ホープフルステークス 2020【予想】※下書き
GⅠに昇格して3年目、暮れの開催にその終盤にあたることもあって時計を要する中山2000mという2歳馬にとってはタフな条件。
無敗の三冠馬コントレイルでさえ、前走の東京スポーツ杯2歳ステークスでの5馬身差レコード圧勝から接戦での戴冠となっており、コーナー4度回る器用さ以上に最後まで走り切れる精神力も求められるレースで、好走馬の前走での上がり順位を見ても、しっかり最後まで脚を伸ばしていることが判る。
①オーソクレース(◎)
宝塚記念やエリザベス女王杯を勝ったマリアライトの初仔となるクリソプレーズ一族の良血馬。
札幌でのデビュー戦は1000m通過が64秒6のスローペースにも折り合いを欠くことなく、メンバー最速33秒9の上がりで差し切り。
超スローペースとはいえ、ラスト2F 11秒2 - 11秒4のラップを差し切った点は価値が高く、今年の札幌芝1800mで33秒台の上がりを使った馬は古馬を含めても他に3頭だけしかいない。
これだけでも非凡な能力を感じるが、無傷の2連勝を飾った続くアイビーステークスで負かした2着ラーゴムは京都2歳ステークスで2着に好走し、4着アドマイヤハダルはエリカ賞勝ちと
2戦ともに出遅れている。
②ヨーホーレイク(△)
同舞台の弥生賞を勝ったカミノタサハラ、オープン特別時代の本レースでの2着好走があるベルキャニオンの全弟となる良血馬。
母クロウキャニオンの子は初仔のキラウエアから12世代連続で勝ち上がり馬を送り出している名牝だが、重賞での好走こそ少なくないものの、実際に勝ち切った馬は前述のカミノタサハラとボレアスの2頭だけ。
デビューからの2連勝はいずれも道悪でのレースだけに良馬場となっての真価が問われる一戦になるが、ボレアスはダートGⅢレパードステークス勝ち、マウントシャスタは重馬場の毎日杯で2着好走と比較的パワー型タイプの血統で、胴長ではあるものの500kgを誇る馬体からもどちらかといえばパワー型に映る。
時計を要する馬場にタフな中山2000mではあるが、良馬場となると戴冠まであるかどうか。
③ランドオブリバティ(☆)
社台ファーム代表の吉田照哉氏が「今年のディープインパクト産駒の牡馬では一番。超大物かも知れない」との高い期待に応えるデビューから無傷の2連勝。
デビュー戦は不良馬場と我慢させることを教える競馬だったこともあってアタマ差の接戦になったが、良馬場でのレースとなった前走の芙蓉ステークスでは2番手追走から3馬身半差をつけて抜け出す完勝劇。
前向きな気性ながら我慢が利くことで先行力という武器としてセンスのある競馬を続けている。
今回も内枠を活かしたロスのない競馬が見込めるが、13年目の三浦騎手にとっては中央GⅠ初勝利が懸かる千載一遇のチャンスだけに、冷静な騎乗に徹することができるかで、馬の力でどこまでカバーできるか。
鞍上で10倍近くの単勝オッズなら魅力はあったが、2番人気となると勝ち切るまではないと見たい。
④ヴィゴーレ(⋯)
これまでのキャリア5戦での上がり3F自己ベストがデビュー戦での34秒9(1600m)と、上がりが掛かった方が良さそうなタイプ。
キャリア3戦目で挑んだ札幌2歳ステークスでは出遅れて3角から脚を捲っていくも脚が最後まで続かず0秒7差の⑥着。続く前々走の芙蓉ステークスは中団から最速上がりで追い込みながら0秒6差の④着。
前走の葉牡丹賞は好位3番手からの積極策を試みて③着に粘るものの1秒1差離された。
近走より時計が掛かりそうな点は好材料だが、それでもGⅠとなるといくらか足りない印象。
⑤テンカハル(⋯)
ルージュバックの半弟という良血馬で、デビュー戦こそ勝ったクインズラベンダーを0秒6上回る最速上がりで追い込みながら、道中の位置取りの差が響いて②着に敗れたが、2戦目の新潟1800mできっちり差し切って勝ち上がりを決めた。
連勝も期待された前走の葉牡丹賞は初めての右回りだったこともあってか外に張ってしまったことも響いて2秒6差も離された⑪着に大敗。
⑥ホールシバン(⋯)
デビュー戦こそハナに立ちながらも最後はバテて、次走で5馬身差。前走のもちの木賞でも最速上がり。で連勝。交流GⅠ全日本2歳優駿を除外されての参戦。芝GⅠでは。
⑦マカオンドール(☆)
マイルを使われたデビューからの2戦は④→⑥着と着外が続いたが、ひと夏を越して迎えた3戦目で一変。
約2か半ぶりとなった9月の中京2000m戦はスタートこそ今ひとつで中団からの競馬となったが、400mの距離延長にも道中は上手く外に持ち出して無理なく折り合っての追走。4角手前から徐々に進出すると直線で内から1番人気ブレイブライオンに一旦は交わされたが、ゴールドシップ産駒らしい持続力を発揮して差し返す勝負根性を見せての初勝利は、2歳コースレコードを0秒5更新するオマケつき。
