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日本独自のDIYバイオ潮流、「なまものづくり」とは?

(サムネ画像元:https://shojinmeat.com/?page_id=436&lang=enより)


DIYバイオは、望みの生物を自在に作り出す「合成生物学」の技術を一般に広く解放する目的を持っています。

アメリカを中心とした欧米のDIYバイオは、DNAを解読したり設計したりすることで、生物を自在に操り、望みの生物を作り出そうとしています。

一方で、日本では海外とは別に、別のアプローチでDIYバイオを行っています。

今回は、日本でのDIYバイオの紹介と海外との違い、そしてそれぞれがどのように関わってくるのかの違いについて紹介していきたいと思います!

なお、本記事の内容はあくまで筆者の考えにすぎないので、その点を踏まえた上で見ていただけると幸いです。


まず、海外のDIYバイオはどうなってる?

初めに、海外でのDIYバイオはどのように広まっているのかについて紹介します。

先ほども書いた通り、海外では、CRISPER Cas9などを用いて生物の遺伝子を編集し、望みの生物を作り出す「遺伝子工学」が中心的なアプローチになっています。

「市民が自ら生物を創る」ということからカルチャー性が高く、故にアートとの関連性が高いです。

日本でもその潮流はあり、渋谷のFabCafe MTRLにある「BioClub Tokyo」はその中心的なコミュニティとなっています。

Shojinmeat Projectによる「なまものづくり」の潮流

一方で、日本で生まれたDIYバイオコミュニティのうち有名なものとして、「Shojinmeat Project」と呼ばれる団体があります。

https://docs.google.com/presentation/d/1GdPpChAp8IoJSOkkGyeMR5mmOTCcBV0Fbn4mLiEiokA/edit

「Shojinmeat Project」は「細胞培養技術の民主化」を掲げ、細胞培養技術のオープンソース化を進めています。

バーチャルではDiscordコミュニティ内や週1のミーティングで、リアルでは先ほどのBioClub Tokyoや同じく渋谷にあるインキュベーション施設「100banch」などでさまざまなメンバーが、各自で活動を行っています。

活動の結果は同人誌にまとめられ、コミケ(コミックマーケット)や技術書典などの即売会で販売しています。

そんなShojinmeat Projectが目指しているのは「なまものづくり」。

https://www.slideshare.net/slideshow/diy-180201635/180201635

↑細胞培養技術の民主化が進むと、さまざまなテーマで細胞培養実験が可能になります。

https://www.slideshare.net/slideshow/diy-180201635/180201635

↑やがて、生体組織や臓器をDIYする市民も現れるようになっていきます。


すると、倫理観などの問題を差し置けば、生物もDIYできるようになります

↓某電気ネズミを飼いたければ、電気ネズミの要素が得られるように遺伝子を取ってきて、それをレゴのように組み立てることで望みの生物を作り出し、それを人工子宮で作り出せばいい、というわけです。

https://www.slideshare.net/slideshow/diy-180201635/180201635

お察しの方もいると思いますが、Shojinmeat Projectは、細胞培養の技術というアプローチをすることで、望みの生物を作り出す、という合成生物学的な目標に向かっています。

海外は遺伝子工学的なアプローチで、日本は細胞培養のアプローチで合成生物学の目標に向かっている、というわけです。

欧米流と日本流の関係性

一見別に見える欧米流と日本流のDIYバイオですが、実は相互に密接に関わっています。

自分で新しい生体組織や生体組織を作る際、そのような組織を形作るようにDNAをプログラムする必要があります。

また、その組織を形作る細胞も、それぞれの細胞を組織のそれぞれの場所に適した細胞に変化(分化)させる必要があり、その際に遺伝子操作が必要になります。

欧米流DIYバイオは、微生物や植物など、限られた生物の遺伝子改変が主流でしたが、日本式DIYバイオと組み合わせれば、さまざまな組織や臓器を作り出せるようになるでしょう。

おわりに

いかがだったでしょうか。

今回は、日本でのDIYバイオの潮流について解説しました。

ここまでで書いた通り、日本の「なまものづくり」と、欧米の「DIY遺伝子工学」は、どちらも合成生物学に密接に関わっています。

どちらの潮流も、仲良く発展していって欲しいと願うばかりです。

参考文献


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