阪神大賞典 2020【反省】
長距離戦の場合は中盤でペースが緩むことがほとんどで、3分割した際に真ん中が一番遅いタイムになることが一般的なのだが、今回はその中盤で出遅れた⑨キセキが先頭までポジションを上げたことで、先頭集団がつられて緩みのない厳しいラップになった。
1着⑩ユーキャンスマイル
大外枠だったが、10頭立てということもあって、すんなり内に潜り込んで中団の最内を追走。他馬に惑わされることなく残り1000mから徐々にスパートを開始するも外には出さず、4角では⑨キセキの直後。しっかり間から抜け出して勝利を挙げた。
直線が短い急坂コースに懸念して軽視していたが、展開も騎乗も全てが上手くハマったことで特に問題にもならず、ギリギリ間に合わせたコンディションを思えば上々の内容で、本番の天皇賞で狙いたかった身としては悔しい結果となった。
2着④トーセンカンビーナ
いつものように出遅れて最後方から。勝負処で外を回さず③ムイトオブリガードの後ろを狙ったことが大きかった。敗れはしたものの、上がりは勝ち馬と並ぶメンバー最速。これで5戦連続の上がり最速となるが、これまで35秒未満だったものが、35秒8とタフな流れでも対応できた。
こちらも疑問視していた小回りクリアしたが、展開が向いたことは確かである。
3着⑥メイショウテンゲン
勝ち馬の少し前の位置で脚を溜める前走と同様の競馬で、勝負処で外を回した分の差はあるが、2馬身強と1kgの斤量差を考えれば現状では力負け。
本格的なステイヤータイプだけに、道中のラップが締まった厳しいレースになってくれたことまでは良かったが、馬場の悪化があれば上の着順もあったかも知れず、軽い芝による速いラップが堪えたのかラスト1Fで大きく外によれた。
4着③ムイトオブリガード
速い上がりを要求されるレースでの良績が目立つ馬だけに、先頭集団3頭の後ろという展開的には上位勢では一番厳しいラップを粘ったことには驚いた。
プラス18kgはいくらか余裕はあったはずで、それだけでも強い内容ではあるが、この馬体増は成長分が含まれている可能性すらあってルーラーシップ産駒として一皮むけていることも考えておきたい。
5着②メロディーレーン
⑥メイショウテンゲンのやや前で脚を溜める競馬。経済コースを回って、勝負処で勝ち馬に前に出られても内で我慢。直線でも勝ち馬の後ろから渋太く脚を伸ばした。ロスの無い競馬だったとはいえ、懸念した急坂小回りコースは問題なさそうで、一線級相手にスタミナを示した。
6着⑤タイセイトレイル
外から⑨キセキが上がってきた時に⑧ドレッドノータスと合わせてラップの引き上げに付き合ってしまったことが全て。道中で息が入る形になって、前走よりはスタミナが問われないベストな条件と見て本命に挙げたが、前走同様の厳しい展開では難しかった。
騎乗した福永騎手は「追われると嫌がった」とコメントしているが、厳しいラップが主因だろう。
ただ、⑨キセキには先着にしており、勝ち馬からも0秒5差なら立派といっていい。
7着⑨キセキ
陣営からスタートから難しくなっていると懸念されていた通り、大きく出遅れ。
もともと差す競馬を試すと考えていたので、ここまでは想定内だったが、中盤で一気に番手までポジションを上げたことでレースが終わってしまった。
川田騎手は「暴走」とレース後に説明しているが、特に抑えている感じでもなく、この内容で天皇賞も白紙となり、このレースへどのようなテーマを持って臨んだのか釈然としない内容だった。
とはいえ、1秒そこら出遅れて3分3秒6の走破タイムだった本馬は単純計算、マトモに出ていればレコードに近いタイムで駆け抜けていたということでもあり、負けて強しではあることも確か。
その能力を活かすことが難しくなってきた気性の問題こそ厄介ではあるが。
8着⑩ボスジラ
③ムイトオブリガードの近くでの競馬となったが、最後は伸び負けして前にいた⑨キセキや⑤タイセイトレイルにも後れを取った。
条件自体は悪かったとは思えないから、今回は力負けということだろう。
これまで軽い芝ばかり走ってきたが、レース後に騎乗した武豊騎手は「渋った馬場の方が良さそう」と語っており、全兄ポポカテペトルが不良馬場の菊花賞を3着していることからも道悪は歓迎かも知れない。
9着①レノヴァール
序盤は後方の最内を進み、1周目ホームストレッチで外に持ち出すが前に特に前に行くわけでもなく、勝負処からついて行けずに直線はなだれ込んだだけ。万葉ステークスから3戦目のマラソンレースで相手強化に2kg増は厳しかったし、直線の急坂も堪えたはず。