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GX検定ベーシックに向けたノート

企業の環境活動に向けて脱炭素をはじめ、関心が高まっている中で、GXによって環境も企業活動も両立を目指していくということが持続可能な環境活動といえると思います。
そこで、基本から学ぶということで考えた時にせっかっくなのでGX検定というものがあり、取得すると環境省認定制度「脱炭素アドバイザー」の認定資格を取得できるということで、取り組んでみようと思いました。定期的に試験はあるようなので勉強の成果として取り組んでみてもいいかと思います。何か目標があるほうがモチベーション上がりますね。

GX検定 ベーシック | SkillUp Green (green-transformation.jp)

受験範囲のシラバスが公開されているので、それに従い自分でノートを作ってみました。(2章以降は有料です)

シラバスはこちらにあります。
gx_basic_1201.pdf (green-transformation.jp)

なお、上記には講座も用意されているので余裕があればそちらで学習をしてください。自分で調べてまとめたほうが色んな気づきもあるかなと思いポイントを絞りながらまとめてました。興味ある方は見ていただければと思います。
なお、企業の取組のGHG排出量の算定はノートにまとめずに環境省にまとまったいい資料がありましたのでそちらを紹介しています。

追記(2024/8/15)
この作ったノートでBasicと勢いに乗ってadvancedの両方に合格しました。
advanceは講習を受けないと受験資格がないので、このノートだけで受かったわけではないですが、講習以外はこのノートでまとめたことで十分でした。


1,脱炭素化の背景

脱炭素・カーボンニュートラルの定義

・カーボンニュートラル
 温室効果ガス(主に二酸化炭素やメタン窒素酸化物など)の排出量が実質ゼロである状態を指します。
 具体的には、人間の活動によって発生する温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味しています。
 政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しており、これは「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林や森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。

・GX
 脱炭素(カーボンニュートラル)からGXへ
 脱炭素とは、CO2やメタンなどの温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする取り組みです。
 GXは、単に化石燃料をクリーンエネルギーに切り替えるだけでなく、それによって起こる産業や社会の構造の変化や再構築までを含めた取り組みです。トレードオフからトレードオンの時代へ

 新たな需要・市場を開拓する可能性
 脱炭素が進めば、再生可能エネルギーなどの新たな需要や市場が創出され、技術の発展と経済成長に寄与します。

気候変動問題

・温室効果ガス
 地球の大気や海水の温度上昇を促す性質を持つ気体を総称したものです。
 これらのガスは太陽光で暖まった地表面からの放射熱(赤外線)を宇宙へ逃がさず、大気中に吸収することで温室効果をもたらします。
 主な温室効果ガスには以下が含まれます
 ・二酸化炭素(CO2) 90.8%
 ・メタン(CH4) 2.5%
 ・一酸化二窒素(CO) 1.7%

 ・ハイドロフルオロカーボン(HFC)
 ・パーフルオロカーボン(PFC)
 ・六ふっ化硫黄(SF6)
 ・三ふっ化窒素(NF3)

 水蒸気は温室効果ガスとして最大の寄与を持ちます。
 現在の大気の温室効果は約5割が水蒸気、2割がCO2によるものです。
 水蒸気は広い波長域で赤外線を吸収し、温室効果としてもっとも大きな寄与(48%)をもちます。
 しかし、すべての波長の赤外線を吸収するわけではなく、15µm付近の赤外線はCO2によってよく吸収されます。
 このため全温室効果に対するCO2による寄与は21%程度になります。

 水の問題
 海面が上昇し、沿岸部の洪水や内水氾濫が増加します。水資源が減少し、飲料水や農業用水の供給に影響を及ぼします。

 自然への影響
 氷河の融解や海面水位の変化、極端な気象現象が増加します。生態系や生物多様性に悪影響を及ぼし、多くの種が絶滅の危機に瀕します。暮らしへの被害:熱波による死亡や疾病、食料不足、水資源不足などが増加します。インフラ機能停止や国家安全保障にも影響を及ぼす可能性があります。

国際団体・会議

・UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)
 1992年5月に国連総会で採択され、同年6月3日から6月14日まで、ブラジルの都市リオ・デ・ジャネイロにおいて開催された環境と開発に関する国際連合会議(UNCED)において、署名のために開放された地球温暖化問題に関する国際的な枠組みを設定した環境条約である。
 気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)は、1994年3月21日に発効した。気候変動に関する国際連合枠組条約は、気候変動枠組条約、地球温暖化防止条約などとも呼ばれる。
 気候変動に関する国際連合枠組条約の目的は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素[亜酸化窒素:N2O]など、HFCs、PFCs、SF6)の増加が地球を温暖化し、自然の生態系などに悪影響を及ぼすおそれがあることを、人類共通の関心事であると確認し、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、現在および将来の気候を保護することである。条約は、気候変動がもたらす様々な悪影響を防止するための取り組みの原則、措置などを定めている。

