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陥没の危機、市域まるごと移転計画    スウェーデン キルナ

スウェーデンの北部 北極圏にキルナ(Kiruna)という町があります。人口は約23,000人。面積は、20,000 km2、世界で2番目に広い市です。冬は長くシベリアのように極度な低温にはなりませんが、マイナス20℃くらいになります。雪も比較的頻繁に降るところです。

市章は鉄とライチョウが描かれています。

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これはキルナの主要産業がキルナ鉱山から産出される鉄であること、キルナという地名がサーミ語のギーロン(Giron、ライチョウ)に由来しているからです。

1.キルナ鉱山

1890年ころから鉄鉱石を掘り進めてきたキルナ鉱山は世界最大の鉄鉱石鉱山として、国営のLKABが運営しています。

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ルオッサヴァーラ=キルナヴァーラ (スウェーデン語: Luossavaara-Kiirunavaara Aktiebolag、LKAB)

1890年設立 本社 ルレオ 従業員数 約4,000人

https://www.lkab.com/en/

この鉱山では、良質なスウェーデン鋼となる鉄鉱石を1日に約7万トン産出しています。(6つのエッフェル塔を立てられる鉄鋼材の量に相当)

鉄鉱石はペレットおよび焼結粉鉱に加工され、貨物列車でノルウェーのナルヴィク港およびスウェーデンのルレオ港から世界各地に出荷しています。また、SSABのルレオ製鉄所(スウェーデンとフィンランドの会社で、1978年に設立され、原材料を鋼に加工している)に供給しています。

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鉱脈は市域の直下に広がっています。長期にわたり大量の鉄鉱石を採掘してきたことにより、このまま掘り進むとキルナは市域全体が陥没する恐れが出てきました。

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2004年 、LKABは3キロ離れた場所に市域全体を移転する長期計画を発表します。

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その後、反対意見など紆余曲折を経て、2015年に市とLKABにより、2035年までに鉱山の反対側に市域全体を、そのまま引っ越す移転計画が正式に決まりました。

2035年までに、教会、市庁舎、キルナ駅、住宅など市域全体を段階的に移転する計画が進行中で、すでに、キルナ駅や市庁舎は移転されています。

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さて、鉱山の町キルナの概要をご紹介しましたが、ここはとても自然に恵まれた美しい町です。

2.キルナの街

キルナ市のホームページには次のように記載されています。

キルナはユニークです。北緯67度の緯度に沿って進むと、そこには無人の荒野が広がります。地理的に言うとキルナはとても変わった場所なのです。北極圏の北 20マイルにあるキルナでは、オーロラ、真夏の白夜、スウェーデンで最も高い山、世界最大の鉄鉱石鉱山、古代サーミ文化、そして進行中の都市の変容に至るまでのコントラストを体験できます。キルナへようこそ。私たちの平凡ではない日常生活を体験してください。

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https://www.kirunalapland.se/

日本からキルナ(キルナ空港)へは、飛行機を乗り継いで行くことができます。

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私は、ここから100kmほど北西にあるアビスコへオーロラを撮影するために、今までに6回キルナに立ち寄っています。

北極圏の厳しい自然環境にある鉱山の都市 キルナはどんなところか、その魅力ある観光スポットについて、これから、ご紹介します。

3.主な観光スポット

a.アイスホテル

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アイスホテルはキルナの中心部から車で30分ほどのところにあります。

建物は氷と雪で作られ、その客室には氷で作られたベッドがあります。

氷を削った室内装飾が飾られ、部屋の一角には暖房付の浴室があります。

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世界で、ここでしか味わえない雪と氷で作られたホテルに泊まる特別な体験を楽しむことが出来ます。

キルナに行く機会があれば、まず、ご紹介したい観光スポットです。 

キルナ空港からも近く、見学だけでも出来ますので、立ち寄られるといいと思います。
 
私はいつも、帰路、空港へ向かう時にホテルからアイスホテル経由で空港に行くようタクシードライバーに頼み、ここに立ち寄っています。


b.キルナ教会

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次にご紹介したいのは、キルナ教会。

サーミのテントをイメージした木造教会は、1912年に建築家グスタフ·ウィックマンによって建設されました。

祭壇に掲げられた絵はスウェーデン王族のネルケ公爵エウシェン王子の作といわれています。

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2001年には、教会は、スウェーデンで最も美しい建物に選ばれています。

キルナの中心部からは、徒歩10分ほどで行くことが出来ます。

Kiruna Church
Kyrkogatan 8
98131 Kiruna
Tel. +46 (0)980-678 00

https://www.svenskakyrkan.se/kiruna/jukkasjarvi-forsamling

c.旧キルナ市庁舎

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3番目は旧キルナ市庁舎、レンガ造りで内部は木造の美しい市庁舎、1963年にアートゥル·ヴォン·シマーレンシーによって設計されました。

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スウェーデン建築賞、カスパー·サリン賞を受賞しています。

現在、市の機能は新庁舎に移転され、ここは、キルナ市のことを広報する展示スペースとして使われています。

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キルナの中心部からは、徒歩15分ほどで行くことが出来ます。

