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クイーンステークス 2021【予想】

クイーンS 過去

夏に開催される牝馬限定重賞は6月に行われたマーメイドステークスとこのクイーンステークスの2鞍で、次の牝馬限定古馬重賞は秋の府中牝馬ステークスまで間が空くことになる。

先月のマーメイドステークスがハンデ戦であるため、秋のGⅠ戦線に向けて賞金加算を目論む実績馬が集まる傾向にあり、前走GⅠ組が過去5年で【4.4.4.22】複勝率35.3%と強さを見せている。

例年では札幌の開幕週を飾るレースが、今年は変則の2回函館開催でも実績馬有利の傾向に変わりはないと見ており、札幌に比べてコーナーがきつい函館に洋芝適性を考えて狙いを定めたい。


①クラヴァシュドール(⋯)

所有馬のほとんどを中内田厩舎に預けている山紫水明オーナー。前哨戦から全力投球する理念が一番の理由との話ではあるが、昨年は春初戦のチューリップ賞をマイナス6kgの勝負仕上げで2着に好走させながら、続く桜花賞でも4kg減、オークスでもさらに2kg減と馬体やテンションの維持に苦労。

チューリップ賞の2着から好走が遠ざかっていたが、前走の米子ステークスでは0秒3差の3着に好走。
サリオスと0秒2差の接戦に持ち込めたサウジアラビアロイヤルカップも、2着に好走したチューリップ賞も直線勝負の瞬発力戦であったが、重馬場で1000m通過58秒8の速いペースから消耗戦ラップを追い込んでの3着は単なる復調だけにはとどまらず、ハーツクライ産駒覚醒の兆しである可能性もあるかも知れない。

ただ、完成度の高さを武器に2歳戦での好成績を誇る中内田厩舎のハーツクライ産駒で成長力には懐疑的。
多少ズブくなってきた感もあるので、1800mへの距離延長は悪くはないが、コーナーが急な函館が舞台なら簡単ではなさそうであり、メンバーも強くなる今回は前走以上の結果は簡単ではないと見て様子見とする。

②イカット(⋯)

ノーザンファーム生産のディープインパクト産駒で、新馬戦から川田騎手→デムーロ騎手→ルメール騎手とトップ騎手を配していたことからも、期待の大きさが窺えるが、気難しい性格からトントン拍子での出世は叶わずに前走のかもめ島特別を勝っての2勝クラスの卒業は在籍4戦目。

小回りの芝1800mがベスト条件とあって、昨日に自己条件で2000mのSTV杯がありながらも目もくれずに、特別登録をここ一本に絞っての格上挑戦。

馬群でストレスをかけた方が気持ちが入って持ち味の一瞬の切れ脚が引き出されるだけに、この偶数の2番枠は願ってもない好枠。
【3.0.1.1】の洋芝適性で一発を狙う立場ではあるが、現在6番人気と穴人気しており、妙味に欠ける。

③フェアリーポルカ(⋯)

小回り1800~2000mを得意とするフェアリードール一族らしく、昨年は春からGⅢ中山牝馬ステークス→福島牝馬ステークスと1800m重賞を連勝。

その後は昨冬のターコイズステークスや、今春の中山牝馬ステークスでの3着好走こそあるものの、迷走も感じさせるローテーションで近2走はダートを使われ今回は3走ぶりの芝レース。

0秒2差の6着に敗れた昨年のリベンジを図る一戦でもあるが、昨年は18kg増という大幅な馬体増に加えて初めて背負う56kgの酷量、それに内に潜れずラチを頼れなかったことも響いた中での敗戦。

基本的にはラチを頼って追走する形が理想な馬だけにこの枠は理想的ではあるが、今年も56kgの斤量には変わらず骨のある相手。

なお、直線に急坂のある中山と阪神では【3.1.3.0】、逆に東京も含めた直線が平坦コースでは【1.0.0.9】

④ローザノワール(⋯)

オープン入り後は本職ダートでも苦戦が続いており、未勝利戦以来となる芝に挑戦した今春の谷川岳ステークスは1秒7差の8着。

未勝利戦時代から通算で【0.0.0.5】と3着すらなく、厳しいレースになるように思う。

⑤ドナアトラエンテ(○)

気難しい面が邪魔をした取りこぼしもあってデビューから9戦目の明け5歳になってようやくオープン入りを無事果たしたが、大事に育てられたことで418kgでのデビューから年明けの初富士ステークスでは468kgと50kgも馬体を増やしてビルドアップ。

満を持して初の重賞挑戦だった中山牝馬ステークスは0秒9差の9着。3勝クラスの初富士ステークス以上に悪い不良馬場が厳しかったことも確かであるのだが、当時はハンデが53kgになったことでルメール騎手が騎乗をキャンセルした経緯もあり、少なくとも当時は重賞で勝ち負けできる状態ではなかった可能性も。

