スプリングステークス 2021【予想】
皐月賞トライアル最終戦で、昨年こそ超スローペースになったが、本来はクラシックに望みをつないでいるマイラーも集まることで締まった流れになりやすく、それでいて持続力戦になることから距離延長馬がスピードを活かして好走することも少なくないレース。
ただ、今年は昨日から降る雨の影響で不良馬場にまでなりそうで、スタミナへの比重が大きいと想定。
①ランドオブリバティ(⋯)
暮れのホープフルステークスで見せた大逸走→競走中止から問題児扱いされているが、当時のレース後に鹿戸調教師は幼さがあることは認めながらも、『調教では一度もなかった』と話しており、デビューからのGⅠ連敗を「93」に伸ばした三浦騎手の鞍上からの緊張が影響したと考えている。
元々は社台ファームの吉田照哉代表がデビュー前から「今年のディープインパクト産駒の牡馬No.1。超大物かも知れない」と期待されていた馬で、2戦目の芙蓉ステークスでは3馬身半差をつけて無傷の2連勝を飾った実力の持ち主。
口向きを矯正するジェーンビットというハミに替えることで対応して臨んだ前走のきさらぎ賞はスタートで挟まれて後方からの競馬になったが、安全運転に終始したこともあって3着となり、賞金加算には失敗。
トライアルへの出走を余儀なくされることになった。
一度はデムーロ騎手への乗り替わりが発表されながらも騎乗停止によりチャンスが巡ってきた三浦騎手にとっては何より結果が欲しい背水の一戦になるが、不良馬場でアタマ差の接戦だったデビュー戦から、良馬場替わりの2戦目での3馬身半差の完勝、中京のタフな特殊馬場だった前走での伸び方を考えれば軽い馬場向きの印象もあり、そのポテンシャルをフルに発揮するまでのハードルは低くはないように思う。
②ワールドリバイバル(△)
デビュー戦は夏の小倉2000m。まだ走りが幼い中で後方からメンバー4位の上がりで0秒4差の3着に好走すると、中1週で臨んだ次走の中京2000mを2番手から押し切って勝ち上がり。
秋の萩ステークス→黄菊賞はいずれもレース上がりが34秒5を切る瞬発力戦に対応できずに連続してシンガリ負けを喫したが、3か月ぶりとなった前走のあすなろ賞ではペースが遅いと見るや果敢に先頭を奪いに行く積極策に出ると、自ら4F持続力戦に持ち込んで逃げ切ってみせた。
道悪の適性は未知数だが、500kgを超える雄大な馬格にスローペースから上がりの掛かる持続力戦になるなら好都合。10番人気の伏兵なら一発に期待したい。
③ヴィゴーレ(△)
まだ準備が整っていない段階だった初夏の阪神でのデビュー戦は7着に大敗したが、2か月後の札幌では4角で外に膨れ気味になりながらも最速上がりで差し切って変わり身を見せた。
重賞初挑戦となった札幌2歳ステークスは後方から勝負処で5番手までマクる積極策も0秒7差の6着。
続く芙蓉ステークスでは最速上がりこそ記録したが、前との差を詰めるまでには至らず0秒6差の4着。
勝った①ランドオブリバティには完敗の形も、2着馬とはクビ+アタマ差でオープンクラスでも戦える目処は立てたレースだった。
2か月後の葉牡丹賞は8kg増えた馬体にパワーアップも期待されたが、スタートこそ改善されて3番手から運べたものの伸びを欠いて3着死守がやっと。
続くGⅠホープフルステークスは4角で前がごちゃついた際にブレーキをかける形になったことも響いて9着大敗を喫したが、これは参考外と見ていい。
2か月の休養を経た前走のつばき賞は中団から直線でイン突きを選択すると、鋭く伸びて快勝。
これがキャリア7戦目であったが、レースの上がりが35秒を切る瞬発力戦は新馬戦以来で実質初めてで、自身はメンバー最速の33秒4。
馬体も12kg増と、デビューからだと約20kg増やして冬を越してのパワーアップと見たい。
一転して今回はタフな不良馬場での中山1800m。ピッチ走法だけにパワーアップした今なら十分に対応できるはずで、一杯に追った最終追い切りに−8kgは渾身の勝負仕上げと見る。
④ヴェイルネビュラ(⋯)
デビューは夏の新潟1800m。
最内枠を活かして好位グループの内をロスなく追走すると、直線でもジワジワ伸びてエンジンがかかったラスト1Fでしっかり抜け出した。
約3か月の休養を経て挑んだ百日草特別は、2戦目だったことでテンションも上がった状態で向正面では頭を上げる場面も。0秒6差の5着は2000mの距離も少なからず響いたかも知れない。
成長を促すために再び放牧に出されて、約2か月ぶりとなった前走のジュニアカップで10kg増。
中団から勝負処で外を回ってポジションを上げると直線でも渋太く伸びての勝利。
母リングネブラも冬の小倉を得意にしていた馬力型で瞬発力戦よりは持続力戦が合うはずだが、道悪となると未知数であり、前走は⑫ビゾンテノブファロと0秒2差であることを考えると相手が弱かった可能性も。
