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安田記念 2021【予想】
近3年すべて1分31秒6以下の勝ち時計で決まり、前走1800m以上の距離短縮組が一昨年のアーモンドアイを含めて【0.1.2.16】と苦戦するスピードレース。
秋のGⅠマイルチャンピオンシップが中盤に緩みやすいラップ構成に対して前半のペースが流れやすく、中距離向きの馬よりも短距離志向の馬が強い。
展開の鍵を握るハナ候補トーラスジェミニは着拾いを意識してスローに落とす可能性もあるが、番手候補のラウダシオンは瞬発力勝負では分が悪いだけにプレッシャーをかけてくれることを期待する。
金曜の豪雨によって稍重でスタートした昨日の馬場は5レースで良馬場に回復したものの、本日は午後から小雨が降っていたが、良馬場は維持できそう。
先程のスローペースで流れた2勝クラスで1分59秒4、昨日の10レース・由比ヶ浜特別で1分20秒1とコースレコードに0秒7まで迫る好時計が記録されており、例年通りの高速決着を想定する。
①サリオス(⋯)
クラシックの皐月賞と日本ダービーではいずれも2着に敗れて涙を飲んだが、秋初戦で初の古馬との対戦だった毎日王冠では東京1800m巧者ダイワキャグニーに並びかける隙さえ与えない3馬身差の完勝劇を披露。
距離を理由に天皇賞を避けたことから、香港カップの招待を受諾するわけにもいかない中で参戦した昨秋のマイルチャンピオンシップは、大外枠を引いて後手を踏んだ上にスローペースと絶望的な状況からメンバー最速33秒1の上がりで0秒4差まで追い上げた。
直線で蓋をされるロスがあったグランアレグリアは別として、一昨年の春秋マイル王インディチャンプらの上位勢いとは差を感じさせない負けて強しの内容。
年明けに軽い裂蹄もあって、ぶっつけ本番となった前走の大阪杯は重馬場が災いして5着。
東京では4戦3勝、2着1回。唯一の敗戦がダービーと府中の1600m戦で巻き返しを図るが、弱点の右トモの具合が不透明で万全の状態にはなさそうに思う上に、中距離寄りの本馬にとって高速馬場ではスピード面で不安があり、雨が降ってもマイナス。
4番人気なら思い切ってバッサリ。
②ギベオン(⋯)
3歳時は毎日杯で後に有馬記念を勝つブラストワンピースと翌年の春秋マイル王に立つインディチャンプに挟まれる2着好走から、NHKマイルカップでも2着に好走して同年冬には中日新聞杯で重賞初制覇。
昨夏のエプソムカップでは直線で耳を絞っていたように、精神的な問題から以降は不振に陥っていたが、前々走の白富士ステークスで59kgを背負って0秒4差の5着に踏ん張ると、前走の金鯱賞では重馬場を思い切った逃げの手に出て最低人気を嘲笑う逃げ切り。
前後半バランスこそ 61秒4 - 60秒4 の後傾ラップではあったが、中盤に11秒台のラップを3つ並べる積極的な運びでスローペースを楽逃げだった訳ではないが、
当日他の芝4レースで勝った馬の4角通過順位はそれぞれ「1・4・4・2」と先行有力の馬場状態が味方したことにノーマークの立場であったことは確か。
三冠牝馬デアリングタクトの猛追を凌いだ点は見事であるが、左回り2000mの舞台を含めて様々な点が噛み合っての勝利は否めず、前走のマイラーズカップでは0秒4差とはいえ、7着に敗れている。
3歳時にNHKマイルカップで2着に好走しているが、加齢とともに筋肉が硬くなっていく母が米国型血統のディープインパクト産駒のよくあるパターンに重なっており、強豪が揃うGⅠでは厳しいように思う。
③ダイワキャグニー(⋯)
昨年は金鯱賞でサートゥルナーリアの3着に入って初めてGⅡクラスでの好走を果たすと、エプソムカップでは6歳にして重賞タイトルの初戴冠となった同時に初めて道悪で勝利。
