京都記念 2021【予想】
例年なら連続開催後半になるタフな馬場状態で行われるが、今年はロングラン開催の開幕週。
メインの洛陽ステークスは1000m通過62秒2の超スローペースによって1分35秒2と遅い決着になったが、レッドガランが記録した最速の上がり3Fは32秒7と速い数字で、2勝クラスの1400m戦で1分21秒0。
ロングラン開催を見越して異常に時計が出る馬場も懸念していたが、ひとまず常識的な高速馬場か。
ラップ的には⑨ダンビュライトあたりがレースを引っ張りそうだが、前残りが目立った昨日の傾向からプレッシャーをかける形での追走か、早めに動く持続力戦を想定しておく。
例年なら前走でGⅠを使われている4〜5歳の実績馬から考えれば問題ないレースだが、今年は小粒。
実績だけに囚われずに高速馬場と持続力戦に向いた馬を中心に考えたい。
①ハッピーグリン(⋯)
昨春の天皇賞13着以来となる約9月ぶりの復帰戦。
森厩舎が好む少頭数のGⅡ戦使いだろう。
②ステイフーリッシュ(⋯)
3歳春の京都新聞杯以降、勝ち星から遠ざかるワグネリアン世代の善戦マンも明けて6歳になった。
昨年も実績の無かった2400mを超える距離になる目黒記念をトップハンデの57.5kgを背負って0秒2差の3着に好走し、秋の始動戦オールカマーも3着、続く前々走の京都大賞典は中1週での強行軍にも思えた中でグローリーヴェイズから0秒4差の5着に健闘。
前走のアメリカジョッキークラブカップでも勝負処で手応えが怪しくなる中、渋太く粘って0秒4差の4着。
古馬と走るようになってからの16戦の内、根幹距離では【0.2.3.5】、非根幹距離では【0.2.3.1】と凡走率がまるで違う結果となっており、3年連続での参戦となる本レースも過去2着→3着に好走。
開幕週の馬場も、昨春の目黒記念は高速馬場に加えて57.5kgのハンデを背負って3着に好走している。
年を重ねてズブくなっている分、2200mの距離での高速馬場となると追走の負担増に速い上がりも必要になりそうなだけに今回も勝ち切るまではないだろう。
③ベストアプローチ(○)
屈腱炎発症に去勢手術、転厩と約2年2か月ぶりに復帰してからの2戦は6着→10着に敗れたが、いずれも距離が短かったことも少なからず影響したはず。
Galileo系の New Approach 産駒ではありながら、3年前の菊花賞では不良馬場に追い出してからノメったように、大敗した前走のアメリカジョッキークラブカップは不良馬場で参考外。
実績のある東京替わりとなった前々走のアルゼンチン共和国杯では距離延長も追い風となって7着ながら0秒5差に健闘しており、開幕週の馬場は歓迎。
もう少し距離が欲しいところだが、10番人気とここまで人気がないのであれば大穴で期待したい。
④ラヴズオンリーユー(◎)
デビュー4連勝でオークスを制覇したリアルスティールの全妹。年長馬との初対戦となったエリザベス女王杯でも0秒2差の3着に好走して世代トップレベルの能力を示したが、昨年は香港遠征中止やドバイへのカラ輸送など紆余曲折もあって調整に苦労した一年。
約4か月半休ませての始動戦となった昨秋の府中牝馬ステークスでも0秒8差の5着。重馬場が主な敗因と考えられるが、距離不安がありながら飛ばして逃げたトロワゼトワルさえ捕らえられなかった点から状態がまだ戻り切っていなかったのだろう。
エリザベス女王杯ではスローペースの中、メンバー2位となる上がりで追い込んで0秒1差の3着に好走。
叩き3走目となった暮れの有馬記念は0秒9差の10着に大敗したが、馬場の悪い内に押し込まれる形で牡馬相手の内回り2500mでは厳しかっただろう。
今回は一息入れての始動戦。今回から手綱と取る川田騎手の進言によりハミをトライアビットに替えて操縦性が向上しているとのことで、元々高速馬場は得意にしており、これまで【3.1.2.0】と着外のない関西圏。
前述の有馬記念を除けば【3.1.0.0】としている良馬場でレース上がり35秒以上の競馬を考えれば、持続力戦になりやすい内回り2200mは好条件。3週連続で追い切りに跨って感触も掴んでいる川田騎手ならポジションを取りに行ってくれるだろう。
⑤ダンスディライト(⋯)
2勝クラスを勝ってからの左回りを使われた3戦は4着→4着→10着と足踏みが続いたが、前々走の西宮ステークスはほぼ最後方から33秒9の最速上がりで追い込んでの3着。前走のオリオンステークスはスタートも決まって3番手からの競馬になったが、先行策でも末脚は鈍ることなく快勝してオープン入りを果たした。