良馬場なら1600m経験を買って狙いたかったが、今回の馬場では厳しいと見る。
⑤レインフロムヘヴン(⋯)
デビュー戦は新馬戦特有のスローペースに持って行かれ気味にセブンシーズと併走する形。直線ではそのセブンシーズとの一騎打ちを制して初陣を飾った。
連勝を狙った百日草特別では出遅れて最後方からの競馬になったが、1000m通過63秒4のスローペースもあって馬群に取り付くと3〜4角では外から3番手まで捲る積極的なレース。
直線での負い比べではエフフォーリアに伸び負けて2着に敗れたが、勝負処で脚を使った分を考えれば負けて強しの内容だったように思う。
3戦目で東京スポーツ杯2歳ステークスに挑戦したが、1800mへの距離短縮もチークピーシーズからブリンカーに戻したことが裏目に出たのか、テンションが上がってハミを噛んだまま逃げる形に8着大敗。
デビューから中3週→中1週での強行軍もいくらか影響があったかも知れない。
東京開催まで待って約3か月ぶりとなった前走のフリージア賞は、チークピーシーズ着用の効果と気性面の成長も見られるマイペースの逃げ切り。
今回は前に行きたい馬も多く、自分のペースで走れるかは怪しく後続に飲まれる可能性を考えたい。
⑥アサマノイタズラ(△)
中山1800mで迎えたデビュー戦は、ディオスバリエンテ、ボーデンの2頭にこそ4馬身離されたが、2番手から運ぶ積極策で3着は死守。
1F距離を延ばした次走の中山で好位から最速上がりで抜け出して4馬身差をつける圧勝。
デビュー3戦目となった前走の水仙賞は、1Fの距離延長にも折り合って中団の内から運んだものの、勝負処から包まれ通し。ラスト1Fを切って伸びを見せたが、消化不良で参考外の一戦といっても良い。
クラシックに向けてラストチャンスとなるトライアルで500kgを超えるパワータイプと見て、8番人気の伏兵なら激走を期待したい。
⑦ニシノオイカゼ(⋯)
2月の東京1600mでの新馬戦は外からハナに立って、1000m通過62秒7→上がり34秒4 のスローペースに落として逃げ切り勝ち。
陣営から「少し攻め不足」との懸念があった中で、最後の叩き合いを差し返した勝負根性は評価できるが、4角を1〜3番手で通過した3頭がそのまま入線してしまう「行った行った」のレースで展開の恩恵があったことは否定できない。
⑧オンザライン(⋯)
挫跖の影響から1週延ばされたデビュー戦は東京の芝1800m。ほぼ最後方からメンバー3位となる上がりで追い上げたが、1000m通過64秒1→上がり3F34秒2のスローペースで行った行ったの決着。0秒5差の7着までが精一杯だった。
2戦目は脚元を気にしたのか中山のダート1800m。外めの枠だったが、向正面で上手く内に潜って3~4角を2番手でロスなく回る横山武騎手の好騎乗もあって、勝ち上がりを決めた。
大和田調教師は「もともと軽い走りをする馬で、本来は芝向き」と話しており、実際にデビュー戦では33秒台の上がりを使っているように芝での好走は難しくはないと思うが、それが皐月賞の優先出走権確保を目指す馬が集まったGⅡでは簡単ではないように思う。
⑨ロードトゥフェイム(◎)
中山のデビュー戦は外から来られた勝負処で外に持ち出すまでに手間取るロスがあって、7番手まで位置を下げられて直線を向く形。エンジンがかかったラスト1Fで懸命に差を詰めたが3着までだった。
2戦目は東京1800m。最内枠から行き脚がつかずに後方~中団のインで立ち回って、直線でも内から脚を伸ばしたものの0秒4差の8着。
上がり3Fはメンバー2位の記録だったが、目立った伸びには映らず、尾形調教師が「右回りの方がいい」と話したように本来の走りではなかったかも知れない。
中山開催を待ってひと息入れた3戦目は10kg馬体増。後方〜中団からの競馬で、ペースが上がる勝負処から大外を回って直線早めに抜け出すと3馬身差をつけて完勝してみせた。
続く前走の若竹賞も8頭立ての少頭数ながら後方7番手をじっくり追走。勝負処から大外をぶん回すスタイルで直線でも最後まで伸びて連勝を飾った。
この連勝はいずれも上がり3Fで次位にそれぞれ0秒8差→0秒7差をつけており、特に前走は不良馬場でレース上がりが37秒を超えるタフなレース。
タフな中山に対する高い適性を感じさせており、前走後は得意のこの条件まで待機。
雨で不良馬場が確実視される中、前に行きたい馬も複数いるように、ペースが流れれば連勝時と同様のタフなレースが期待できそうで、所有する岡田牧雄氏にとっては先日亡くなられた兄に捧げる勝利となるかも知れない。思った以上に人気しているが期待。
⑩ボーデン(○)
デビュー戦は暮れの中山1800m。ディオスバリエンテを外からマークする形の好位5番手追走から、勝負処で先に動いて抜け出したが、最後に内から前にクビ差だけ出られて2着。