一皮むけた印象がある中で陣営はそのエプソムカップ後に去勢手術を決断。
昨秋の毎日王冠は去勢手術明け初戦ながら、サリオスにこそ馬体を併せることすら叶わずアッサリ交わされたものの、他馬には先着を許さず2着は確保。
以降は3戦してすべて1秒以上離された掲示板外の凡走が続いているが、天皇賞は相手も強かった上にレース上がりが33秒6の瞬発力戦、日経新春杯はタフな中京2200m、前々走の東京新聞杯は約2年ぶりの1600m戦で58kgを背負って逃げる形、600mの一気の距離短縮に【0.0.0.4】としていた中2週の詰まった間隔も厳しかったはずで、いずれも明確な敗因はある。
約2年も左回りを狙って使われていた中での右回りに主戦の内田博騎手からテン乗りとなる幸騎手への乗り替わりだった前走のマイラーズカップは、ここに向けての叩き台と見ていたが、好位から渋太く粘って0秒2差の4着に健闘。
持ち時計を大幅に更新する1分31秒6は7歳でもまだまだ元気であることを示した。
左回りに替わることで上位進出を伺うが、前走も速いペースを追走して健闘しており、本レースへの対応は可能かも知れないが、一線級が揃ったGⅠの舞台。
馬場が渋るようなら14番人気の大穴で検討もしたが、良馬場での高速決着では厳しいように思う。
④カラテ(⋯)
未勝利を卒業するまでに8戦、1勝クラスも勝ち上がるまでに9戦かかったが、1600m戦に矛先を変えた昨年6月以降は6戦4勝と一気に軌道に乗った。
馬体も30kg近く増え、2勝クラスからの連勝となった前々走の若潮ステークスでは3馬身差の完勝。
勝ち時計1分32秒9は前日のニューイヤーステークスよりも0秒3も速い、価値の高い勝利とは見ていたが、前走の東京新聞杯は好位グループで上手く立ち回り、カテドラルの猛追をクビ差凌いでの勝利。
これ以上ないくらい上手くいったレースであったが、
若潮ステークスで1分32秒9まで詰めた持ち時計を更に0秒4縮める1分32秒5の勝ち時計であれば、本馬のパワーアップの裏付けだろう。
予定していたダービー卿チャレンジトロフィーを右前脚の挫跖で回避したことで、東興新聞杯以来となる約4か月ぶりのぶっつけ本番で挑む初のGⅠ。
陣営からも「まだ本調子ではない」とのコメントがあるように簡単なレースにはならないだろう。
年明けの若潮ステークスからコンビを組んだ菅原明騎手と東京新聞杯で人馬ともに重賞初勝利を掴んだが、2019年のデビュー初年度に31勝、昨年30勝を挙げ、今年は既に30勝と過去2年を大きく上回るペースで勝ち星を量産。春の新潟開催では15勝を挙げて初の開催リーディングも獲得した将来有望な東の若武者も初のGⅠ。仮に馬場が渋っても難しいレースになりそう。
⑤グランアレグリア(▲)
昨年は高松宮記念こそ緩いペースの中で33秒1の最速上がりで追い込んでの2着に敗れたが、続く安田記念ではしっかり差し切って優勝。
中2週で最強女王の状態が万全ではなかったとはいえアーモンドアイを子供扱いする2馬身半差の完勝劇は現役No.1マイラーを思わせる圧倒的な走り。
秋初戦となったスプリンターズステークスでは展開が向いた面もあったにしても、4角でほぼ最後方という短距離戦では絶望的といえるポジションから33秒6の最速上がりで2馬身差もつける圧勝。
マイルチャンピオンシップでは福永騎手に巧く蓋をされて万事休すのところからあっという間に差し切って春秋マイルGⅠ制覇を達成。
もともと昨年も安田記念を勝ってから、管理する藤沢和調教師としては秋の天皇賞を使いたかったところ、同じノーザンファーム系クラブ馬・アーモンドアイのGⅠ8勝目の大記録が考慮されてパスした経緯があって1200m〜1600m〜2000mの前人未到の三階級制覇を目指した前々走の大阪杯は4着。