実際に、良馬場となった前走の福島牝馬ステークスは33秒7の上がりでハナ差の2着まで追い上げる走りを見せており、勝ったディアンドルは本番でも健闘。
本馬は疲労が抜けずにヴィクトリアマイルへの参戦は見送ったが、重賞タイトルに手が届くところまで力をつけていることは確かで、クラブ所属の5歳牝馬なら残された時間は僅か。

名牝ジェンティルドンナの全妹として挑戦できるGⅠはこの秋が恐らく最後で賞金の加算も至上命題。
もともと広い左回りの東京や新潟コースを使われてきたように小回り1800mはベストではないが、引き続き川田騎手が手綱を取り、チークピーシーズを着用。

⑥マジックキャッスル(☆)

三冠最後の秋華賞でデアリングタクトから0秒2差まで迫る2着に好走。勝ちに動いた無敗の三冠女王と比較して、漁夫の利を得た感は否めなかったが、年明けの愛知杯で待望の重賞初制覇。

前崩れの展開がハマったことも確かだが、半兄ソーグリッタリング同様に詰めの甘さを感じていただけに、春は苦にしていたタフな馬場での連続好走は秋華賞→愛知杯で10kg増→12kg増の馬体重からも地力が強化された証だったのかも知れない。

前々走の阪神牝馬ステークスは関西への長距離輸送が影響したのか、14kgの大幅馬体減に川田騎手に巧く蓋をされるロスがありながら、メンバー最速32秒4の上がりでクビ差の2着。

本番の前走ヴィクトリアマイルはグランアレグリアを別にすれば、2着ランブリングアレーとはクビ差3着。古馬と走るようになってからも安定感のあるレースを続けており、一線級の実力を示している。

秋の大目標エリザベス女王杯に向けての始動戦となる今回、舞台となる函館の1800mは秋華賞や愛知杯での走りからコーナー4つのコースへの苦手意識こそ無いものの、他馬より重い56kgの斤量が最大の課題。

状態の良さから、当初の府中牝馬ステークスの予定を前倒して参戦する経緯も、戸崎騎手が5年ぶりに函館参戦することから本気度が低いことはないはず。
ただ、もともと勝ち味に遅く【2.5.1.3】と、2〜3着が多いタイプだけに今回も勝ち切るまではないと見る。

⑦マイエンフェルト(⋯)

初勝利こそ4戦目で挙げられたが、1勝クラス卒業まで7戦、2勝クラスを卒業するまでにも7戦。

3走前はダートを試されて、前々走は杉山佳厩舎への転厩初戦で2600m戦。試行錯誤が続く中で、初めての洋芝挑戦ながらも勝利した前走のHTB賞。

洋芝の1800mに適性ありと踏んでの参戦と見えるが、50kgのハンデは負かした2〜4着馬より4kgも恵まれたハンデで、1勝クラス卒業も減量騎手による52kg。

少頭数も急遽参戦への決め手だったようにも思うが、格上挑戦で55kgでは厳しいはず。

⑧ウインマイティー(◎)

昨年の牝馬クラシック三冠最終戦、秋華賞は3~4角で一気にポジションを上げて勝ちに行ったが、直線では伸びを欠いて9着。
外伸びのトラックバイアスもあったかも知れないが、道中から他の馬との接触の多い流れに勝負処で両隣に挟まれる精神的な消耗があったようで、このレースが尾を引いて、エリザベス女王杯→愛知杯と二桁着順に沈む大敗を続ける結果に。

春を全休させて精神面のリフレッシュを図り、今回は約半年ぶりのレース。
高速馬場でもオークスで僅差3着に好走しているが、昨春に雨中の稍重で行われた忘れな草賞を勝っているゴールドシップ産駒だけに本質的にはタフな馬場の方が合いそうで復帰戦の舞台として不足はない。

課題はスタートで、これまで3角5番手以内の競馬なら【3.1.1.0】と先行して立ち回りの巧さを活かして好走していたが、後手を踏んで3角通過が6番手以降となると④⑦⑥⑨⑭⑭着と結果が伴っていない。

主戦の和田竜騎手もシゲルピンクダイヤへの騎乗を選んでおり、現実的には今回は様子見が妥当に思えが、9番人気なら大穴で期待してみたい。

⑨テルツェット(⋯)

新馬戦の快勝から将来を期待されたシルクレーシング所属のディープインパクト産駒。
降雪による開催順延で中山へ再輸送を余儀なくされ、約4か月ぶりのレースでも6kg減った状態での出走となった2戦目のミモザ賞(3着)に、頭部の裂創による出走取消と昨春は不運が重なってクラシックは断念することになったが、昨夏から1勝クラス→2勝クラス→3勝クラスとレース間隔を空けながら一気に3連勝。

満を持しての重賞初挑戦となった前々走のダービー卿チャレンジトロフィーでは出負けしながら、後方から鮮やかに差し切って重賞初挑戦初勝利。
メンバーに恵まれたといっても、条件戦を3連勝中に記録した上がりは全て33秒台で中山向きの馬ではないことを考えれば。

