ターコイズステークス 2020【予想】
確たる逃げ馬が不在だった2015年こそスローペースになったが、スタート後のポジション争いから下り坂に入るため、基本的には前傾ラップになりやすく、今年は前走1400mだった⑧スマイルカナもいるだけにペースは流れると見る。
また、上がり最速馬が過去5年で【0.1.2.2】と勝ち切れていないことからも、前半から流れるペースについて行きつつ、最後の急坂まで持続させる能力が問われるレースでもある。
馬場は先週日曜の3勝クラス1800m戦が1分49秒3、2勝クラスの1200m戦が1分9秒4と速い時計は出ておらず、5レース中2レースで逃げ切りが決まるなど勝ち馬の4角通過順は②④①①④番手。
冬の中山らしく馬格のある馬が優勢でもあるレース傾向から、パワー型の持続力戦に向いた馬を中心に考えたいところ。
①レッドレグナント(⋯)
オープン入りを決めた4走前の多摩川ステークスにしても、前後半3F 36秒1-34秒2のスローペースを3番手から運べた展開利が大きかった印象で、続く中京記念も51kgの恩恵がありながら3秒離された⑯着。
新潟1400mのリステッドレースを使われた近2走もいずれも二桁着順に敗れており、牝馬限定重賞とはいえ1600m戦では52kgのハンデでも厳しい印象。
②シャインガーネット(◎)
左トモの筋肉痛からクイーンステークスを回避して、秋華賞も断念。よって今回は春のNHKマイルカップ以来となる約7か月半ぶりの実戦。
春は同週にフィリーズレビューがありながらファルコンステークスを選択した結果、後にNHKマイルカップを勝つラウダシオンに勝っており、その後に桜花賞ではなくNHKマイルカップを選んだように左回りにこだわったローテーションを組んでいただけに、右回りの中山1600mはひとつのポイント。
伸びを欠いた同舞台のフェアリーステークスやNHKマイルカップからは、現状では左回りの1400mがベストの印象でも、富士ステークスで2着に好走したラウダシオンを負かした能力から通用する可能性は十分。
アドマイヤサガスをはじめ、兄姉ダート馬でパワー寄りの血統で瞬発力戦よりは持続力戦向き。
それほど速い馬場でもなく前半から流れるなら、中山1600mでもしっかり走れるはず。
③フェアリーポルカ(⋯)
小回り1800~2000mを得意とするフェアリードール一族らしく、春は中山牝馬ステークス→福島牝馬ステークスと1800m重賞を連勝。
2番人気の支持を集めながら⑥着に敗れた前々走のクイーンステークスは18kg増という大幅な馬体重増に加えて初めて背負う56kgの酷量、それに内に潜れずラチを頼れなかったことも響いた中で0秒2差の⑥着。
前走の府中牝馬ステークスは久しぶりの左回りが影響したのか直線に向いてフットワークがバラバラになってまさかのシンガリ負け。
今回は初めてのマイル戦になるが、春は福島牝馬ステークスを勝って優先出走権を手にしながらもヴィクトリアマイルには目もくれなかったようにマイルは短い印象で、56kgのハンデも克服する必要があるとなると内枠はプラスでも今回は厳しいだろう。
④ビッククインバイオ(⋯)
デビューから3戦続けて左回りを使われて、新潟2歳ステークス③着、アルテミスステークス③着を含めて【4.0.3.1】の好成績に対して、右回りは【0.0.0.3】。
東京コースが前半ゆったり流れやすいことも左回りの好成績に繋がっている印象があり、前々走の白秋ステークスでも外枠から行きたがっていたように、現状では東京1400mがベストに思える。前半から流れやすい中山1600mでは最後に甘くなってしまいそう。
⑤アンドラステ(△)
重賞初挑戦となった3走前のエプソムカップはキャリア7戦目にして初めて着外に敗れたが、不良馬場で内の先行馬が上位を占めた中で唯一外から伸びてきての0秒2差の4着。文字通り負けて強しの内容だった。
前走の京成杯オータムハンデは道中からズルズルと位置取りを下げて直線でも今ひとつのチグハグな競馬に終始して0秒6差の⑩着。
前々走の関屋記念では前半から流れるペースを中団から脚を伸ばして今回も対戦する2着⑯トロワゼトワルとは0秒2差の③着に好走しており、牝馬同士で54kgなら通用しても良さそうで2戦2勝の休み明けも問題ないはずで、重賞のペースにも慣れただろう。
