『小説 第4次産業革命』日本の製造業を救え!
製造業を舞台にした業務改革小説はないか... そんなことを考えていたときに出会った一冊を紹介したい。
『小説 第4次産業革命 日本の製造業を救え!』
藤野 直明 (著), 梶野 真弘 (著)
これまでにも、いくつか業務改革小説、しかも製造業が舞台のものを紹介してきた。ゴールドラット小説やミスミの三枝氏の小説など。
これらも物語として面白く、ビジネスシーンで有益な内容になっている。しかし正直なところ、僕はあまり親近感を持つことができていなかったのも事実。
ゴールドラット小説は海外が舞台なので、人事権の発動や組織規模やマネジメントのあり方が日本企業とは大きく異なる部分がある。こればかりはどうしようもないが、読み進めながら「日本だったら...」なんて思ってしまう。
中小製造業が舞台の本書
一方で本書は、創業者の息子であり二代目である社長による改革物語。既存の価値観や業務プロセスも重視しつつ、周囲を巻き込みながら変化を広げていく。
舞台が日本企業であることはもちろん、中小製造業というのも個人的に高評価だったりする。
とりわけ大きな組織ではなく、職人の経験や勘が重視される製造業において、主人公たちはどのように立ち向かっていくのか。本書の読了後には、自分たちでも挑戦できそうな気がしてくる。
日本製造業の課題 製造業のサービス化
前置きが長くなってしまった。肝心の中身について僕なりの感想を。
本書描かれるのはタイトルの通り「日本製造業に第4次産業革命を!」ということだ。
「製造業もIoTとかAIとか色々使っていこうぜ」みたいなノリで語られることの多い第4次産業革命。本書の稀有な点は「なぜ第4次産業革命が必要なのか」「どんな施策を取り入れればよいのか」が語られていることだと思う。
なにより素晴らしいのは、第4次産業革命の本質を表面的なIT技術の導入ではなく、その内部のオペレーション改革にあると指摘しているところ。
どれだけ素晴らしいツールや仕組みも、それを導入して運用していく仕組みと体制がなければ全く役立たないものになってしまう。オペレーションマネジメントに関心ある僕としては、非常に心強い味方を見つけた気分だ。
次回予告
本書が説く、第四次産業革命を成し遂げるためのオペレーションマネジメントについて解説する。