ダイヤモンドステークス 2020【反省】
このレースに限らず長距離戦の場合、よく新聞等で言われるのがスローからの瞬発力勝負。
もう少し踏み込むと序盤のポジション争いから道中緩んでの直線勝負、つまり3分割してみると真ん中が一番遅くなることが多い。
だが、今年はハナを切った④ロサグラウカに折り合いを欠いて引っ掛かった⑮バレリオが直後まで上がってしまったことでほぼ並走する形。例年緩む真ん中の1000mが一番速くなるラップ構成に。
上がり上位馬が上位を占めるのは例年通りでも、今年の場合は直線半ばでバテた馬も多く、レースの上がりも道悪並みの38.1と過去10年で最も遅かったようにタフでスタミナが問われたレースとなった。
最低人気での勝利となった⑯ミライヘノツバサは大外枠ながら1周目ホームストレッチでは内から2〜3頭目に潜り、直線でも外を回さず、ちょうど開いた①オセアグレイトと⑬ヴァントシルムの間を割るスムーズな運び。その後、外から伸びる⑭メイショウテンゲンまで馬体を寄せに行く際に⑥レノヴァールの前をカットしたことは褒められないが最後はハナ差しのぎ切った。
3年前にアメリカJCCで3着、日経賞を2着と重賞初制覇まであと一歩としながら屈腱炎を発症。1年半後に復帰してからは脚元の不安から坂路で様子を見ながらの調整だったらしいが、前走からウッドコースも使ってビッシリ攻めてきたことが実を結んだ格好で、伊藤大士調教師にとっては開業10年目で嬉しい重賞初勝利となった。
元獣医で東京中日スポーツの若原記者さんも以下のように馬の変化を見抜いていて、元々持っていた資質に馬体が追い付いたということだろう。
斤量も54kgだったし、全てが上手くいった感もあるが、7歳馬ながらキャリアはまだ23戦。前述の通り3年前は中距離重賞で勝ち負けしていた馬。最低人気での勝利だけにフロック視されそうで、今後も穴馬としていい仕事をするだろう。
このスタミナレースを制しただけにスピード自体はまだ懐疑的に思う面もあるので、まずは上がりが36秒以上かかるようなレースや距離が2500m以上のタフなレースで狙ってみたい。
2着⑭メイショウテンゲンは内の馬が先行してくれたこともあって、スッとインへ。後方からロスなく追走して直線は大外からしっかり伸びた。
前走のステイヤーズステークスで後方から4着まで追い込む競馬をしており、既に長距離戦での実績を示していたし、去年の弥生賞では重馬場の中でタフなレースを制する底力も示していたので、タフなスタミナ勝負となって勝ち負けしたことは当然の結果。
ただし、コース取りも含めた展開の恩恵があったことは確かであり、それ以上の評価は難しい。⑯ミライヘノツバサ同様、次の狙いは上がりが36秒以上かかるようなレースだろう。
2番人気の支持を集めた①オセアグレイトは先行する競馬から3着。5番手以内にいた馬が⑫⑯⑮⑭着に崩れた中で複勝圏内を確保。差し馬の伸びに屈して5馬身差離されたが、一番強い競馬であった。
まだ成長過程の4歳馬で今後の視界が開けたはず。
ただ、予想記事では距離延長【1.1.1.0】と書いたが(今回の3着で【1.1.2.0】)、実は距離短縮時は【0.1.0.2】となっていて、過去3回の掲示板外はこの距離短縮時と新馬戦。2着も未勝利時のものだから、まず距離短縮となるであろう次走は疑ってかかりたい。
4着⑥レノヴァールも、掲示板に載った馬の中では比較的前の方である8番手の位置での競馬で、3~4角でも早めに仕掛けているから強い競馬をしている。
本命とした⑪タイセイトレイルは5着まで。本質的には2400m前後がベストの馬であると思うので、今年のようなスタミナバテ差し比べでは厳しかったとは思うが、中谷騎手も気合いが空回りしたのか馬上でブレブレ。少なからず馬への負担になっていただろう。正直、今後中谷騎手騎乗の馬を単勝で買うことはなさそう。
万葉ステークスを圧勝して1番に押された⑦タガノディアマンテは最後方から7着。7着といっても勝ち馬から2秒1差も離されており、上がり3Fも最後方から全体の6位。レース後に川田騎手が外へ逃げたがって競馬にならなかったとコメントしているが、
特にコーナリングは関係ないように思う。未勝利戦勝ちは東京競馬場でのものだし、わざわざ川田騎手が乗りに来ているぐらいだから逸走の原因は左回りだけではない気がする。
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