ルメールから乗り替わる岩田望騎手はこれまで何度もチャンスがありながらも重賞初勝利を掴めておらず、チグハグな競馬になった前走の京成杯オータムハンデに続いての5番枠にはスムーズに運べるかの不安は少なからずあり、馬自身にも勝ち切るだけの決め手となるとまだ怪しい面がある。
⑥インターミッション(△)
母レイカーラは当時はまだオープン特別だった7年前の勝ち馬で、デビューから3戦して中山1600mを使われて3戦目のアネモネステークスを勝って桜花賞への切符を手にしたが、本番の桜花賞は⑭着、続くオークスは⑱着とともに二桁着順に敗れた。
秋は早々とクラシックを諦めて得意とする中山1600mの自己条件である秋風ステークスをしっかり勝ってオープン入りを果たすと、得意条件のここまで待機。
約4か月ぶりで12kg増やした前走で414kgと馬格には恵まれてはいないが、勝ったアネモネステークスが稍重であったように時計は掛かった方が良さそうで、53kgのハンデに【3.0.1.0】の中山1600mなら重賞初勝利のチャンスとも言えそうだが、これまでのキャリア6戦で2度の3位が最高上がり順位と強烈な決め手があるわけでもない中で4番人気となると、勝ち切るまでは難しいと見たい。
⑦ドナウデルタ(△)
これまで1400m【4.1.0.2】に対して、【0.0.1.3】と結果の出ていなかった1600m戦だったが、前走のポートアイランドステークスで初勝利。
内枠を利しての立ち回りの巧さや速い馬場が味方した感はあったが、淀みなく流れるペースに対応して勝ち切った点は評価したいところ。
ルメール騎手への乗り替わりは心強く、初の長距離輸送を無事にクリアできれば立ち回りの巧さを活かしての好走はあるかも知れないが、55kgは見込まれた。
⑧スマイルカナ(△)
オークス16着後にすぐさまマイル路線に切り替え、初めての古馬との対戦となった米子ステークスを勝ち、続く京成杯オータムハンデでも②着。
サマーマイルチャンピオンの座は惜しくもハナ差で逃したが、桜花賞③着馬の実績に負けない走りを続けて披露して見せた。
前々走の富士ステークスでは⑬シーズンズギフトに絡まれたことで前後半4F 45秒4-48秒0というハイペースに沈んだが、中2週で挑んだ前走のオーロカップでは番手の競馬で2着を確保。
もともと【4.1.1.1】とハナに立てば粘り強かったが、脚質に柔軟性も出てきた点は強み。
今回は【2.1.0.0】と得意にしている中山でフェアリーステークス勝ち以来となる重賞2勝目を狙うが、中5週→中2週→中4週でこの秋4戦目。
前走のオーロカップから1kg、京成杯オータムハンデから比較すると2kg増える54kgのハンデを考えれば1番人気に推された中で積極的に買いたい馬ではなく、後続に差されるイメージの方が強い。
⑨アロハリリー(⋯)
距離を短縮した前走のポートアイランドステークスで0秒3差の④着、昨夏の小倉日経オープン勝ち以来、6戦ぶりとなる掲示板入りを果たした。
引き続き1600m戦への出走となるが、昨夏に小倉で連勝していることからも夏に調子を上げる馬で寒くなってきた今の時期に前走以上となると厳しい印象。
⑩モルフェオルフェ(⋯)
中山1600mで連勝してオープン入りを決めた馬ではあるが、以降は1800m~2000mでは先手が取れても距離が長く垂れて、1600mに距離を短縮した前走のポートアイランドステークスでは先手が取れず大敗。
ここも先手を譲ってもらえたとしても厳しそう。
⑪サンクテュエール(⋯)
2歳時にはアルテミスステークスでリアアメリアの0秒1差②着に好走して、続く年明け初戦のシンザン記念で重賞初勝利。
三冠すべてに出走したクラシックは掲示板すら叶わなかったが、オークスと秋華賞は距離自体が長かった。
今回は得意のマイル戦で再スタートを図る一戦となるものの、前述のマイル重賞好走2戦はいずれも1000m通過が60秒を超えるスローペースであり、桜花賞は重馬場もあったが前半から流れたペースも少なからず影響はあったはずで、現状ではマイルでのスローペースからの瞬発力戦がベストの印象。
前半から流れる傾向にある中山1600mは不安材料で、三冠すべてで手綱を取ったルメール騎手が離れて北村宏騎手。11番人気まで落ちているが食指は動かない。
