中京記念 2021【予想】
先々週のCBC賞、先週のプロキオンステークスと同様に今年は昨年の阪神から小倉に舞台を替えて行われる中京記念。今年の場合は距離も1800mになる。
当初は日本レコードが立て続けに記録される異常な超高速馬場だったが、3週目になって雨の影響もあって落ち着いた印象でもまだ速い。
①ミスニューヨーク(☆)
初の重賞挑戦となった紫苑ステークスは動きたかった勝負処で動けなかったロスがありながら0秒3差の5着に健闘すると、秋華賞でも勝負処で下がってくる馬を捌き切れずに後方15番手まで下げるロスがありながら盛り返して5着に健闘してみせた。
古馬の一線級も加わったエリザベス女王杯こそレース上がりが35秒を切る瞬発力戦にキレ負けしたが、一息入れた年明けから自己条件での再スタートを切ると、2戦できっちり卒業。
新潟での代替開催だった前々走の福島牝馬ステークスは1000m通過60秒6-上がり34秒2 のスローペースに、序盤で前に入られてズルズルと位置取りを下げた上に直線でも終始前が詰まる不完全燃焼。
それでもメンバー2位となる上がり3Fは自己ベストを大幅に更新する33秒6。0秒5差まで迫った。
前走の福島牝馬ステークスはブービー15着にまさかの大敗を喫したが、外枠で壁を作れないまま外を回され続けたロスが厳しかったにしても不甲斐ない内容。
【0.0.0.3】の2000mから、【4.1.1.1】と得意とする1800mへの距離短縮で巻き返しを図る一戦。
出して行っても折り合いを欠かないタイプで内回りや小回りがベストで、上がりの自己最高が9着に敗れた福島牝馬ステークスで記録した33秒6だけに、持続力戦になりやすい小倉1800mは条件としては絶好。
立ち回りの巧さを活かせない外枠に泣かされ続けて、今回は待望の最内枠。不完全燃焼となったここ2戦の54kg→53kgから今回はさらに1kg減となる52kg。
陣営から「道悪で少し時計が掛かった方がいい」との話もあるように実際にこれまで稍重と重で3勝を挙げており、日本レコードが立て続けに記録された開幕週の高速馬場より雨の影響がある今の馬場も追い風。
一時はオーナーサイドの意向で田辺騎手への乗り替わりになるところを、同騎手が騎乗停止になったことでこれまで続いているチャンス。
使い続けてくれている杉山調教師のためにも加藤騎手にはいい加減に結果を出して欲しい。
8番人気まで評価が急落しており、内枠を引いた今回まで追いかけてみたい。
②ダノンチェイサー(◎)
2〜3歳時はこうやまき賞→きさらぎ賞と連勝を飾り、NHKマイルカップでも直線での不利がありながらも、勝ったアドマイヤマーズから0秒3差の4着に健闘。
レース後に左寛跛行が判明、ダービーへの出走を断念して長期休養に入ることになり、約1年ぶりの復帰戦となった米子ステークスから4戦するも、結局昨年は勝利を挙げられることはなかった。
今年初戦となった東風ステークスでの9着大敗は重に悪化した馬場が敗因で、昨夏の小倉日経オープンでは3着に好走。当時先着を許した上位の2頭はサラキアとボッケリーニで、サラキアは後にエリザベス女王杯→有馬記念と2着に連続好走、ボッケリーニも暮れのGⅢ中日新聞杯を勝利と実力は十分。
ボッケリーニとは当時、こちらが1kg重い斤量を背負っていたが、今回は逆に1kg軽いハンデ。数字上では当時の0秒1差を逆転する可能性はゼロではない。
1800mは【2.1.1.0】と得意にしており、1400mでも口を割る面こそあるだけに折り合いさえつけば。
7番人気なら思い切って本命に推す。
③アンドラステ(○)
重賞初挑戦となった昨春のエプソムカップはキャリア7戦目にして初めて着外に敗れたが、不良馬場で内の先行馬が上位を占めた中で唯一外から脚を伸ばしての0秒2差の4着。負けて強しの内容で、続く関屋記念は流れるペースに中団から脚を伸ばして0秒2差の3着に好走。牡馬相手の重賞で目処を立てた。
秋の京成杯オータムハンデこそ道中からゴチャついてズルズルとポジションを下げられ直線でも今ひとつのチグハグな競馬に終始する0秒6差10着に敗れたが、一息入れられて約3か月ぶりのレースとなった前走のターコイズステークスではハナ差の2着に好走。
その後に左前脚副管骨の骨折が判明し、約半年ぶりの実戦となった前走のマーメイドステークスは初めての2000mに折り合いに苦労する場面に55kgのハンデと厳しい条件が重なっていた中で0秒4差の4着に善戦。
中9週以上のローテーションでは【2.1.0.0】とむしろフレッシュな状態の方が良い印象さえあるだけに初の中2週がどう出るか。