2歳6月時点で1600mを1分33秒台で走り、桜花賞ではアーモンドアイのレースレコードを更新。安田記念で1分31秒6と圧倒的なスピード能力が最大の武器。
スピードを活かせる良馬場なら2000mもこなせただろうが、1800mの距離経験すらなかった中での重馬場はあまりにタフな条件でもあった。
高速馬場の東京1600mに舞台を替えた前走のヴィクトリアマイルは圧巻の4馬身差圧勝。
女王アーモンドアイを全く相手にしなかった昨年から連覇を懸けて挑む今回は、中2週のローテーションも初めてならシーズン3戦も初めて。
かつては間隔を空けて使うことを余儀なくされていた燃えやすい気性は、今では併せ馬も出来るようになって中5週の間隔を前走でクリア。
ただ、今回は中間に蹄の痛みが出たことで、サンデーレーシングの後輩シュネルマイスターが急遽の参戦。その鞍上が最終追い切りまで発表されなかった理由は本馬が回避した場合に、ルメール騎手が騎乗する予定だったと見ている。
藤沢和調教師が出走に踏み切った以上は杞憂に終わる可能性は高いかも知れないが、サンデーレーシングとしてはここを勝ってマイルGI通算5勝の新記録、秋に天皇賞→マイルチャンピオンシップ→香港マイルとGⅠ9勝の青写真を描いているようにも思う。
仮に状態が万全でなくても、昨年の春秋マイルGⅠで完封をしたインディチャンプが2番人気のメンバー構成ならアッサリ勝ってしまうかも知れないが。
穴党としては昨年のアーモンドアイのような取りこぼしを期待する。
⑥ダノンプレミアム(⋯)
デビューから無傷の4連勝を飾り、クラシック最有力候補と騒がれながら、手に入れたGⅠタイトルは2歳の朝日杯フューチュリティステークスのみ。
一昨年は秋の天皇賞やマイルチャンピオンシップでの2着好走もあったが、昨年は一度も連対がないままで一年を終えた。
昨年の安田記念は豪州遠征帰りの難しい調整過程の中でも良い状態で送り出せたが、直線入り口付近で躓いた際に舌がノドの奥に巻き込むハプニング。まともに呼吸が出来なかったことで13着に大敗。
1600mで1分30秒台の決着時計も厳しかった印象。
秋の天皇賞では制御力の強いクロス鼻革で舌がハミを越すことがないように対応した上、ブリンカー着用の効果もあって最後まで集中することができたことで、アーモンドアイ、フィエールマン、クロノジェネシスに次ぐ0秒4差の4着に健闘。
2000mは豪GⅠクイーンエリザベスステークス3着や、一昨年の天皇賞2着など【2.1.1.2】
3年連続での参戦となるが、中距離タイプの馬だけに今年も厳しいレースになりそうに思う。
⑦ラウダシオン(◎)
昨春のNHKマイルカップは、逃げるレシステンシアを番手から徹底マークする形で競り落としての戴冠。
2歳女王の状態が万全ではなかったことや、前有利の馬場に直線での強風などの恩恵が多分にあったことは確かだが、世代トップレベルのスピード能力を持っていることも確か。
昨秋の富士ステークスではGⅠ馬で2kgも重い別定重量ながら、前後半4Fが45秒4-48秒0という前傾ラップを6~7馬身ほど離れていたとはいえ、3番手から2着に粘る濃い内容だったが、マイルチャンピオンシップはスローペースで流れたために、持ち味のスピード持続能力が全く発揮できずに15着に大敗。
年が明けてのシルクロードステークスは2歳以来だった1200mにも対応して3着に好走したが、高松宮記念では重馬場に脚を取られて14着に大敗。
重〜不良ではそれまで【1.1.1.0】としていただけに、1200mは忙しかったのかも知れない。
再起を懸けて挑んだ前走の京王杯スプリングカップは番手追走から直線で抜け出して、約1年ぶりの勝利。相手に恵まれた印象は正直拭えないが、他馬より1kg重い斤量を背負っての余裕のある勝ち方は着差以上の勝利と見ている。