⑫クリスティ(☆)
クラシックを目指した春はフラワーカップがアブレイズから0秒6差の⑤着、続くスイートピーステークスがデゼルから0秒4差の④着に敗れたことで断念。
約3か月の休養を経て自己条件から出直しを図ることにしたこの秋は距離を1600mに短縮して連勝。
前走のトルマリンステークスは1000m通過が62秒というスローペースの逃げ切りではあるが、前々走のブエナビスタカップは前半から流れるペースを好位6番手から運んでメンバー2位タイの上がりで快勝。
相手関係は正直微妙なところもあるが、松若騎手も「前走は押し出されてハナに立ったけど、ペースが流れた方がレースがしやすい」と話しているように中山1600mは合いそう。9番人気と評価も低いだけに穴馬として激走を期待したい。
⑬シーズンズギフト(○)
ニュージーランドトロフィー②着後に判明した右前管骨の骨折休養明けとなった秋初戦の紫苑ステークスでは内にモタれながらも③着を確保して優先出走権を得ながら秋華賞を回避。
2000mのスローペースでも折り合って精神面の進境を見せていただけにクラブ側の意向と思われるが、1週後に回った富士ステークスでは横山典騎手の謎騎乗が炸裂する逃げ馬に絡む形で前後半4F 45秒4-48秒0というハイペースを演出するだけして直線は流しただけ。
中7週の間隔を空けられたことで嫌なリズムを払拭できているかだが、もともと秋華賞②着のマジックキャッスルに先着した紫苑ステークスからも世代上位の能力があることも確かで、これまでの上がり3Fの自己ベストが34秒5であるように瞬発力で勝負するタイプではないだけに中山1600mは適条件。
実際に前半からペースが流れた牡馬相手のニュージーランドトロフィーでも好走しており、前が速くなりそうなメンバー構成も歓迎だろう。秋は使い分けによる計画性に欠けるローテーションの犠牲に遭ったが、その結果5番人気なら妙味はあるように思う。
⑭ランブリングアレー(▲)
もともとはデビュー2戦目にラヴズオンリーユーの②着や昨春のフラワーカップでコントラチェックから0秒4差の③着に好走した素質馬。
以前は気持ちが走る方向に向かずにチークピーシーズを使用していたが、精神面の成長と共に今年に入って【4.1.0.1】と充実期だろう。
唯一崩れた前々走の小倉記念は勝負処で外からロードクエストに捲ってこられたことで4角で先頭に立つ厳しい形になってのもの。1~4着の4角通過が⑨⑫⑦⑨番手という差し決着だっとことを思えば0秒7差はよく踏ん張った方とみて良さそう。
2か月半ぶりとなった前走のカシオペアステークスでは中日新聞杯を勝つボッケリーニ、福島記念で2着に好走するヴァンケドミンゴを相手に勝利しており、約1年ぶりの1600m戦がどう出るかだが、前半から流れるペースには慣れているだけに牝馬同士で55kgなら重賞初勝利のチャンスがあっても。
吉田隼騎手が鞍上で2番人気は少々過剰に評価されている感はあるが、このメンバーなら。
⑮スイープセレリタス(⋯)
3走前の晩春ステークスは鮮やかな勝利だったが、続く前々走の函館スプリントステークスでは追走に精一杯で惨敗。
前走の京成杯オータムハンデでもそうだが、前半から流れる中山1600mよりは、前半ゆったり流れやすい東京1400mの方がベターだろう。
⑯トロワゼトワル(⋯)
ヴィクトリアマイルでの12番人気④着の大健闘から、中京記念→関屋記念→京成杯オータムハンデと3戦。
特に前々走の京成杯オータムハンデは、これまで高速馬場でマイペースの逃げが好走できる条件だったが、前日までの雨の影響で1分33秒9の勝ち時計となる標準レベルの馬場状態の中、番手から抜け出す競馬で進化を見せての連覇達成。見事サマーマイルシリーズチャンピオン戴冠を果たしてみせた。
そこから中4週での蓄積疲労が心配された前走の府中牝馬ステークスは適性より長い1800mで重馬場という条件の中でも踏ん張って④着。
中8週の間隔を空けたことで連戦の疲労は抜けたかも知れないが、もともと夏に調子を上げる夏馬であり、横山典騎手が中京に行くことで鞍上は初コンビとなる斎藤新騎手。この時期にハンデ57kgで大外枠ではさすがに厳し過ぎる印象。
【結論】
本命 ②シャインガーネット
割れた人気なのでワイドBOXで。
②⑦⑫⑬⑭の5頭BOX