良馬場の【1.2.1.2】に対して、道悪では【3.0.1.1】。雨によって時計の出方が落ち着いてきた点は歓迎で、ダノックスの主戦がこちらに騎乗することからも高い勝負気配が窺える。
④ドリームソルジャー(⋯)
初勝利まで5戦、2勝目を挙げるまでに11戦を要し、32戦のキャリアを重ねてオープン入り。
これまで連対した7戦すべて直線平坦コースで、夏の小倉は条件としては絶好の舞台だが、オープンに昇級してからの3戦はいずれも掲示板内に載れておらず、キャリア36戦目にして初の重賞挑戦になるが、厳しいレースになりそう。
⑤ロータスランド(▲)
キャリア2戦で挑んだ阪神ジュベナイルフィリーズこそ道中でハミを噛んだ上に高速決着も厳しく、12着に大敗したが、約8か月の長期休養明けとなった復帰戦での2着から1勝クラス→2勝クラスを連勝。
マーメイドステークスを除外されたことで出走した、前走の米子ステークスは抜け出してから遊ぶ余裕まで見せる格上挑戦も感じさせない完勝。連勝を「3」に伸ばした。
痛みのあった爪の不安が快勝されたことで、いよいよ素質が開花した格好で重賞初挑戦、初勝利を目指して初めての小倉に遠征。
器用さもある馬とのことで初めての小回りは問題なく対応できそうで、あとは54kgのハンデを背負っての相手関係がどうかだけ。
⑥メイケイダイハード(⋯)
管理する中竹調教師でさえ凡走を覚悟していた昨夏の中京記念で最低18番人気での勝利。
また9戦凡走が続いているが、【1.0.1.10】と苦手としている長距離輸送で前日の土曜日から20kgも落ちた京成杯オータムハンデはともかく、地元関西でも掲示板に載れていない。
中京記念での激走から、やや時計の掛かる良馬場でのハイペースがピンポイントでハマる条件とするなら、当時は53kgの恵量で、3勝クラスの卒業もハンデ戦で53kgの恩恵があっての勝利だった。
中京記念を勝ったことで55kgのハンデを背負って、初めての1800m戦。暑い時期は歓迎のタイプで陣営は新味に期待を寄せるが、様子見が妥当に思う。
⑦アメリカズカップ(⋯)
重馬場のきさらぎ賞勝ちや、不良馬場でのカシオペアステークスを3馬身半差で圧勝した道悪の鬼。
昨春はその重馬場ですら好走が叶わなかったが、夏の小倉記念では高速決着に0秒4差の4着に健闘すると、続く小倉日経オープンでも0秒5差の7着に健闘。
当日輸送の小倉が合うのかは定かではないが、一時の不振を脱出するキッカケまでには至らずに、昨秋からまた凡走が続いている。
2018年のアンドロメダステークスでの3着以来となる約2年半ぶりの好走を目指す今回は、昨夏に健闘した小倉が舞台。
⑧カテドラル(⋯)
3歳時はアーリントンカップ2着、アドマイヤマーズと0秒1差の3着に好走したNHKマイルカップ、秋は古馬とのマイルチャンピオンシップでインディチャンプに0秒5差まで迫る最速上がりを繰り出して6着。
飛躍を期待された昨年だったが、年明けの京都金杯を後方から回ってきただけの17着に大敗すると、苦しくなった時に競馬をやめてしまう気難しさを出し始めて安定しない成績に終始。
結局、リステッド競走の朱鷺ステークスで1勝のみに終わる不本意な一年となった。
5歳を迎えて、約2か月ぶりの休み明けとなった今冬の東京新聞杯は中団からメンバー2位タイとなる33秒5の上がりで鋭く伸びてアタマ差の2着に好走。
前々走のダービー卿チャレンジトロフィーも出遅れて後方からの競馬になりながら、最速上がりで2着。
一昨年のマイルチャンピオンシップ以来となるGⅠへの挑戦となった前走の安田記念は高速馬場に対応できず12着に大敗。初めて背負う58kgも厳しかったはず。
仕切り直しとなる今回はコーナーが4つの1800m戦が大きなカギ。もともと器用さがある訳ではなく、東京1600mからの舞台替わりはマイナスだろう。
過去に連対した6戦は新馬戦を含めて全て中7週以上のローテーション。
精神的に煮詰まってカリカリしやすい気性から今回も短期放牧に出されているが、中5週でリフレッシュが出来ているかどうか。
2歳時は7月の新馬戦→9月の野路菊ステークスと連勝を飾って、昨年唯一の勝利を挙げた朱鷺ステークスは8月。全3勝を7〜9月に挙げているように気温が上昇して汗をかくようになると手前の替え方がスムーズになる馬で暑い時期は歓迎だが、個人的には関屋記念に直行がベストだったように思う。
⑨ボッケリーニ(⋯)
デビュー戦の後、骨折が判明して初勝利は3歳7月までずれ込んだが、以降は3勝クラスでの足踏みこそありながらも掲示板を外すことのない安定感のある走りを続けて約1年でオープン入り。