東京以外の【2.1.2.3】に対して、東京では【3.1.0.0】とNHKマイルカップや前走の京王杯スプリングカップを勝っている最も得意としている舞台。
中3週で挑んだ昨秋のマイルチャンピオンシップでの負け過ぎともいえる大敗から、これまでで一番間隔の短い中2週での臨戦は不安にはなるが、このタイトなローテーションでもノーザンファームしがらきに短期放牧に出してリフレッシュを図り、あとは蓄積疲労があるかどうかだけ。
斉藤崇調教師は「硬くなりやすいので、暖かい時季が良いんでしょう」と昨秋からの成績が今ひとつだった要因は気温にあった可能性もある。
中盤が緩むことでの瞬発力戦になると怪しくなるが、トーラスジェミニを番手から突いて流れる形にすることが出来れば、NHKマイルカップの再現も。
デムーロ騎手で奇数番だけにスタートは鍵になるが、7番人気なら一発に期待したい。
⑧インディチャンプ(○)
これまでマイル重賞で4勝を挙げている一昨年の春秋マイル王者であり、連覇を目指した昨年の安田記念もレース中に落鉄する厳しいアクシデントがありながら0秒5差の3着に好走。
マイルチャンピオンシップは当初予定していた初戦のスプリンターズステークスを右トモの炎症による回避でぶっつけ本番ながら2着に好走。
福永騎手がフタをしつつ抜け出す完璧な騎乗しながら敵わなかったグランアレグリアにこそ完敗になったがトップマイラーとしての意地は見せた。
中距離路線を諦めて、今年の目標を高松宮記念に狙い定めると、昨年暮れの阪神カップ、前々走の阪急杯はいずれも内の先行馬が有利な馬場に泣いて、それぞれ3着と4着に敗れたが、本番となった前走の高松宮記念ではクビ+クビ差の3着に好走。
今年で3年連続での出走となるが、今年は高松宮記念をステップに参戦で、これが吉となりそうな印象。
昨年はグランアレグリアに2戦とも完敗の形で敗れているが、安田記念はレース中の落鉄さえなければ差はもう少し詰まっていたはずで、今年は女王にも死角があると見ている。
真っ向勝負でねじ伏せることは簡単ではないが、ノーチャンスとは思わない。
⑨トーラスジェミニ(⋯)
シンガリ18番人気で激走した昨春のエプソムカップに鮮やかな逃げ切り勝ちを収めた巴賞。
函館記念では1000m通過が58秒8の速いラップから11.8 - 12.0 - 12.1 - 12.4 - 12.6 と減速していく消耗戦のラップを差し馬がワンツー決着する中で4着。
その後もリステッド競走で2勝を挙げているが、重賞での6戦はすべて掲示板外。
前走のダービー卿チャレンジトロフィーはハナを奪えず6着に敗れており、プレッシャーを受けることなくマイペースで運べると渋太いが、重賞となるとハナに立つまでにも脚を使う必要が出てくる上に、そうそう気分良くマイペースの逃げは許してはくれない。
予定していた翌週のエプソムカップを前倒して今回はさらにメンバーが揃うマイルGⅠへの参戦。
昨日の鳴尾記念を逃げ切ったユニコーンライオンぐらい展開に恵まれないと好走は厳しいように思う。
⑩カデナ(⋯)
7歳になった古豪ではあるが、昨年は冬の小倉大賞典で約3年ぶりとなる勝利を挙げるようにまだ元気で、直前の豪雨によって悪化した馬場に泣いた宝塚記念やスタート後に脚を接触して最後方からの競馬になった上にスローペースでわハンデ58kgと悪条件が重なった中山金杯の2戦こそ二桁着順に終わったが、
夏の新潟記念では58kgを背負いながらメンバー2位の32秒3という極限の上がりで追い込み0秒3差の6着、毎日王冠でもサリオスに次ぐメンバー2位の上がりを使って0秒6差の4着と、不得手な直線の長い競馬場でも健闘を見せ、前々走の小倉大賞典でもほぼ最後方からメンバー3位タイの上がりで0秒5差の6着。