デビュー2戦目のミモザ賞は度外視していい一戦で、実質無敗の6戦5勝で挑んだ初めてのGⅠ。
前走のヴィクトリアマイルは出遅れて後方から運ぶも直線では伸びを欠いて14着に大敗。
過去3戦の左回りでは、いずれも最速上がりを記録、東京は2戦2勝の得意とする舞台。力負けとは思えず、これまで間隔を空けて大事に使われてきた馬だけに、この馬として最短の出走間隔となる中5週の詰まったローテーションが影響したと見ている。

今回は中10週の間隔を空けての一戦にルメール騎手を鞍上に迎えて必勝体制に映るが、舞台は函館1800m。デビュー戦以来となるその距離自体は折り合いにそう苦労するタイプでもないだけに守備範囲のはずだが、コーナー4つのタフな洋芝となるとどうか。

ワンターンの1600m、それも軽い芝が理想なだけに、クラブの先輩馬プリモシーン同様、関屋記念あたりが理想的なローテーションに映るだけにルメール騎手の騎乗で3番人気なら思い切ってバッサリ。

⑩サトノセシル(⋯)

体質が弱く、デビューは既走馬が相手の7月の福島。惜しくも届かず2着に敗れたが、2戦目で突破すると、続く1勝クラスも連勝。

父がFrankel で伯父に英GⅠチャンピオンステークスを連覇したTwice Over がいる世界的良血馬で出世街道を歩むかと期待された中、前向き過ぎる気性が災いして2勝クラスでの足踏みが5戦続いたが、初の洋芝だった前走の洞爺湖特別を逃げ切ってでようやく卒業。

すんなりハナを奪えたことは確かだが、負かした4着イカットも次走のかもめ島特別を勝利しているようにメンバーに恵まれた訳ではなく、1000m通過が2秒も速ければ参考にならないが、翌日の巴賞を1秒上回る勝ち時計には一定の評価があってもいい。

ただ、同型も多い今回は厳しいように思う。

⑪シャムロックヒル(⋯)

心身共に不安定な状態が続いて初勝利はデビューから約1年後の10戦目。
馬体重もデビュー当時から22kg増となる490kgと力をつけて連闘で挑んだ1勝クラスも連勝。

直後に挑んだローズステークスは初めての重賞挑戦でさすがに14着に大敗。
約3か月後の2勝クラスは順当に卒業したが、年明けの寿ステークスは14着に大敗。

右回りの阪神2000mに狙いを定めて格上挑戦した前走マーメイドステークスは50kgの軽ハンデと開幕週の最内枠を味方につけて逃げ切り勝ち。
1勝クラスは51kg、2勝クラスは52kgの軽い斤量で、前走も50kgの軽いハンデで勝利を挙げており、まず一気の5kg増となる55kgの斤量が課題。

マーメイドステークスがハンデ戦になってからの歴代勝ち馬は15頭中12頭が未勝利のまま引退しており、昨年のサマーセントも優勝後の2戦はいずれも大敗を喫している。優勝後も活躍できたフミノイマージンとディアデラマドレは、それぞれ2番人気と1番人気での優勝と、軽ハンデを味方にした優勝では苦戦を強いられる現実がある。

別定戦の今回は様子見とする。

⑫シゲルピンクダイヤ(☆)

一昨年の3歳時はクラシック戦線で同期と鎬を削り、桜花賞ではメンバー最速32秒7の上がりで追い込んで0秒4差の2着。秋華賞では後に春秋グランプリ制覇を達成するクロノジェネシスから0秒5差の3着。

その難しい気性も災いして不安定な成績が続いている「最強の1勝馬」ながらも、ヴィクトリアマイルでは名牝アーモンドアイやグランアレグリアは別として、昨年は2着サウンドキアラとは0秒3差の6着、今年もランブリングアレーから0秒1差と牝馬マイル路線でも戦える実力は十分に証明している。

桜花賞やチューリップ賞の好走から広いコース向きの印象も強いが、昨冬の中日新聞杯はボッケリーニらを相手に好位から運ぶ正攻法でクビ差の2着。
前述の秋華賞3着も含めてコーナーが4つのコースへの適性がない訳ではない。

最終手段となる目隠しの覆面を着用した効果もあって課題のゲートも改善されており、馬込みで気難しさを出した前々走の福島牝馬ステークスで敗れたことから大外枠も大きなマイナスにはならないはず。

ウインマイティーやフェアリーポルカに騎乗する選択肢がありながらも本馬への騎乗を選んだ和田竜騎手も結果を残したいところであり、アテにしづらい気性は難点ではあるが、4番人気なら考えてみたい。

【結論】
単複 ⑧ウインマイティー

馬単フォーメーションも少々。
1着:⑤⑧
2着:⑤⑥⑧⑫

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