『チーム・ジャー二ー』突然プロジェクトリーダーになったなら
「君、明日からこのプロジェクトに入ってね」
「ついでにリーダーもやってね」
組織で働いていると、意外とこういった状況は多い。僕自身も体験がある。そして、大概の場合、ロクなスタートにはならない。
「昨日までこのプロジェクトの存在自体知らなかったんですけど。。。」
「プロジェクト内メンバーの中で最年少なんですけど。。。」
「前のリーダーは辞めちゃって引継ぎナシとかマジですか!?」
色々と文句を言いたくなる気持ちはある。しかし、文句を言っても状況はよくならない。そんな中できることをやっていくしかない。
どうすればよいか。そのヒントが詰まった一冊を紹介する。
『チーム・ジャー二ー』市谷 聡啓 著
本書で言及されていることは、メンバーの認識合わせがとにかく大事だということ。
なぜ自分たちはこのプロジェクトに関わっているのか、このプロジェクトによって何を実現するのか。そうしたWhyを繰り返し問い、メンバーの認識をそろえることによって、グループはチームへと進化する。
烏合の衆、寄せ集めメンバーが、チームとして関係をつくり、方向性をそろえるまでにはいくつかの段階を踏む必要がある。チームビルディングは直線的には進まず、途中で混乱期を経て統一期へとすすむ。その過程で、チーム内の優先度や進捗管理方法を確立していくことになる。
本書ではストーリー形式によって、とあるチームの事例が紹介される。各エピソードと似た経験をした人も多いと思う。チームの混乱「あるある」を紹介してくれているのは非常に参考になる。
もちろん、事例や解決策すべてを参考にできるわけではない。本書で言及されているようにdiff(差分)を考えることが重要である。ベストプラクティスを丸ごとコピーして使えないのと同じで、自分たちのチームにカスタマイズして使う必要があることを忘れてはいけない。
本書に限らず、ソフトウェア開発をテーマにしたビジネス小説は面白いものが多いというのが僕の個人的な感想。本屋に寄ったとき、ソフトウェア開発関連書籍の棚を物色したくなる。
おまけ
著者の書籍(前作?)には有名な『カイゼン・ジャーニー』がある。こちらは、個人のカイゼンをチームに拡大するにはどうすればよいか?というテーマで描かれている。
こちらも興味深い内容なのでおすすめです。