圧巻だったのは2戦目に選んだ東京1800mで、好スタートから好位5番手外を追走する形で直線に向くと、残り400mを切って先頭に立ってから6馬身差の独走。
勝ち時計の1分45秒2は翌日のセントポーリア賞や古馬2勝クラスより当然速く、同日のリステッドレース白富士ステークスの勝ち時計1分59秒0から最も遅い1Fラップ12秒6を引いた1分46秒4と比較しても1秒以上も速い。秋開催のGⅡ毎日王冠で過去10年この1分45秒2より速く決着した年は3度だけ。
川田騎手に「勝ち馬が強かった」と言わしめたディオスバリエンテが共同通信杯で敗れているが、未勝利戦で6馬身も負かしたトゥーフェイスも次走であっさり勝ち上がっており、時計だけではないはず。
高速馬場での快走から不安視される不良馬場も、太田助手は「パワーがあって馬場が渋っても問題ない」と全く気にしていない様子。
⑪イルーシヴパンサー(▲)
真夏の新潟で迎えたデビュー戦は中団からメンバー3位の上がりで抜け出して快勝。連勝を狙ったアスター賞はドゥラモンドの半馬身差2着に敗れたが、進路の確保に後れを取るロスがあり、外に持ち出してからの伸びは一番目立っていた負けて強しとも言える2着。
この敗戦から早々と年内休養を決め、前走のフリージア賞が約5か月ぶりの復帰戦。
好スタートから好位のインを追走すると、直線ではそのまま狭い内ラチ沿いを突いて2着。
24kgの馬体増は成長分を含めても少し余裕があったようで、逃げ切りを許した⑤レインフロムヘヴンとの逆転は十分可能に思える。
前走で2000mに対応できたことも大きく、ここまでの不良馬場となると未知数でも、上がり3Fの自己ベストが前走で記録した35秒0だけに速い上がりを求められる馬場よりは合うのではないか。
⑫ビゾンテノブファロ(⋯)
メンバー最多のキャリア13戦を誇り、GⅢサウジアラビアロイヤルカップとGⅠ朝日杯フューチュリティステークスを除き、すべて勝ち馬から1秒差以内に健闘。
前々走のジュニアカップでは後方から最速上がりで0秒2差の3着に好走しており、自己条件なら通用する目処は立ったが、皐月賞の優先出走権確保を目指す馬が集まったトライアルGⅡでの好走は簡単ではない。
⑬アールバロン(⋯)
デビュー戦は暮れの中山1800mで、1000m通過が65秒5の超スローペースを2番手から抜け出して勝利。
前走の水仙賞はハナに立つ形になったが、1000m通過65秒0の超スローペースに落として3着に粘った。
デビュー戦にしても前走の3着にしても、4角を1~3番手で回った3頭の順位が入れ替わるだけの入線で、展開の恩恵がハマった印象が強い。
新馬戦で負かした馬から勝ち上がった馬もおらず、不良馬場とはいえ、締まったペースに変わることを想定している今回は厳しいレースになりそう。
⑭ヴィクティファルス(⋯)
昨秋の阪神1800mでのデビュー戦は好スタートを決めるもスッと控えると、1000m通過62秒6のスローペースにも中団の外目で折り合って運ぶ形。
ペースが上がる勝負処から馬なりで少しずつポジションを上げて直線入口でほぼ先頭。メンバー2位となる上がりで最後まで脚を伸ばして後続の追撃を凌いだ。
1戦1勝で挑んだ前走の共同通信杯は、好位5番手から33秒6の上がりを使って2着を確保。
キャリア1戦の身で即連対を果たしているだけに、高い素質があることは間違いないが、上がり33秒6といっても全体の5位タイで位置取りの差があったことは否定できないところもある。
それに、当時は乗り替わる松山騎手が2週前→1週前と連続で追い切りに跨っており、当日の馬体重も−6kg(長距離輸送含む)と勝負駆けだった可能性も高い。
今回は距離こそ同じ1800mでも、これまでの2戦とは異なる不良馬場での消耗戦となると簡単なレースにはならない可能性は高いと見ており、3番人気なら思い切ってバッサリ消す。
⑮セルジュ(⋯)
福島1800mでのデビュー戦はスタートでの出遅れから幼さも見せて7着に大敗したが、後方からイチかバチかに賭けた2戦目では最速上がりで追い込んで0秒2差の4着と変わり身を見せた。
約3か月ぶりの実戦で12kg増やした3戦目も後方から末脚に賭ける競馬。直線でもメンバー2位の上がりでクビ差まで迫った2着だったが、勝ったソーヴァリアントの失格により繰り上がりでの勝ち上がり。
昇級後は葉牡丹賞→フリージア賞と連続して1秒以上離される大敗を続けており、中川調教師も「右回りは手前の変え方がもうひとつで動きもいい頃と比べると物足りない」とここは腕試しと経験の一戦。
【結論】
本命 ⑨ロードトゥフェイム
こちらもヒモ荒れを期待してワイド流しを2通り。
軸:⑨ 相手:②③⑥⑩⑪
軸:⑩ 相手:②③⑥⑨⑪