【実話】信じていた人に裏切られた話
■ これは何
最近暇なので過去のクソ体験を吐き出そうと思ってまとめたもの。信頼しきっていた人にいとも簡単に裏切られたかわいそうな私のお話。
(登場人物はアルファベット表記にしておりますが、こういうのって読んでる時に誰がどれだかごっちゃごちゃにならない?私だけ?だからアルファベットの後ろに♂♀マークで見分けできるようにしてあるよ!特に変な意味はないよ!)
■ はじまり
女の友情ハムより薄い、とはよく言ったものである。
私が働く会社に、私より歳上の女性が入社してきた。名前はS♀さん。社歴は私の方が長いが、社会人歴は彼女の方が上という微妙な関係。初めて会ったのは忘年会兼彼女の歓迎会の席、すごくさっぱりして明るい性格でお酒もよく飲む彼女とあっという間に打ち解けてすぐに仲良くなった。
転職前、彼女は全く別の業界にいて、うちの会社に入ってきてからは苦労しているようだった。だけどそこは持ち前の明るいサバサバした性格で周りの人からの助けを受けているようだった。
私と彼女は帰路の方面も同じだったのでお互いが分岐する駅で会社帰りによく飲むようになった。酒の肴は仕事の愚痴とか社内の人間の愚痴とかのよくあるやつ。でもこの時間が私はたまらなく好きだったしすごく楽しかった。
出勤したらS♀さんとお喋りしながら仕事をして一緒にランチに行って一緒に帰る。毎日がほとんどこんな感じだった。よくもこんなに話すことが尽きなかったと思う。何か相談しても親身になって答えてくれるし、笑い飛ばしてくれる彼女に、もし私に姉がいたらこんな感じだったのかなとさえ思っていた。
その当時私は社内に気になる男性先輩社員のH♂さんという存在がいた。彼はエンジニアで、私とは部署も全く違うので接点もまるでなく、本当にただの憧れだった。素敵な人だなあぐらいの感覚だった。月に一度ある、社内向けのイベントで発表している姿を見るのが楽しみだった。
■ 酒の力ってすごい
そんなH♂さんと急接近したのは社員総会がきっかけだった。ダーツやビリヤードができる施設を会社が貸切にしてくれていて、お酒を飲みながら楽しんだ。そりゃあもう楽しんだ。普段話せなかった先輩社員が話しかけてきてくれたりして、飲みニケーションの大切さを身をもって感じたくらいだ。
社員総会が終わるとそれぞれ散り散りになって二次会に行く流れになった。私はS♀さんがいるならどこでも楽しいや〜!と彼女について行った。居酒屋に入って、ざっと中を見渡した。会社の男性が15人くらいいたと思う。ほとんど知らない人で身構えてしまった。そんな中女性は私とS♀さんの二人。だからからなのか私たちは離されて座らされた。人見知りな私は結構テンパってたと思う。そしたらふと「私ちゃん、俺のこと分かる?」と前に座ってた人から声をかけられて顔を上げた。そこにはあの密かに憧れていたH♂さんがいた。H♂さんの周りだけキラキラして見えた。他の男性社員の顔にモザイクがかかって見えたくらい。もうめっちゃときめいた。
お酒を飲みながらH♂さんといろいろお話した。まず私のことを知ってくれてたことが嬉しかったし、私ももちろん知ってましたよとちょっとアピールしておいた。仕事の話もしたし、それ以外のこともたくさん話した。だけど二次会もお開きになった。店を出て、周りの人の様子を伺っていたらH♂さんがやって来て「私ちゃん、まだ飲む?」と声をかけてくれた。私は、はい!と返事をしてS♀さんとH♂さんとその他の男性社員数人と別のお店へ向かった。結局その後朝まで飲んだ。
始発が動き出して、帰る方向が同じ私とS♀さんとH♂さんが同じ電車に乗った。S♀さんは私たちより手前で降りて帰って行って、私とH♂さんだけの二人になった。私はめっちゃ緊張してたのを覚えてる。空いてる席に二人で座って少し話していたら肩に重みを感じて、見てみるとH♂さんが私の肩に頭を乗せて寝ていた。これは夢か?と思った。肩に全神経が全集中していたことは確か。H♂さんが降りる駅に到着して、彼を起こすと私に寄り掛かっていたことを謝ってから、またねとへにゃりと笑って降りて行った。惚れてまうやろーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!と私の心が叫んでいた。
こうしてお酒の場を共にすることで私はH♂さんと急激に距離を縮めることができたのである。
■ アクセル全開フルスロットル
H♂さんが電車を降りて行ってから、頭の中がポワポワしていた。JKの青春を味わっている気分だった。『これは恋であるか否か』と描かれたボードを持って街頭インタビューをして回って、恋であると思う人には赤いシールを、いや違うと思う人には青いシールを貼ってほしいぐらいだった。
頭の中がH♂さんでいっぱいのところにちょうど彼から連絡が来た。
今日で私ちゃんと仲良くなれてよかった!今度から会社でも話しかけるね!
