オークス 2020【予想】
馬場の高速化に伴い本レースでも2015年と2016年に2分25秒0、2017年には2分24秒1、アーモンドアイが勝った一昨年は2分23秒8、去年はなんとジェンティルドンナの持つオークスレコードを0秒8も更新する2分22秒8の破格の時計が飛び出した。
土曜メインのメイステークスが1分44秒3(ダノンキングリーが勝った昨秋の毎日王冠が1分44秒4)での決着と先週に続いて高速馬場。
上がり最速馬は過去5年で【4.1.1.1】に対して、4位以下だと【0.2.3.66】と最後の直線でのスピードがなければ話にならないレース。
先週までは先行馬有利の馬場状態だったが、土曜に行われた芝での6鞍は4角先頭〜2番手の馬が【0.0.3.9】と勝ち馬のほとんどが中団からの競馬。
後半勝負に強い馬を狙いたい。
①デゼル
キャリア2戦目で挑んだスイートピーステークスはスローペースの直線勝負を後方13番手から次位に0秒8差つける最速32秒5の上がりで差し切った内容は確かに強烈なインパクトだった。スマートリアンを物差しにすればチューリップ賞組と同等以上の評価でもいいのかも知れないが、当時は超がつく高速馬場で勝ち時計の1分47秒1は、前日の未勝利戦より0秒1速いだけ。
それでもキャリア2戦目での勝ち方としては価値が高いし、レーン騎手が短期免許の予定を変更までして騎乗するだけに素質の高さも解るが、もともと体質が弱くてデビューが遅れた馬。
中2週で2度目の東京への遠征に加えて、いずれも高速馬場では負担に対する不安の方が先行する。
②クラヴァシュドール
前走の桜花賞は勝負処で大きく位置取りを下げるロスがありながら、直線で盛り返しての4着。
東京の高速馬場はデビュー2戦目のサウジアラビアロイヤルカップでサリオス相手に0秒2差に食い下がった舞台。その勝負根性でこれまでの5戦すべてで4着以内に走ってはいるが、チューリップ賞から仕上げる中内田厩舎であることを考えれば、今回は3着までが限界ではないかと見る。
③アブレイズ
キャリア2戦目で勝利したフラワーカップは高く評価しており、先週までの先行有利の馬場状態から当初の本命候補であったが、今の馬場状態で押し切ることは至難の業。GⅠ級の器だと見ているが、今回はさすがに難しいのではないか。
④デアリングタクト
今年のメンバーでは1頭だけ牡馬が混じっているかのような筋骨隆々の馬体。桜花賞では道悪はむしろプラスと見てレシステンシアに勝てると予想したが、上がり3Fで次位の②クラヴァシュドールに0秒5つけた直線の伸びは1頭だけ別次元を思わせるものだった。
後半に強い馬を狙う観点から、本馬が一番相応しいことは明白だが、桜花賞でも間隔が詰まることを懸念してエルフィンステークスからの直行を決めた経緯があり、今回も間隔を考量して来週のダービーの可能性さえ示唆したほど。
折り合いがつくなら距離延長はむしろプラスだが、使うごとにテンションが上がるエピファネイア産駒で桜花賞でもハミを噛む場面があったぐらい。前に馬を置きやすい内枠が吉と出るか、揉まれることで凶と出るか。1倍台の信頼となると怪しい面がある。
⑤ホウオウピースフル
ブラストワンピースの半妹であるこの馬も、折り合いさえつくなら2400mもなんら問題はないが、1000m通過が58秒6だった前走のフローラステークスでさえ行きたがった程の気性。これまで間隔を空けて使われてきたが、中3週で挑む今回はこれまで以上に折り合いに苦労することは想像に難くない。
⑥リアアメリア
東京はアルテミスステークスで後方から直線一気のレースで勝ち切った舞台。前半からペースが流れたここ2戦はいずれも惨敗を喫してしまったが、東京2400mに替わることでの変わり身はあるかも知れない。
⑦ウインマイティー
デイジー賞〜忘れな草賞の連勝からも父ゴールドシップ同様に小回り急坂コース向きの印象は拭えず、上がり3Fの自己ベストは前走忘れな草賞の34秒8。高速馬場の東京コースでは厳しいだろう。
⑧スマイルカナ
前走の桜花賞では終始レシステンシアにマークされながらも最後まで粘り通して3着を確保。これでハナに立った際の成績は①①①③着と自分の型に持ち込むことが出来れば強く、今回も迷いはないだろう。
ただ、先週までの馬場ならともかく、この東京2400mを逃げ粘ることは容易ではない。
⑩ミヤマザクラ
全兄ポポカテペトル、ボスジラほど距離適性は長くはなさそうだが、それでも高速マイルと比較すれば2400への距離延長はプラスに思える。
上がり3Fの自己ベストはクイーンカップに勝った時の34秒3で、高速馬場への対応は課題となるが、東京への長距離輸送をすでに経験していることはプラスだし、桜花賞馬の強さを前走で確認した武豊騎手がバテない強みを活かせれば。
⑪リリーピュアハート
前々走で今回と同じ舞台であるゆりかもめ賞を牡馬相手に勝っているが、2分27秒台の時計が出た当時とはまるで馬場が違う高速馬場。
輸送を含めて経験値でのアドバンテージはあっても、このメンバーだとスピード不足だろう。
⑫マジックキャッスル
⑰マルターズディオサの2着だったサフラン賞、レシステンシアの2着だったファンタジーステークスはいずれも展開の恩恵があってのもので、⑩ミヤマザクラの2着だったクイーンカップはレースレベルに疑問。
折り合いに苦労するタイプではないだけに、同世代相手なら2400mも対応可能に思えるが、勝ち負けまでは厳しい印象。
⑬ウーマンズハート
平坦で軽い馬場での新潟2連勝後、阪神1600mに舞台を移して3連敗。道悪の影響があったにしても前走の桜花賞は勝負処でもう手応えが怪しくなって16着。
質の軽いレースが狙いどころと見ている。
⑭フィオリキアリ
桜花賞は得意のバテ差しの展開でメンバー3位の上がりを使って7着。1600mだと追走に苦労する面もあったので、距離延長がプラスに働くかも知れない。
新馬戦では33秒6の最速上がりを記録しており、ブービー人気ほどは好走可能性のない馬ではないと思う。
⑮チェーンオブラブ
フェアリーステークスでの⑧スマイルカナを物差しにすればもう少しやれてもいいはずだが、今回も厳しいレースになりそう。
⑯ウインマリリン
前走のフローラステークスはマイナス10kgの仕上げを含めて、様々な追い風が吹いた。
持ち前の先行力を活かして粘りを見せたいところだが、勝ち負けまではどうか。
⑰マルターズディオサ
前走の桜花賞で初めて連対を外したが、重馬場での消耗戦を3番手先行ではさすがに厳しかった。
それまで【3.2.0.0】とペースやコースを問わずに安定したレースをしていただけに13番人気の低評価は、さすがに舐められ過ぎの印象。複勝は買いたい。
【結論】
本命 ⑱サンクテュエール
こちらもキャリア4戦目にして初めて連対を外したが、初めて経験する消耗戦では仕方がなかった面はある。
東京2400mに替わる今回はゆったり追走できて脚をタメられるだろうし、輸送の負担も少なく東京コースもアルテミスステークスで経験済み。
瞬発力勝負での巻き返しを期待したい。