・パリ協定(COP21)
 パリ協定(COP21)は、2015年に採択された気候変動問題に関する国際的な枠組みで、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することを目的としています。パリ協定は、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。1997年に定められた「京都議定書」の後継となりました。発効条件は、55カ国以上の参加と世界の総排出量の55%以上をカバーする国の批准でした。2016年11月4日に発効し、世界各国が地球温暖化対策に取り組んでいます。

 パリ協定が画期的といわれる2つのポイント:
  途上国を含む全ての主要排出国が対象:
   
途上国も含めて全ての参加国に排出削減の努力を求める枠組みです。京都議定書では先進国にのみ法的義務が課せられていました。
  ボトムアップのアプローチ:
   
各国が自主的な取り組みを促すアプローチを採用しています。各国の国情を織り込んで目標を策定できるようになりました。

 パリ協定発効のカギは公平性と実効性で透明性の確保、途上国への支援、進捗状況の確認などが行われています。日本も批准手続きを経て、低排出型社会を目指して取り組んでいます。パリ協定では、締約国は5年ごとに、より野心的な排出削減目標を「国が決定する貢献( Nationally Determined Contributions: NDC)」として提出・更新する義務があります。日本は、2021年4月に、2050 年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました

・コペンハーゲン合意(COP15)
 2009年12月にデンマークで開催された国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)で採択された政治的な合意です。以下にその要点を説明します。

 目的:気候変動に対する具体的な対策を進めるための枠組みを構築することを目指していました。
 成果:2013年以降のポスト京都議定書の採択には至りませんでしたが、各国首脳による直接の交渉により確かな前進がありました。「コペンハーゲン合意」は、気候変動に対する措置を前進させるための一つのステップとされました。
 気温上昇の抑制:各国は気温上昇を2度以内に抑えることを認識し、長期的な協力を強化することが盛り込まれています。

・京都議定書(COP3)
 1997年に京都市で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で採択された国際的な取り決めです。この議定書は、気候変動枠組条約に関する具体的な規定を含んでいます。以下に要点を説明します。

 目的:先進国が温室効果ガスの排出を削減することを目指す。1990年を基準として各国別に削減率を定め、共同で目標値を達成する。
 削減目標:2008年から2012年までの期間中、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減することを目指す。各国ごとに割当量が設定されており、具体的な数値が決められている。
 遵守:各国は報告義務を遵守し、排出量管理を行う。違反した場合、制裁措置が取られる。

・モントリオール議定書
 オゾン層を保護するための国際環境条約の一つです。正式名称は「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」で、ウィーン条約(オゾン層の保護のためのウィーン条約)に基づいて1987年に採択され、1989年に発効しました。

 目的:オゾン層を破壊するおそれのある物質を指定し、これらの物質の生産、消費、および貿易を規制して人の健康と環境を保護することを目的としています。
 規制対象物質:クロロフルオロカーボン(CFC)、ハロン、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエタン、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロブロモフルオロカーボン、臭化メチル、ブロモクロロメタン、ハイドロフルオロカーボン(HFC)などが含まれます。
 改正:2016年のキガリ改正により、代替フロン(HFC)の使用を段階的に削減することが求められています。モントリオール議定書は、オゾン層の保護に向けた重要な国際的な取り組みであり、持続可能な未来のために協力が必要です

・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)
 IPCCの目的: 各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えること。
 活動内容: 科学誌に掲載された論文等に基づいて定期的に評価報告書を作成し、気候変動の科学的、技術的、社会経済的知識について包括的な評価を提供。
 組織構成: 世界中の科学者の協力の下、政府の推薦で選ばれた専門家が報告書をまとめる。
 評価報告書: 第6次評価報告書(AR6)は第5次評価報告書(AR5)と同様、5~7年の間に作成される。

 IPCCは、気候変動の理解に関連する世界の科学的、技術的、経済社会的情報を検討し、評価する国際的な専門家で構成されています。また、IPCC自体は調査研究やデータの監視を行うことはなく、最新の知見の評価を行い、対策技術や政策の実現性やその効果、それが無い場合の被害想定結果などに関する科学的知見の評価を提供しています。

2,脱炭素化に向けた動き

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