昇級戦の紫菊賞はロスのない立ち回りながら、2着のグラティトゥーから3馬身半離された3着。ノメっていたようで重馬場の影響が大きかったのだろう。
好馬場に恵まれた前走の京都2歳ステークスは直線で狭くなって進路を切り替えるロスがありながら0秒2差の③着。
2000mに距離を延ばしてから①③③着としており、岩田康騎手の継続騎乗はテン乗りとなるが1週前追い切りに跨っており、脚を長く使う展開になりやすい中山2000mも良馬場なら歓迎だろう。単勝30倍を超える9番人気なら穴で期待したい。
⑧バニシングポイント(⋯)
札幌芝2000mでのデビュー戦はハナに立って7馬身差。藤沢和厩舎の良血馬で3戦連続1番人気。Tapit産駒ながら芝での挑戦を目指していたが、2戦目のアイビーステークスで惨敗して、早くもダートに矛先を向けられた前走のもちの木賞。ダート替わりでの一変を期待されたが、結果が伴わず。再び芝に戻されてGⅠの舞台。
⑨アオイショー(⋯)
1000m通過64秒9のスローペースで先行有利の展開を徐々にポジションを上げながら差し切った。キャリア1戦での戴冠は簡単ではないが、今後を考えると期待しておきたい。
⑩ダノンザキッド(○)
ミッキーブリランテの半弟で、2年前のセレクトセールで1億円で取引された期待の良血馬。
4角で外から上がっていく際の加速力は抜群で、抜け出してからも持ったままで3馬身差をつける圧勝。
勝ち時計の1分48秒3は同じく稍重でのデビュー勝ちとなったダノンプレミアムの1分48秒7を0秒4上回っており、負かした2着ワンダフルタウンは次走の未勝利戦を2歳レコードの8馬身差で圧勝して、萩ステークスでは2着⑩ジュンブルースカイと0秒1差の3着。さらに2馬身遅れの3着テンバガーも勝ち上がっており、出世レースらしくレースレベルは高かった。
宝塚記念当日の1800m新馬戦を勝った馬は19年レッドベルジュール、18年ブレイキングドーン、17年ダノンプレミアムと3年連続で重賞勝ち馬を輩出していたが、本馬も5か月ぶりとなった前走の東京スポーツ杯2歳ステークスを勝って続いてみせた。
24kgの馬体増はほとんど成長分だったようで、好位から最速上がりをマークしての持ったままでの完勝劇はポスト・コントレイルを思わせるもの。
安田隆厩舎だけにマイラー色も強く感じさせるが、それは昨年のコントレイルも同様。
⑪タイトルホルダー(⋯)
中山1800mのデビュー戦は半姉メロディーレーンのデビュー時より136kg重い472kgでの出走。
スタートから先手を奪い、1000m通過63秒2のスローに落としての溜め逃げからメンバー2位となる上がりでまとめての逃げ切り勝ち。
上がり3Fの35秒9はメンバー2位と物足りないもので見た目のインパクトにも欠けた印象もあるが、例年より時計が掛かっていた今開催の中山での最終週なら見限れない面もある。
2着ノーダブルディップはダート戦ながら勝ち上がっており、戸崎騎手も本馬を評価をしているらしく、陣営としては中山より東京向きとの見立て。
続く前走の東京スポーツ杯2歳ステークスでは控える競馬を試みて結果を出した。
⑫アドマイヤザーゲ(▲)
ダービー馬のロジユニヴァースの半弟。デビュー戦で騎乗した川田騎手は⑩ダノンザキッド、黄菊賞で騎乗したルメール騎手は①オーソクレース。とはいえ、乗り替わる吉田隼騎手も阪神ジュベナイルフィリーズで久しぶりのGⅠ勝利。前走の黄菊賞では出遅れて超スローペースの道中は最後方追走も、直線だけでまとめて差し切った。3ハロン33秒4はメンバー中最速の上がりで、2000年以降の阪神芝2000メートルの2歳戦では、04年にディープインパクトが新馬戦で叩き出した同33秒1に次ぐタイム。
⑬シュヴァリエローズ(⋯)
キャロットファームのディープインパクト産駒。募集価格8000万円の期待馬だが、3番手から押し切ったデビュー戦は1000m通過61秒6のスローペースで前有利の恩恵があった印象が強く、直線で差し返した勝負根性は評価してもスケールとなると懐疑的。
負かした中には勝ち上がった馬もおり、レベルが低いとまでは言わないが、小柄な牝馬で初の長距離輸送や初の左回りと課題も少なくなかった新潟2歳ステークス。今回は距離の不安もある。
⑭モリデンアロー(⋯)
門別からの移籍初戦が来年のクラシックを睨む馬が揃ったGⅠ。
⑮セイハロートゥユー(⋯)
デビューから3戦は芝の1800m~2000mを使われて、3秒7差→0秒9差→2秒4差の惨敗続き。ダート替わりの前走で勝ち上がりを決めたが、芝リベンジの舞台がGⅠでは厳しいだろう。