なにそれ。嬉しすぎだろ。いつでも話しかけてください!なんなら常に話しましょう!席も隣にしちゃいます?てか一緒に住みます?とかくだらないことを考えながらもこの時の私は有頂天だった。
そのすぐ翌日、休日夜23時、家でスマホをいじってゴロゴロしていたところにシュッとメッセージアプリの通知が来た。誰?と思って開くとそれはなんとH♂さんからだった。
今地元から後輩が来てて飲んでるんだけど、よかったら私ちゃんも一緒に飲まない?
え!!!!もうお友達に紹介のステップですか???早すぎません????でも行きます!!!と勝手に頭の中で妄想して、F1レーサーも真っ青になるほどのスピードで準備して家を出た。連絡を受けた時間が既に23時を過ぎていたので、終電がなくなることはもちろん覚悟の上だった。
彼と彼の後輩と合流して居酒屋でお酒を飲んだ。H♂さんがトイレに行くと言って離席している間に、後輩がこう言った。「さっきH♂さん、私さんに連絡する前に別の人に声かけてたんですけどその人には断られちゃったから私さんを呼んだんです。夜遅いのに来てくれてありがとうございます」ハニャ????????私2番目だったのかにゃ????????知りたくなかったそんなこと。この後輩ガチ空気読めない。バカなの??
若干の不満を残しつつも、この後ダーツとカラオケをして時刻は深夜3時となった。この後どこ行くんだろうと思っていたらH♂さんが「じゃあ後輩も朝早いみたいだし帰るね。今日はありがとう」と突然言った。朝が早い?????深夜3時まで遊んでた奴が使う言い訳にしては稚拙すぎる。もはやその朝だろ今が。そのままタクシーに押し込まれ、私は呼び出された男に深夜3時にリリースされたのである。
だけど恋は盲目。私の頭の中には『休みの日なのにわざわざ後輩もいる場に呼んでくれた』という、おめでたい解釈だけが残っていた。銀杏BOYZの「恋は永遠」の脳内再生が止まらなかった。それからというもの、私は好きな相手との距離感を測るプログラムに致命的バグが生じているので、もうH♂さんに対して全力坂ばりの全力ダッシュを決め込んでいた。話しかけてくれると言っていたのになかなか話しかけてくれないことにプリプリしたり、何かとつけて彼のいるフロアに足を運んだり、コンビニに行きましょうとメッセージを送って無理やりつき合わせたり。我ながら引く行為の列挙である。
そんなことをしたら当然、H♂さんがちょっと冷たくなった。当たり前すぎる結果である。ヘキサゴン全盛期の羞恥心のバカ三人でも分かる。H♂さんに嫌われたと思った私はS♀さんに泣きついた。「S♀さ〜〜〜ん、聞いてくださいよぉ〜〜〜〜」彼女は優しく聞いてくれた。これまでも逐一起きたことを報告して一緒に一喜一憂してくれた。彼女は私に、ちょっとアクセルかけすぎだから少しセーブしな?と笑って言ってくれた。さすが頼れる姉御!尊敬してやすぜ!と私は言われた通りにした。てか言われた通り以上のことをしてしまった。S♀さんからのアドバイス以降、私はH♂さんをパッタリと無視するようになった。俺との記憶飛んだんか?ってくらい。おバカタレントとしてテレビに出演し始めていた強欲の壺時代の藤田ニコルも開いた口が塞がらないほどのアホな私である。
