アンタレスステークス 2021【予想】
夏に行われる帝王賞への始動戦、あるいは来月のかしわ記念へのステップレースにもなっているレースで、上がり馬より実績馬が強い。前走地方交流重賞組は過去5年でも【4.3.0.10】としており、地方交流重賞に出走できるだけの賞金を稼いでいる実績馬だけの数字を残している。
一方で前走が3勝クラスだった馬やオープン特別またはリステッド競走だった馬は壁に跳ね返されている馬がほとんど。
阪神へと舞台を移した過去9年で7回が1分50秒を切る高速決着で、今年も昨日の雨が残った脚抜きのいい馬場が想定されるだけに速い決着が予想される。
ただし、短距離馬がスピードが活かしての好走というよりスピードを持続させる能力が問われるために距離短縮組が圧倒的に優勢。
同距離の中で断トツで多い前走マーチステークス組が【0.1.3.28】と振るわないのは、マーチステークスが3F〜4F目のコーナーで緩んで1分52秒台の決着が多くなることに対して、本レースは4F目が向正面のために4F目から12秒台のラップを踏み続ける必要があることによるものだろう。
勝ち時計は平均3秒近くも速く、急坂を含めて似たコース形態に見えてもレースの性格は全く異なる。
過去の好走馬の4角位置取りを見ると、多くの馬が4〜5番手以内で通過しており、ある程度の位置からスピードを持続できる馬を狙いたい。
①ケイアイパープル(⋯)
オープンクラスへの昇級初戦となった昨夏のマリーンステークスは砂のキックバックを嫌がりながらも勝ったタイムフライヤーまで0秒8差の4着に健闘。
前走の東海ステークスはその健闘から約半年ぶりのレースで重賞初挑戦であったが、逃げるインティにプレッシャーをかけながら4角で早め先頭に立つ強気すぎる騎乗から1秒1差の7着に粘った。
秘めた能力は持っていそうだが、最内枠を引いた今回は難しいように思う。
②アルドーレ(⋯)
重賞初挑戦となった一昨年のマーチステークスから約1年1か月ぶりの復帰戦となったオアシスステークスこそ1秒差の11着に敗れたものの、続くスレイプニルステークスでは最速上がりで0秒4差の5着まで追い込んで、ロードブレスとはアタマ差まで迫った。
続くジュライステークスは向正面で一気に後方から先頭に躍り出る積極的な競馬で、直線では並びかけられてもかなりの勝負根性を見せて重賞戦線でも勝ち負けを続けているクリンチャーと僅か0秒3差。
昨夏の阿蘇ステークスで小倉1700mらしい早仕掛けの持続力戦をしっかり競り勝ってGⅢシリウスステークスに挑戦したが、0秒6差の6着。
中京コースで出遅れて後方から大外ぶん回しでは最後に止まって当然。
そのシリウスステークス以来、約5か月ぶりのレースとなった前走の総武ステークスは勝負処からモタついて直線も伸びを欠いて11着に大敗。
半姉がJBCレディースクラシックを勝ったアンジュデジール、昆調教師も「パワー型で大井とか地方が合うと思うので東京大賞典あたりを使ってみたい」と話しているが、条件戦時代に同じ阪神1800mで1分49秒2の好時計で走ったことがあって【3.1.0.0】と戦績としては悪くない。
③レピアーウィット(☆)
砂を被ると嫌気が差してやめてしまうことがある気難しい馬だったが、昨春にホライゾネットを着用してから安定するようになってきた。
栗東ステークスでは1分21秒9というスピードが要求された決着の中、地方交流重賞で3勝を挙げていたサクセスエナジーまで半馬身差の2着。
スタミナが要求される中山1800mの前走ラジオ日本賞では勝負処から早めに先頭に立つタフな展開を押し切っての勝利と全く違う質のレースで内容の濃い競馬。
崩れたアハルテケステークスはスタートで出遅れてリズムを崩したことが全ての11着で、武蔵野ステークスはGⅠ並みの豪華メンバーが揃った先行馬総崩れの差し決着を3番手からの先行策が裏目に出た格好。