前走の大阪杯は重馬場でタフなコンディションの中、メンバー3位の上がりを使って6着。勝ったレイパパレにこそ離されたが、3着コントレイルとは0秒5差。
毎日王冠にしても一度は前に出たサンレイポケットに対して差し返されて4着に敗れたように、直線の短い小回り・内回りの中距離戦こそが最適条件である中、突如としてマイルGⅠへの参戦。
14着に大敗した3年以上前のマイラーズカップ以来となるが、厳しいレースになりそう。
⑪ダノンキングリー(⋯)
昨年は始動戦の中山記念を完勝して臨んだGⅠ大阪杯はハナに立って瞬発力戦に持ち込んだが、同時に目標にされてしまい0秒1差の3着。
そこでハナに立つ競馬をしたことで歯車が狂ったか、昨年の安田記念7着はそれまでつけられた着差の中で最大となる0秒8差。敗因を馬場に求める声もあるが、自身1分32秒4の時計で走ったほど時計は速く、伸びあぐねた要因は前後半4Fが 45.7 - 45.9。前傾ラップで脚が溜まらなかったか、1400m寄りのスピードが要求され過ぎたからだと見ている。
ぶっつけで挑んだ昨秋の天皇賞は12着に大敗。さらに最大着差を更新する2秒9差のシンガリ負けで11着のブラストワンピースから7馬身も遅れての入線。
陣営もここまでの大敗に敗因が掴めずに長期休養での立て直しを図っての一戦になるが、一線級が相手だと1600mではやや短く、2000mとなると若干長い。
3戦3勝の1800mこそドンピシャの条件。
1600mでは道中に緩みが生じて欲しいところであり、
馬場も一昨年の毎日王冠でインディチャンプらに完勝となるレコードから0秒2差の1分44秒4で勝っているように高速馬場なら歓迎だが、雨が降ると厳しい。
ダノックスの主戦を務める川田騎手がプレミアムより本馬を選んだだけに、復調の兆しがあるのかも知れないが、それでも今回は厳しいレースになると見る。
⑫ケイデンスコール(☆)
2歳時の新潟2歳ステークス以来、約2年4か月ぶりの勝利だった年明けの京都金杯は開幕週の内有利馬場と先行馬有利の展開がハマったことは確かだが、元々は3歳時のNHKマイルカップでアドマイヤマーズと0秒1差の接戦もあった馬。
約2年ぶりの右回りにコーナー4つの1800mも不安視された前々走の中山記念は勝ったヒシイグアスと並ぶ最速タイの上がりで2着。クビ差だけ涙を飲んだが、レコードタイ決着での好走は、かつての後方から展開待ちのスタイルから好位で運ぶ競馬を身につけたことで完全復活を印象づけた。
前走のマイラーズカップは岩田康騎手がレース前日に幅寄せと暴言に及んだことによる即日制裁によって、古川吉騎手への急遽の乗り替わりとなった中、1000m通過が55秒8の速いペースにも落ち着いて中団待機。メンバー2位タイの上がりで差し切ってみせた。
左回りの前傾ラップがベストであることに変わりないが、中山記念後に岩田康騎手が「最後は止まった」と語ったように1600mはやはりベストの距離。
持ち時計も前走のマイラーズカップで1分31秒4まで短縮しており、最も得意とする舞台でのGⅠ挑戦。
不良馬場で行われたキャピタルステークスでの走りを見ると、雨は降って欲しくないところ。
⑬シュネルマイスター(☆)
昨夏の札幌1500mで迎えたデビュー戦は中団の外目につけて、3角過ぎから動いて4角手前で先頭集団に並び掛ける積極的な競馬で押し切って新馬勝ちを飾ると、約3か月の休養を経て臨んだ昨冬の ひいらぎ賞では、中団から4角で上手くインに進路を取るとラスト1Fを切ってから一気に3馬身突き放す完勝。
勝ち時計の1分35秒8に派手さはないものの、1000m通過が1秒以上速く流れた翌日の2勝クラスより0秒1速い優秀な数字だった。