めっちゃ猛プッシュしてきた女が突然自分をシカトするようになったら、やはり誰でも気になるのであろう。H♂さんが私を訪ねて来るようになった。しかもどうでもいい用事で。奇しくも押してダメなら引いてみろ作戦が功を制していたのである。なのに私はそれすら「あぁ…」とか「へぇ…」とかめちゃめちゃな塩対応をしていた。恋愛偏差値が2の女の愚行である。当然彼は私のその態度に心が折れて、私の隣にいたS♀さんに話しかけていた。二人とも最近ハマっているアプリゲームがあるとかでその共通の話題で盛り上がっていた。
その日の帰り、S♀さんが私を飲みに誘ってくれた。そしてH♂さんに対する接し方について叱ってくれた。確かにセーブしろとは言ったけどあれは失礼だよ?私ちゃんは一か百しかないの?その通りである。ぐうの音も出なかった。私がH♂さんに謝らなきゃと言った。するとS♀さんが「この近くでH♂くんも飲んでるみたいだよ。合流したいって言ってみる?」と提案してくれた。二人連絡取り合ってたんだと少し驚いたけど、そうしたいと言うとすぐにその旨をH♂さんに伝えてくれた。だけどH♂さんはもう帰るところだったようでまた今度にしようと返事が来たとS♀さんは教えてくれた。しょうがないと私たちも帰ることにした。いろいろ聞いてくれて本当にありがとうございます、と半泣きでS♀さんに言うとハグしてくれた。私も力いっぱいハグし返した。そしてS♀さんは電車を降りていった。いつもと違う駅で。H♂さんが飲んでると言っていた駅で。嫌な予感がした。
■ 最悪の日
あれからH♂さんとの関係は特に好転しなかった。社員総会の前の二人になっただけ。仲良くなる前の二人になっただけ。そう自分に言い聞かせていた。気付けば23時に呼び出された会のカラオケで彼が歌っていた安室奈美恵の「Baby Don't Cry」を無意識に口ずさんでいた。飛んだメンヘラである。気色悪い自分。気まずくさせた原因が自分にあるのは自覚していたから、いつかチャンスが来たら絶対に謝って、前みたいに楽しくお酒を飲みたいな、そんな風に考えていた。
その日も普通に仕事だった。私とS♀さんで社外へ出かける業務があって、二人で外出していた。その出先でS♀さんがPCを開いたまま席を立った。私も彼女と横並びに座って自分のPCで作業をしていたら、画面を見ていた視界の端で何かが動いた。その方向に目をやるとS♀さんのPCに来た通知だった。
H♂
かわいいから許すー
H♂
てか今日の飲み、S♀ちゃんが風邪引いてるならやめとく?
一瞬目を疑った。信じられなかった。しばらく意味が分からなかったし分かりたくなかった。それはH♂さんからS♀さんに宛てたメッセージで、とてもじゃないけどただの同僚とは思えない親密な内容だった。
私がH♂さんのこといつも相談してたのをどういう気持ちで聞いてたの?裏で二人で笑ってたの?私がH♂さんに謝りたいって言った日も違う駅で降りてたのは結局二人で会ってたんでしょ?聞きたいことはたくさんあったけど怖くて聞けなかった。
私が通知を見てしまったことなんか露知らず、S♀さんは戻ってきた。私はS♀さんに言った。「S♀さん、今日の夜ってなんか用事あります?」彼女は平然と答えた。「ごめん。今日は早く帰るって旦那と約束してるんだよね。今日私ちゃんの誕生日なのにつき合えなくてごめんね」
そう。この日は忘れもしない私の24回目の誕生日だった。
そして何より恐ろしいのはこの女には旦那も子供もいるという事実。まあ要するにそういう関係だったわけだ。
このクソアバズレさばさば気取り男女の友情全然あるっしょとか言いながらてめえが一番股開いてんだろクソ女に下剤を盛って消そうとした話はまた今度しようと思う。