前走のマーチステークスでは新たに装着したクロス鼻革の効果もあってか、好位3番手から直線で抜け出して重賞初勝利を飾って充実期を思わせる。
【3.0.1.1】としている中山ダート1800mがベストに思えるが、全兄が芝GⅠも勝ったアジアエクスプレスで本質的にはスピードタイプ。
中山で挙げた3勝は良発表も、好走した4戦はいずれも1分51秒台とそれなりに速い決着だっただけに、条件替わりがマイナスになるようには思えない。
④テーオーケインズ(▲)
鳳雛ステークスでミヤジコクオウらを相手に6着に大敗したものの、躓いて出遅れたことを考えれば悲観する内容ではなかったが、休養を選択。
昨秋、自己条件からの再スタートを切ると2勝クラスを4馬身差、3勝クラスを2馬身差の完勝と連勝であっさりオープン入り。
昇級初戦となったベテルギウスステークスでは、次走で東海ステークスを勝つオーヴェルニュにアタマ差まで迫る2着に好走すると、暮れの地方交流GⅠ東京大賞典でも0秒2差の6着。
超スローペースによる大接戦になったためで額面通りには受け取れないが、前走の名古屋城ステークスは好位3番手からノーステッキでの楽勝。
GⅢレベルなら勝ち負けするレベルにはある。
道悪も不良馬場だった前走の勝ち時計が1分49秒3となんの問題もなく、直線急坂コースも歓迎。
なお、阪神開催の過去9年、前走で0.5秒差以上の着差で勝った馬は【5.1.0.3】と連対率66.6%
⑤グリム(△)
3歳の時からレパードステークスでの逃げ切りや白山大賞典での5馬身差の逃げ切りと活躍を見せており、
翌年も本レースでの2着に名古屋大賞典勝ち、白山大賞典の連覇とダート重賞で活躍を続けていた中で屈腱炎を発症
昨秋の復帰も報じられたが、体調が整わなかったのか長期離脱となって前走の黒船賞は約1年半ぶり。
先手を取れたものの早々と捕まって大敗を喫したが、もともと叩き台で距離不足でもあったことを考えれば度外視していいレース。
もともと【6.0.1.0】と得意にしていた距離延長で復帰2戦目の上積み。時計面ではどうかも期待値は高い。
⑥モズアトラクション(◎)
気難しさを抱えながらも2019年は平安ステークスでの2着やエルムステークス勝ちとダート戦線で活躍を見せていたが、昨年屈腱炎を発症。
屈腱炎の治療に合わせて去勢手術を決断して、約10か月ぶり長期休養明けのレースとなった前走の仁川ステークスは外に持ち出すまでのロスがあった中で渋太く脚を伸ばして3着に好走。
もともと一昨年2着に好走した平安ステークスは両馬ともに帝王賞前の前哨戦で斤量差があったとはいえ、チュウワウィザードとハナ差、オメガパフュームには先着しての2着で実力はあって普通に走ればオープン程度での好走は驚けない馬。
昨年の本レースにしても持続力型の本馬を馬群に突っ込ませた自滅であり、去勢によって気性が改善された中で10番人気なら妙味は十分。
1800mの持ち時計こそ乏しいが、エルムステークスは1分41秒9の時計で勝っているだけに道悪馬場に不安もなく、56kgも魅力。
⑦アナザートゥルース(○)
昨年はダイオライト記念での2馬身差の完勝から本レースで58kgを背負って2着に好走。
暮れのGⅠチャンピオンズカップでは3番手からの先行策まではとれたものの、勝負処で砂を被ったことから失速したが、続く東海ステークスでは時計の出る重馬場を味方に1分49秒5の走破時計で2着に好走。
約2か月ぶりの実戦となった前走のダイオライト記念は最内枠もあって、休み明けながら果敢にハナを奪ったが、早めにプレッシャーをかけられてほとんど雁行する厳しい展開ながら0秒5差の3着に粘り切った負けて強しの内容。
オープン入り後の稍重〜重馬場成績を【2.3.2.2】としているように乾いた砂よりも脚抜きのいい道悪でこそ強さを発揮するタイプで、実際に一昨年の本レースは6番人気で勝利、昨年も58kgを背負って7番人気で2着と2年連続で好走している。
