れ、
一緒に手を合わせていたことを今でも思い出します。
近年ようやく一軒のパン屋さんが駅前にできましたが、
平成になっても長らく、パン屋なし、ケーキ屋なし(令和の今もありません。)、本屋なし、銀行なし(ATMができたのみ)。
もちろん、ネットカフェだのパチンコ店だの深夜営業の店だのは
全く今もありません。今後もできることはないでしょう。
スーパーも大船寄りに一軒のみ。
金遣いの荒い人、新しいものが発売されると買わずにはいられない人が
ちょっと自分の生き方を見直したいと思ったら、
北鎌倉に移住されるといいかもしれません。
不自由さを新鮮に感じられると思います。
小さい頃は魚屋も八百屋も酒屋も御用聞き。
豆腐屋も売りに来るのを買っていました。
高見順、小倉遊亀、前田青邨など文人や画家が好んだこの街は、
風呂上がりに着物を着て縁側で団扇をあおぎながら虫の声を聞く・・・。
そんな暮らしを好む方向き。
素朴な昔ながらの風情に憧れて移住する夫婦や家族が増え、
古民家カフェやフレンチレストランなどが谷戸の緑の中に
ポツリポツリと出現中です。
そうそう、安倍晴明碑(陰陽師として有名な安倍晴明)も
ひっそりと山ノ内の八雲神社に残されています。
冒頭の写真は、そんな北鎌倉地域の山はずれにある、
今でも桃源郷のような里山の風景を残す場所。
どこか知りたい方は、コメントください。
ドラマと映画の舞台、海沿いの街
写真は大潮の日の午前中。
まだ海の家が立ち始める前、初夏の由比ヶ浜海岸です。
海の美しさを堪能したくて、津波の危険と隣り合わせであっても
海沿いに住むことを選択する人は少なくありません。
観光客のいない季節、朝早い時間や夕暮れ時。
人のまばらな海岸は日によっては透明度が高く、
砂浜への漂着物がほとんど無い日もあり、
鎌倉の海岸とは思えないほど素晴らしい時を体験できます。
何と言っても最高のタイミングは満月と新月の前後、大潮の干潮時。
一気に海が沖へ移動、写真のように広〜いビーチが現れます。
冬の時期は薄ピンクの小さな桜貝をたくさん見つけることができ、
夏が近くなると、キンセンガニ(金線蟹、金銭蟹)と言われる
大きなカニも現れ、歓声を上げること請け合いです。
ウェルネスという観点からも、海辺はストレスの解放に最適。
コロナ禍で外出が制限され、リモート漬けの日々が続いた緊急事態宣言下、
朝の海辺の散歩が心の不安を軽くし、脳をリラックスさせてくれました。
溜まった「心のオリ」を波音と潮風が洗い流してくれるよう。
鎌倉駅近辺では、由比ヶ浜、長谷、笹目、坂ノ下、材木座、極楽寺あたりに住むと、こうした日常生活を満喫できます。
「海街daiary」「最後から二番目の恋」「DESTINY鎌倉ものがたり」など
ドラマや映画も海沿いの街が舞台です。
ブーランジェリー、ベーグル、オーガニックのパン屋さんなど
パン系のお店と美食家も唸るイタリアンの名店が多いのも、この辺り。
最近はお子さんのいる若い世代が東京から移住してきて活気が出ました。
ハロウィーンや夏祭り、露店やフリマが神社の境内に立つ「長谷の市」など新しい風物詩も目白押しですが、今年はコロナの影響で楽しむことができないのが残念!
敷居が高い?
コンシェルジュへいただいたご相談には、
「鎌倉は敷居が高いイメージですが、住民の方と馴染めることができるでしょうか。」という心配が書かれていました。
最近は都心から引っ越されてきた若い家族も多く、
鎌倉は古さと新しさがミックスされてきています。
元来のんびりとした土地柄ではありますが、昔から代々鎌倉に住んでいる高齢者の中には、少し気難しい人、令和の時代の生き方へ
アップデートされていない人もいます。
しかしこれは、鎌倉という土地に限ったことではないでしょう。
特別な敷居の高さ、暗黙のルールのようなものの存在を気にして
引っ越してくるのをためらうことはないと思います。
まずは、地元の不動産屋さんへ。
小旅行を兼ねて、おうち巡りをしてみるのがお勧めです。
夕暮れの空の美しさに、都心へ帰るのが嫌になったら
引っ越しを本格的に考えてみてもいいかもしれません。