重賞初挑戦の舞台は日経新春杯も検討されたが、全4勝を挙げる得意の阪神まで待機。
桜花賞馬ダンスインザムードを母に持つ良血馬だからか4番人気の支持。今回のメンバー相手なら舞台適性を武器に好走してみせる可能性もあるが、スタートの課題が解決したとは言い切れず、福永騎手ならともかく岩田望騎手ではどうか。
⑥レイエンダ(⋯)
2019年は富士ステークスで直線ほぼ最後方からメンバー最速の33秒0の上がりで追い込んでノームコアから0秒1差2着の好走もあったが、母ラドラーダの産駒は完成度の高さで勝負する馬が多く、5歳を超えると成績が急激に落ちる。
年度代表馬にも輝いたレイデオロでも例外ではなく、本馬も前走でダートを使われたりと迷走中。
⑦ワグネリアン(☆)
福永騎手をダービージョッキーにした本馬も明けてもう6歳を迎えた。
ディープインパクト✕米国型血統は年を重ねると筋肉が硬くなる傾向があり、本馬もアーモンドアイが勝った高速馬場の天皇賞で0秒6差の5着に敗れて、続く重馬場のジャパンカップで3着。
数を使われていない分、昨年の大阪杯では直線で前が壁になりながら5着と高速馬場でもそれなりに走っているだけに、今回の手薄なメンバー相手であれば喉の手術明けによる復活があっても。
⑧モズベッロ(⋯)
今回と同じ舞台、阪神2200mでは昨年の宝塚記念で3着に好走。ハッピーマウスビッドという口当たりが優しい馬具を中間から着用した効果もあったか、クロノジェネシスとキセキには離されながらも一線級のメンバー相手に3着は立派。
当時は突然のスコールによる馬場悪化も大きく味方したはずで、重賞初制覇を飾った日経新春杯も強豪馬を相手に2着に好走した日経賞も時計のかかる良馬場。
高速馬場の経験が多い訳ではないが、現状では時計のかかる馬場巧者との見方。
前々走の有馬記念は得意とするタフな馬場でも、外傷明けで中間併せ馬で遅れを取り続けている点から状態面に問題があっただけに15着大敗も参考外の一戦。
前走のアメリカジョッキークラブカップはほぼ最後方からの厳しい展開になりながら、メンバー2位の上がりで0秒4差まで追い込んで5着入線。
不良馬場も味方した印象があるだけに良馬場、それも高速馬場でどうか。
⑨ダンビュライト(⋯)
GⅡを2勝している実績がありながら安定しない成績から人気になりづらいが、GⅡ勝ちはいずれも2200mの距離で①⑤③⑥①⑨着と非根幹距離は得意。
2019年に開幕週の京都大賞典を逃げて2分23秒7の時計で2着に逃げ粘っており、高速馬場といっても臆することなくハナを取りに行くだろう。
先行有利の馬場状態を味方にして粘り込みを図りたいところではあるが、騎手心理から楽に逃げさせてはくれないだろうから厳しいレースになりそう。
⑩ジナンボー(△)
持続力戦となった小倉大賞典でも、1000m通過60秒4のスローペースで流れたGⅠ大阪杯でもカデナに敗れており、一線級とは力の差がある現状。
昨日のクイーンカップを勝った全妹アカイトリノムスメに続きたいところで、GⅠ大阪杯で2番手の積極策から0秒5差に粘っているだけに、今回の相手なら先行策から上手く出し抜ける可能性はゼロではない。
⑪サトノルークス(⋯)
一昨年の菊花賞②着馬。復帰初戦の鳴尾記念は骨折休養明けとなる7か月半ぶりに加えて、開幕週でイン有利の馬場に大外枠で外を回る形だった時点で終戦といってもいい状況だった。
短期放牧を挟んでの復帰2戦目、小倉記念は早々と手応えがなくなる見せ場のない⑪着に大敗。
暑さが堪えたとのことだが、一昨年のセントライト記念でも好走できたように1000m通過58秒1の速いペースが大きな敗因ではないか。
復帰後3戦目の前走アルゼンチン共和国杯は距離も2500mに延びたが、1秒8差の13着に大敗。
骨折による精神的な影響か本来の走りを取り戻す必要がありそうで、今回も【3.3.0.1】の非根幹距離ではあるが、本格化前とはいえ、大敗を喫した皐月賞とダービーはいずれも高速馬場でのもので、力を示したセントライト記念は重馬場の2200m、菊花賞は前日の重馬場から乾いていく中での良馬場での3000m。
全姉タッチングスピーチも重馬場の京都記念で2着に好走しており、母父 Sadler's Wells であるようにパワー型の印象が先行するだけに開幕週の馬場となると復活は難しいと見る。
【結論】
本命 ④ラヴズオンリーユー
ワイドBOX ③④⑦⑩
③ベストアプローチの複勝。