前走の2400mから【6.6.0.4】としている1800mへの距離短縮も歓迎で昨年より1kg軽い57kgも魅力。
テン乗りとなる藤岡佑騎手に少なからず不安はあるものの、それで4番人気ならお買い得かも知れない。
⑧ヒストリーメイカー(⋯)
昨年の仁川ステークスを勝って以降は重賞戦線で7戦続けて掲示板内への好走を続ける安定感。
昨夏は地方の小回りや馬体減が続いたこともあって交流GⅢマーキュリーカップと白山大賞典での苦戦もあったが、11kg増と馬体回復に成功した昨秋のみやこステークスでは2着に好走。GⅠジョッキー北村友騎手への勝負の乗り替わりも奏功した格好だが、大きなストライドで走るだけに広い中央の方が合っている。
実際に地方交流GⅢ浦和記念では5着とパフォーマンスを落としており、暮れの地方交流GⅠ東京大賞典ではオメガパフュームと0秒1差の4着だが、これは超スローペースによる接戦になったため。
中央に戻った前走のマーチステークスは約3か月の休み明けながらパワーとスタミナが活きる中山1800mで強さを見せる2着に好走。
もともと叩き良化型でここが本命だったはずで、初の重賞タイトル獲りに挑むが、どちらかといえばスタミナ型の印象で1分49秒台の高速決着となると疑問。
⑨ダノンスプレンダー(⋯)
調教でキレないことからデビューからダート路線で堅実な走りを続けて、これまで【5.2.3.2】の安定感。
着外に敗れた2戦はいずれも重賞だが、シリウスステークスは出遅れて、東海ステークスは先行馬に厳しいペースで時計も本馬にとっては速すぎたよう。中1週で挑んだ目に見えない疲労も少なからずあったはず。
単に中京(左回り)【0.1.0.2】が合わなかった可能性も考えられるが、今回はメンバーも強いだけに高速決着必至の馬場を考えると厳しいレースになりそう。
⑩ミヤジコクオウ(⋯)
デビューからダート中距離戦線を歩んで、3歳時には鳳雛ステークス勝利にGⅢレパードステークスでも2着に好走する活躍。
約4か月後の復帰戦から古馬と走るようになったが、これまで5戦して3着内好走はなし。
エンジンの掛かりが遅いズブいタイプだけに1800mでは短いぐらいなのだろう。2000mの距離で乾いたダートだった仁川ステークスでは外々を回りながら0秒4差の4着に健闘しており、ポルックスステークスでは後方から最速上がりで0秒7差まで追い上げていた内容から出遅れてなければもう少し差が詰まっていたはず。
今回はメンバーも揃っている上に1800m。仮に乾いて良馬場になっても厳しいように思う。
⑪メイショウカズサ(⋯)
未勝利を卒業するまでに9戦も要したが、昨夏の阪神1800mで初勝利を挙げると、それまでの詰めの甘さが嘘のように4連勝でオープン入り。
昇級初戦となったカノープスステークスは出遅れてハナに立つまでに脚を使ったが、3角でもう手応えが怪しく、4角で早々と後続に飲み込まれる大敗。
騎乗した和田竜騎手が「聞いていたよりも行きっぷりが良くなかった」とレース後に語ったことから、状態に問題があったのか、気性的な問題か。
前走の名古屋大賞典ではスタートで隣の馬と接触する出遅れで逃げることさえできずに終戦し、オープン入り後は自分の形に持ち込めずに大敗が続いているが、阪神1800mは1分49秒4の好時計での逃げ切りも含めて【2.0.0.1】としている得意条件で道悪もプラス。
スタート次第になるが、人気がないなら。
⑫ロードゴラッソ(⋯)
一昨年のシリウスステークス勝ちから重賞戦線で健闘を続けており、GⅠ以外の10戦で掲示板外に敗れたのは昨年の本レースとエルムステークス、前走のマーチステークスといずれも中央重賞。
昨年の本レースはそれまで中2~5週のローテーションで使われ続けた疲労に稍重での1800m戦で1分49秒台の決着はスピード的に厳しく、エルムステークスでは休み明けで出遅れた上に1700mの距離も短かかった。前走のマーチステークスにしても勝負処で置かれたまま直線での伸びを欠いて11着に大敗。
