天皇賞(春) 2020【予想】
3200mの距離ながら、開催2週目による高速化やレース中盤で緩むこともあって中距離志向が強いレース。去年の勝ち馬フィエールマンは前年にラジオNIKKEI賞2着、2着馬グローリーヴェイズも前年にきさらぎ賞で2着。一昨年の勝ち馬レインボーラインにしても秋の天皇賞で3着しており、一昨年の勝ち馬キタサンブラックはGⅠ大阪杯勝つなど中距離でも戦えるスピードも併せ持っていることが求められる。
過去5年の勝ち馬は全馬菊花賞での連対実績を持っていたことや複数のリピーターを生んでいるように距離適性よりも京都コースへの適性を重視したいところ。
今年に関していえば武豊騎手が騎乗する⑧キセキが展開のカギを握ることになりそうではあるが、レースを壊すような騎乗をする騎手ではなく、前に行くにしても控えるにしても後半4〜5F勝負に持ち込むのではないか。
また、本日は午後より雨との予報も出ているが、レースまでには降らないと見る。
①モズベッロ
年明けの日経新春杯を含めて3勝を挙げる京都外回りコースへの適性はこのメンバーでも威張れるもので、前走の日経賞では直線で⑤ミッキースワローに寄られる不利もありながらも連対を確保。日経新春杯より4kg増の56kgは勝った⑤ミッキースワローと同斤量であり、中山巧者を相手に互角ともいえるレース内容は力をつけていることを示すには十分だった。
今回はさらに2kg増える58kgの克服と、開催2週目の高速馬場への対応が課題になる。時計の掛かる馬場で結果を残してきただけに雨が降ってくれた方がいい。
②エタリオウ
最強の1勝馬から善戦マンにキャラクターが変わりつつあるが、前走の日経賞はロングスパート合戦の中、4角2番手まで押し上げながら0秒6差に粘っており、内容は良くなっている。
昨年は1・2着馬からは離されたものの、3着パフォーマプロミスとはクビ差であり、菊花賞2着の実績もある。人気も落ち着いてきたし、突き抜けるかまではさすがにどうかも、馬券圏内への好走はあっていい。
③トーセンカンビーナ
重賞こそまだ経験がないが、京都は2戦2勝と得意にしている舞台。昨年の青葉賞以来となる2度目の重賞挑戦だった前走の阪神大賞典は先行馬総崩れの展開利こそあったが、上がり3Fは勝った⑦ユーキャンスマイルと並ぶ最速タイで2着に好走。
勝った⑦ユーキャンスマイルとは通ったコースの差もあったし、これまで直線の長い外回りコースで上がり32秒〜34秒台の脚を使っての好走がほとんどだっただけに、内回りコースで上がり35秒8を要するレースで好走できたことは大きい。
舞台替わりは大幅なプラスだし、本日芝で3勝を挙げているディープインパクト産駒。出遅れはもう仕方がないとして、あとは3kg増える58kgの斤量だけ。
④ダンビュライト
昨年の京都記念勝ち馬で、京都大賞典でも2着と京都外回りは合う。今回はジャパンカップ以来となる去勢手術明け初戦だけに様子見。
⑤ミッキースワロー
意外にも春の天皇賞は初挑戦で、京都コースは京都新聞杯5着、菊花賞6着。
中山や福島を得意にしているように直線が短いコースではGⅠを除くと【5.2.2.3】と掲示板を外したのは札幌記念のみという安定感。
前走の日経賞はロングスパート合戦による展開利もあって得意の中山。地力でどこまで。
⑥スティッフェリオ
前走の日経賞ではロングスパート合戦を先に動いたぶん差されての3着となったが、差す競馬にメドを立てられたことは収穫で内容は良かった。
直線の短いコース【8.2.3.9】
直線の長いコース【0.1.0.4】(※2着は新馬戦)としているだけに、脚質転換で克服できるかどうか。
⑦ユーキャンスマイル
昨年こそ年明けから3000m級レースを2戦した疲れもあってか5着に敗れたが、菊花賞3着や万葉ステークス2着があるように京都コースでの実績はあって、もともと本番のこのレースで狙いたかった馬。