昇級初戦となった昨夏の小倉日経オープンは勝負処でやや反応が悪くなりながらも、最後の直線で大外から脚を伸ばして後にエリザベス女王杯で2着に好走するサラキアの2着に好走。続くカシオペアステークスも最速上がりを記録して半馬身差の2着に好走、暮れの中日新聞杯では初の2000mの距離ながら高速馬場にも対応してメンバー最速33秒5の上がりで重賞初挑戦で初勝利を飾った。
重賞連勝を狙った今冬の小倉大賞典はハナ差だけ涙を飲んだが、勝ち馬と0.5kgのハンデ差があった57kgを背負って最速タイの上がりで2着ならば負けて強しと言える内容。
前走の新潟大賞典は0秒3差の5着。それほど離された訳ではないが、前にいた馬は捕まえられず、後ろから差された内容は今ひとつ。
約2か月半ぶりのレースで状態が本物でなかったか、レース上がりが37秒を超えるタフな展開が堪えたか。
オープン入りを決めた江の島ステークスは不良馬場、荒れた内を突いたカシオペアステークスからも時計の掛かる荒れた馬場は歓迎だったように思うが、非根幹距離【3.4.0.0】に対して根幹距離は【2.0.1.4】。
様々な要因が重なって伸びを欠いたと見る。
今回は得意とする非根幹距離1800m戦で、舞台となる小倉1800mは昨年、小倉日経オープンでサラキアから2着に好走した絶好の舞台。
ただ、当時はやや時計を要する馬場で、今の速い時計で勝ち負けとなるとどうか。思い切ってバッサリ。
⑩ディアンドル(☆)
デビューから1200m路線を歩み、2戦目の初勝利からマーガレットステークス→葵ステークスまで5連勝。
古馬との初対戦となった同年の北九州記念でも出遅れながら0秒2差の2着に好走し、スプリント界の新女王候補にまでなったが、GⅠスプリンターズステークスは追走に手一杯で13着に大敗。
この大敗によって自信を失ってしまったか、年明けのシルクロードステークスから二桁着順が続く大不振に陥ったが、一気に距離を1600mまで延ばした昨年秋のポートアイランドステークスから逃げる競馬に転じて徐々に復調の兆しを見せると、今冬の小倉大賞典では大きく離れた2番手での追走から勝負どころで先頭を奪いに行く強気の競馬。
最後にテリトーリアル、ボッケリーニに差されたが、53kgの軽ハンデとはいえ牡馬を相手に3着を死守した粘り腰は評価に値する内容だった。
実際に、55kgのハンデながら牝馬同士の対戦だった前々走の福島牝馬ステークスはハナに立ってそのまま押し切り、約2年ぶりの勝利。
前走のGⅠヴィクトリアマイルでは好位の外から渋太く脚を伸ばして4着に健闘。福島牝馬ステークス勝ちは急遽の代替開催だった新潟の荒れた特殊な芝も勝因の一つでもあったと思うが、高速馬場にも対応したことで完全復調をアピールする格好となった。
結局は気分良く走れるかどうかで外枠からスムーズに運べそうな外枠はプラス。小倉も北九州記念の2着を含めて【1.1.1.0】
⑪クラヴェル(⋯)
キャロットファームに所属する期待馬ではあったが、父エピファネイア譲りの激しい気性が災いして条件戦で足踏みが続き、今年から2000m以上の距離で我慢を覚えさせる競馬を続けて、5着→4着→4着。
前々走のシドニートロフィーは好位から渋太く粘って0秒2差の4着に敗れたが、格上挑戦で初めての重賞に挑戦した前走のマーメイドステークスでは後方からのメンバー最速上がりで2着に好走。賞金を加算したことでオープン入りを果たした。
もともと暑い時期の方がいいタイプで、今回は勝って重賞タイトルを目指す一戦。1800m戦への距離短縮で狙いたかった馬ではあるのだが、前走は51kgの軽いハンデに無欲の追い込みがハマった印象で、小回りで捲る必要のある小倉コースとなると届かない可能性が高いように思う。
騎乗予定の横山典弘騎手が小倉で最後に乗ったのは、サンライズマックスで勝利した2009年の小倉大賞典以来となる約12年半ぶり。もう一丁は難しいと見る。
⑫アバルラータ(⋯)
約2年前の2勝クラス卒業から3勝クラスの卒業までに12戦を要して約1年2か月。
オープンに昇級してからも7戦も連続して掲示板外に敗れているが、リゲルステークスでの0秒4差を含めてこの間に1秒以上離されたのはオーロカップだけ。
前走の福島牝馬ステークスも12着ながら0秒7差まで差を詰めている。
器用さに欠ける展開待ちの馬で、条件戦にいた頃から差して届かずの競馬続き。
7歳牝馬に上積みは厳しく、ここでも差して届かずの競馬になりそう。
【結論】
本命 ③アンドラステ
馬単ボックス:①②③⑤⑩
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