さらに英気を養って挑んだ3戦目はクラシックを睨んでの重賞初挑戦となった弥生賞。
一気に400mの距離延長となった中、後の皐月賞2着馬タイトルホルダーまで0秒2差まで迫る2着に好走したが、レース後に騎乗したルメール騎手が「ムキムキのマイラー体型で、2000mはギリギリ」と語ったこともあって皐月賞をパスしてマイルGⅠに照準を合わせた。
管理する手塚調教師も「どこかで重賞を勝つはず」と高い期待を寄せていたが、前走のNHKマイルカップで早くもGⅠタイトル奪取に成功。
Kingman ✕ Serienholde のドイツ産の持ち込み馬で、ノーザンファームとしては種牡馬にしたい意向もある陣営の期待にも応えた。
1600mの経験が一戦のみで持ち時計も1分35秒台と乏しい中、1000m通過56秒9の速いペースを追走して、1分31秒6はレースレコードまで0秒2差。
緩い馬場は良くないと語っていたことから東京の高速馬場替わりでパフォーマンスが上昇した格好。
2011年のリアルインパクト以来10年ぶりとなる3歳馬の優勝を目指すが、これまでにNHKマイルカップから安田記念に挑んだ馬は過去6頭いて、最も速い時計で走っていたリアルインパクトが古馬撃破の快挙を果たしており、本馬はその1分32秒5より0秒9も速いほぼレースレコードで優勝。
秋までの充電が発表されていた中での急遽の参戦は、同じサンデーレーシングに所属するグランアレグリアに蹄の不安が生じたからだと見ており、デビュー戦で騎乗していた横山武騎手が最終追い切りにも跨がって鞍上は早い段階で決まっていたはず。
それが最終追い切りが終わるまで発表を遅らせたのはグランアレグリアの出否によりルメール騎手が本馬に騎乗する予定だったからだと見ている。
スピード勝負になるなら軽視は難しいが、無理に使う必要のない中での参戦経緯でもあり、馬場が少しでも渋るようなら思い切ってバッサリ切る手も。
⑭カテドラル(☆)
3歳時はアーリントンカップ2着、アドマイヤマーズと0秒1差の3着に好走したNHKマイルカップ、秋は古馬とのマイルチャンピオンシップでインディチャンプに0秒5差まで迫る最速上がりを繰り出して6着。
マイル路線での飛躍を期待された昨年だったが、年明けの京都金杯を後方から回ってきただけの17着に敗れると、苦しくなった時にやめてしまう気難しさを出し始めて安定しない成績に終始。結局、リステッド競走の朱鷺ステークスで挙げた1勝に終わった。
5歳を迎えて、約2か月ぶりのレースとなった前々走の東京新聞杯は中団からメンバー2位タイとなる33秒5の上がりで鋭く伸びてアタマ差の2着に好走。
前走のダービー卿チャレンジトロフィーでも出遅れて後方からの競馬になりながら、最速上がりで2着。
重賞勝ちこそまだ無いが、今年は重賞を連続で2着に好走して一昨年のマイルチャンピオンシップ以来となるGⅠへの挑戦。
過去に連対した6戦は新馬戦を含めて全て中7週以上のローテーション。精神的に煮詰まってカリカリしやすくなっている気性から今回も短期放牧でリフレッシュして中8週の間隔を空けての参戦。
もともと器用さがある訳ではなく東京1600m替わりはプラスで、実際に3歳春の時点でNHKマイルカップを1分32秒5の好時計で走っており、今なら1分31秒台で走れても不思議ではない。
2歳時は7月の新馬戦→9月の野路菊ステークスと連勝を飾って、昨年唯一の勝利を挙げた朱鷺ステークスは8月。全3勝を7〜9月に挙げているように気温が上昇して汗をかくようになると、手前の替え方がスムーズになる馬で、最もGⅠで好走のチャンスが大きい舞台。
初めて背負う58kgは楽な条件ではなく、道悪適性も未知数だが、10番人気の大穴なら一発に期待したい。