阪神大賞典を勝ったことで人気してしまうことも痛いが、それ以上に手の内に入れていた岩田康騎手からの乗り替わりが痛恨だろう。
昨年の5着敗退後、新潟記念優勝や秋の天皇賞4着で中距離でのスピードを示してきたし、4か月ぶりで12kg増の急仕上げだった前走から上積みも見込める今年はリベンジのチャンスもまだ残っているはず。
⑧キセキ
昨年暮れの有馬記念では勝ったリスグラシューは別にして、2着サートゥルナーリアとは0秒3差と現役トップクラスの能力を持っているが、その有馬記念に続いて前走の阪神大賞典でも出遅れてしまい、晩年の父を彷彿とさせる気難しい面が出てきてしまった。
その阪神大賞典は1秒ほど出遅れて3分3秒6の走破タイムで、まともに出ていれば単純計算レコードに近いタイムで駆け抜けていたということ。ただ、同じレースをしては勝てないことが明白なだけに、武豊騎手がいかにリラックスさせて走らせてあげられるか。
鮮やかな復活劇もイメージできるが、5倍の単勝オッズでは妙味がなく凡走リスクの方が大きく感じる。
なお、武豊騎手と菊花賞馬のコンビは【6.1.0.0】
⑨ミライヘノツバサ
前走のダイヤモンドステークスでは最低人気での激走を見せたが、脚元を気にせず思い切って攻め続けたことで馬体が復活したもので、フロックではない。
ただ、さすがに今の高速馬場ではスピード不足で京都コースも【0.0.0.3】。雨が降ってのマラソンレースにならないと厳しいのではないか。
⑩メロディーレーン
昨年の菊花賞はメンバー最速タイの上がりで追い込んでの0秒4差5着。1kgとはいえ、当時の55kgから56kgは300kg台の小柄な牝馬には堪えるのではないか。
⑪メイショウテンゲン
ステイヤーズステークス4着、ダイヤモンドステークス2着、阪神大賞典3着と3000m級レースで好走を続けているが、いずれも中盤が緩まずスタミナが問われるバテ差しレースになったことが味方した。
ここではスピードの面で厳しいところがあるし、ここまでの疲労も心配なところ。
⑫シルヴァンシャー
重賞初挑戦となった前走の京都大賞典では0秒3差の3着に好走。その京都大賞典を含めて全9戦中8戦でメンバー3位以内の上がりをマークしており、池江調教師がメトロポリタンステークスではなく、こちらへの出走に踏み切ったことからも、ここでの好走の可能性も感じさせる。
とはいえ、中29週での初挑戦戴冠は現実的ではなく、鞍上のデムーロ騎手も3000m超の長距離戦となると信頼度は落ちる。馬券圏内が妥当な目標ラインだろう。
⑬ハッピーグリン
昨年の札幌日経オープンで2着に走っているが、ここではいかにもスピード不足だろう。
⑭フィエールマン
連覇に挑む一昨年の菊花賞馬で、京都実績は文句なしのナンバーワン。中盤で緩めば脚をタメて速い上がりを使えるため現代の長距離戦は理想的。
今年は有馬記念以来となる最長の中18週での挑戦になるが、菊花賞を中15週、昨年の天皇賞は中13週で勝っており、おそらく大丈夫だろう。
掛かる面があって大外枠だから、掛かり通しで自滅ぐらいしか凡走は期待しづらい。
【結論】
単複 ①モズベッロ
前走日経賞組が過去5年で【0.0.0.24】のデータは気になったが、昨年の②エタリオウは3着とクビ差の4着だったし、2013〜2014年はフェノーメノが日経賞をステップに連覇を果たしている。
速い馬場については…1800mの白百合ステークスで2着から何とか対応して欲しいところ。
⑭フィエールマンに勝つことは簡単ではないが、掛かり通しになったり凡走があれば他馬とは差がないはずで最内を上手く活かせば。
父ディープブリランテと森田調教師に初GⅠ勝利をプレゼントして欲しい。