210813 青春の一つが終わった話

少し前になるが、「ホリミヤ」という漫画の連載が最終回を迎えた。
私はただの1読者に過ぎないが、最終回を読んでようやく私の心も高校生を卒業した気がする。
今日はそんな話。

青春を辞書で引くと15歳から29歳までのことを指す。
現在もまだまだ青春真っ盛りなのではあるのだが、「ホリミヤ」という作品、いや「堀さんと宮村くん」という作品は私の青春を彩ってきた大きな要因の一つだ。

中学3年生の時、初めて「堀さんと宮村くん」というタイトルに出会った。確かその頃はまだ自分のPCなんて持ってなくて、母の仕事用のパソコンで、母の居ない日中に延々と読んでいた記憶がある。
最も多感な時期に「堀さんと宮村くん」を読んだことによる影響力は凄まじく、絵を本格的に描きたいと思ったのは最終ゴールとして「堀さんと宮村くん」のような漫画が描きたかったからだったと思う(哀しい哉、今もまだイラストが精一杯である)。

高校に上がって、仲の良い友人に「堀さんと宮村くん」をオススメしたら、すごい勢いで沼にハマっていった。こういう人と物の相性を見る目は昔からあるらしい。その頃にはとうに本編は最終回を迎えておまけの話が延々と更新されていた(今尚更新が途絶えないので、HERO先生は凄い)。
そうして更新されるたびにキャッキャウフフしていた最中に始まったのが「ホリミヤ」だった。登場人物たちの新たな姿が見れることや、再編された内容(生徒会のあたりとか特に)でもHERO先生の作品の良さが滲み出ていて、仲の良い友人と駅前の本屋で交代交代でGファンタジーを買って読み終わったら相手に渡す、という謎システムで毎月の楽しみにしていたのも、今では懐かしい。

大学生になり社会人になり、「ホリミヤ」がアニメになることが決まった時は嬉しさと寂しさが入り混じった不思議な感覚だった。
「ホリミヤ」はずっとGファンタジーで表紙や巻頭カラーなどを貰うことも多い作品で、それでもアニメ化しないのは漫画の最終回が見えていないからだと思っていた。
そのため、アニメ化=連載終了だと気付いて寂しくなったのを覚えている。

アニメは毎週、高校の時に一緒にコミカライズ(元も漫画なのでなんとも表現が難しい)を追った友人と、LINE通話で一緒に観ていた。「ホリミヤ」と一緒に高校生活を送ったのもあって、観終わった後はアニメの感想もそこそこに高校生の時の思い出話に花が咲いて、毎週2時間くらい話し込んでいた気がする。
アニメの最終回はまだ漫画では読んでいなかった内容で、「原作通り終わるのね~」みたいな話をしながら普通に視聴し終わり、良いアニメ化で良かったという話をしただけだったのだが、漫画はそうはいかなかった。

漫画の良いところは、自分のペースで読み進められることだと思う。
その良さが、自分にはページをめくるのを躊躇させた。青春を彩ってきた「ホリミヤ」が終わると、自分の青春が終わる気がして読み進められなかった。それでもなんとか読み切って、出たのは深いため息と高校卒業時にも流さなかった涙だった。登場人物である彼らが卒業式を迎えたことで、ようやく自分も卒業式を終われた気がした。

こういった作品に出会えるのは稀有なのか、よくあることなのか、それは私には分からない。
けれど、確かに「堀さんと宮村くん」と「ホリミヤ」は私の青春を一緒に駆け抜けてくれた作品だった。

卒業おめでとう、堀さん。卒業おめでとう、宮村。
卒業させてくれてありがとう。

「堀さんと宮村くん」自体は今もおまけ漫画が更新されているし、現在連載中の「あことバンビ」も面白く、堀&宮村が後ろにこっそり出ていたりするので是非。

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