The City Hall
Hjalmar Lundbohmsvägen
3198 136 Kiruna
Tel. +46 (0)980-700 00

キルナは世界で2番目に広大な都市ですが、旧市役所、スーパー、銀行、百貨店、ホテル、カフェ、教会などの施設はコンパクトにまとまっています。

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中心部はCENTRUMという広場があり、ここからは徒歩圏内でそれぞれ行くことが出来ます。

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キルナ空港から、この町の中心部まで、車で15分ほどです。

以前は、キルナ駅も中心部にありましたが、今は、2kmほど、離れたところに移転しています。 

d.ホテルについて

キルナでおすすめのホテルをふたつ紹介します。

ひとつめは、Scandic Ferrumです。

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大手ホテルチェーン Scandic のホテルです。

CENTRUMの一角に位置する大きなホテルで、設備、部屋も綺麗で、食事もおいしいです。

バイキング形式のランチはおすすめです。

オーロラで知られたキルナですが、市街地のため、明るすぎて、このホテルからオーロラを見ることは、まず出来ません。

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オーロラを見たい場合は、ホテルから出発するオーロラツアーを観光案内所で聞いてみるといいでしょう。

https://www.scandichotels.com/hotels/sweden/kiruna/scandic-ferrum

Lars Janssonsgatan 15
98131 KIRUNA
Scandic Ferrum Telephone
+46 980 398600
Email: ferrum@scandichotels.com

もうひとつは Camp Ripan というホテルです。

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中心部から少し離れた、自然に囲まれたホテルです。

歩くと30分ほどのところにあります。

快適なホテルの客室は、専用エントランス付きの居心地の良いキャビン形式になっています。

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中心部から離れていますので、ホテルからオーロラを見てみたい場合はおすすめです。

オーロラ観測用のティーサービス付のキャビンやサウナ、スパがあります。

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https://ripan.se/en/

Campingvägen 5
SE 981 35 Kiruna
Phone: +46(0)980-630 00
Email: info@ripan.se

e.カフェについて

おすすめのカフェをご紹介します。

Café Safari

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トリップアドバイザーでも評価 4.5 、人気1位のカフェです。

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g189815-d3842687-Reviews-Cafe_Safari-Kiruna_Norrbotten_County.html

ケーキとコーヒーが美味しかったです。

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コーヒーはフレンチプレスにたっぷり入れて持ってきてくれます。

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いつも混んでいますが、見た目よりも客席があり、2階にもたくさんテーブルがあるので、待ってみるといいと思います。

Geologgatan 4
981 31 Kiruna
Phone: 0980-174 60
Fax: 0980-100 93
http://www.cafesafari.se/4.html

f.アクティビティについて

キルナで楽しめるアクティビティはいろいろあります。

犬ぞりツアー、オーロラツアー、オーロラ撮影ツアー、白夜の体験ツアー、キルナ鉱山見学ツアー、トレッキングツアーなど、CENTRUMにある観光案内所で聞いてみるといいでしょう。

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https://www.kirunalapland.se/en/about-us/tourist-office/

時間があれば、キルナ鉱山見学ツアーがおすすめです。

世界最深のトンネルを3キロ通って、地下540メートルまでバスで行き、鉱山内部を見学させてくれます。

https://www.kirunalapland.se/en/see-do/guided-tours-to-lkabs-visitor-centre/

ツアー参加代金:大人一人360SEK、同グループ内大人一人に対し子供一人(6歳~15歳)まで無料、それ以上は子供一人あたり60SEK。ツアー時間:2時間45分

1SEK (スウェーデン・クローナ) は11.58 円
(2020年7月7日現在の外国為替レート)

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前半で申しましたように、私はオーロラをアビスコで見るために、この町に前後泊しています。

もし、オーロラを見るのが目的の場合は、キルナから車で2時間ほどのアビスコをおすすめします。

私のこれまでの経験では、キルナは雪の日が多く、延べ10泊したうち、オーロラを見たのは1日だけでした。

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Visit Abisko社のシャトルバスの利用が確実なのでおすすめです。 

ネットで予約できます。

https://www.visitabisko.com/transport/

空港からのホテルまでの移動は TAXI KIRUNA ABがいいと思います。

日本からは、メールで予約でき、今まで間違いなど無く、空港出口まで迎えに来てくれます。

キルナ空港の荷物ターンテーブルのコーナーで案内板を持って待っていてくれます。

http://taxikiruna.se/

email bokning@taxikiruna.se

4.おわりに

以上、世界でもあまり聞いたことのない、キルナの市域全体の移転プロジェクトの概要と見所のご紹介でした。

人間は、工業化、近代化という名のもとに、大気汚染、水質汚染、騒音、振動、土地への影響など、周囲の景観やコミュニティ、自然環境などに影響を与え続けてきました。

いま、地球は私たちに何かを訴えているのかもしれません。

その、見返りに町が崩落の危機に直面したキルナ。

ひとつの特異なケースかもしれませんが、キルナでは、市域ごと移転という大胆なプロジェクトが進行しています。



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