全5勝を良馬場で挙げており、年齢を重ねたことから1800mならパサパサの良馬場か地方交流重賞でないと厳しくなってきたのかも知れない。
今回は昨年と同様に1分49秒台が想定される馬場なら厳しいレースになりそう。
⑬レーヌブランシュ(⋯)
デビューからダートを使われて昨春の関東オークスで重賞初勝利を飾ると、古馬と走るようになってからも年明けのTCK女王盃で2着に好走。
前走のエンプレス杯は出遅れた上に2角で松山騎手が立ち上がるほどの不利もあっただけに参考外。
マリーンカップを除外されたことで、今回が中央重賞初挑戦になるが、牝馬限定の地方交流重賞でも好走に条件がつくだけに牡馬相手の中央重賞での好走となると簡単ではないはず。
⑭ロードブレス(⋯)
ダートに転向した昨年の年明けから一気の3連勝でオープン入り。昇級初戦となったスレイプニルステークスこそ4着に敗れたが、リステッド競走のBNS賞を勝つと、続く船橋の日本テレビ盃で重賞初勝利。
年が明けてからの近2走は川崎記念→名古屋大賞典と蓋をされて動き出しが遅らされたり、中途半端に脚を使わされたりチグハグな競馬が続いているが、昨秋の浦和記念ではダノンファラオにハナ差まで迫る2着に好走しており、昨年の本レースを勝ったウェスタールンドにも先着しているように実力は十分。
今回は初の中央重賞挑戦になるが、これまで地方を含めて直線平坦コースを中心に使われている点が気掛かりで、2100mの距離もあったかも知れないが、スレイプニルステークスでは坂を登り切ってから脚色が他馬と一緒になったように歓迎ではないように思う。
稍重~不良は【2.1.0.1】としており、今回からチークピーシーズ着用して集中力の向上を図るが、58kgの斤量まで考えると手を出しづらい。
⑮ケンシンコウ(⋯)
メンバー3位タイの上がりで追い込んで3着に好走した昨年のユニコーンステークスに、好スタートに加えて馬が行く気を見せたことで一転して逃げの手に出て、そのまま逃げ切ったレパードステークスも先行有利の新潟1800mで脚抜きのいい不良馬場。
古馬との初対戦となった昨秋の武蔵野ステークスは、レース前から発汗が目立って消耗していた上に掲示板に載った5頭中、3頭が4角10番手以下だった差し決着を4番手からの先行策だけに11着大敗も仕方ない。
東海ステークスで復帰予定が白紙になり、今回もその武蔵野ステークス以来となる約5か月ぶりのレースで初の関西遠征。
レパードステークスは不良馬場でスピードを活かした1分49秒2のコースレコードでの逃げ切りだっただけに道悪は臨むところだが、2馬身半差をつけたミヤジコクオウがオープンでの好走がまだない中で57kg。落ち着いて臨めたとしても先輩馬をスピード持続力戦でねじ伏せるのは難しいと見る。
⑯ナムラカメタロー(⋯)
昨年は年明け初戦の交流GⅢ佐賀記念を勝って、続く名古屋大賞典でも3着に好走。
大沼ステークスと太秦ステークスはいずれも休み明けに58kgと厳しい条件が揃っており、スピードよりもスタミナタイプの本馬には脚抜きの良い不良馬場も厳しかっただけに度外視も可能な敗戦。
昨秋はそれから状態が上がってくることがなく、良馬場に替わったみやこステークス、師走ステークスともに先行策すら取れずに7着→9着と掲示板にさえ載れない凡走が続いたが、前々走の総武ステークスでは鮮やかな変わり身を見せて快勝。
得意とする乾いた良馬場ではあったが、休み明けの復調途上に58kgの斤量を背負っていたことを考えれば上々の内容で、前走のマーチステークスでも稍重馬場の中で番手から勝ちに行って0秒8差の6着。
状態は確実に上昇曲線を描いているが、乾いた良馬場なら7戦5勝としている反面、稍重~不良馬場となると【1.0.2.4】とスピード勝負は歓迎ではない。
【結論】
複勝 ⑥モズアトラクション
⑦アナザートゥルースの単勝から買い増した。