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ストックイラストでパターン素材を投稿する時のワークフロー
2024年度も参加です!ストックイラストに関する記事を集めた、カッコーさん主催のアドベントカレンダー企画に参加させていただきました!ストックは基本ひとり作業孤独なので他クリエーターの情報共有は新鮮だしありがたいです!
ストックイラスト歴10年以上のとよとよ です。
おかげさまで19期(19ヶ月)続いている、ストック初心者のためのスタートアップスクール寺子屋とよとら。スクール内で寄せられる相談をピックアップして掘り下げました。
有料ストックにパターン素材を投稿したい
「有料ストックでパターンをメインにした素材を投稿したい」「アートボード上のパターンは分割すべき?」
という相談がありました。↓のようなパターンオブジェクトが数点セットになった素材のことです。
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サイトごとのルールとイラレのクセや仕組みを含めて、僕ならこうするかなという方法を紹介します。
アートボード上のパターンは分割・拡張すべき?
ストックサイトの要件は以下です。
Adobe Stock / PIXTA / iStock
分割・拡張の有無はどちらでもOK。品質やライセンスに問題がなければ審査を通過します。Shutterstock
必須です。アートボード上のパターンを分割・拡張する必要があります。
審査が厳しいPIXTAに投稿する際の注意点
PIXTAでは、ベクターデータとラスター画像が正確に一致していないと審査で落とされます。特にパターン素材はアートボード上にパターンオブジェクトを残している場合、書き出し時にズレが発生しやすいです。という理由で拡張したほうが審査通過しやすいのですが、拡張したくないという声もあるので以下で解説します。
ベクターでパターンのズレや不具合を防ぐコツ
・パターンを原寸・初期位置にリセット
パターンオブジェクトを選択し、スウォッチパネルで再適用することで原寸・初期位置にリセットする。
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パターンの柄目の大小サイズ感を変えたいときは、パターン編集モードに入りオリジナルのサイズを変更する必要があります。
やや上級者向けですが、原寸・初期位置にリセット後にアピアランスの変形効果をかけ位置や大きさを調整する方法もあります。
・描画モードや不透明度の使用をなるべく控える
パターン内部の構造は、乗算やスクリーンなどの描画モード、不透明度の変更は避けたほうが吉です。不要な線が発生する原因になります。
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(追記)不要なスジ線を発生させない技術的な方法を、まちいさん@machi_AC が記事にしてくれています!個人的にブレイクスルーな技術!素晴らしいですありがとうございます!
え!!スジが消えました・・!
— とよとよ|イラレとストック (@toyotoyo2ro) January 15, 2025
パターン内部に透明効果は不向きだと思っていましたが完全解決ですこれ!ありがとうございます! pic.twitter.com/XFpVrXpaZA
下位バージョン保存時のパターン機能の互換性について
新規.aiファイルはAdobe Illustrator CC 最新のバージョンで作成しているものとします。
Illustrator CC〜CS6 で保存
・パターン機能の互換性は保たれます。
Illustrator CS5〜CS で保存
・パターン配列は"グリッド"のみ対応。
・CCで"レンガ"や"六角形"配列で作成したパターンを下位保存後再編集しようとすると、強制的に"グリッド"配列に変換されてしまいます。その際のアラート↓
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・再編集せずに投稿することもできますが、DLしたユーザーがこの変換アラートを受けることになりうるので親切とは言えません。
・CC時点で配列を"グリッド"で作成したパターンはver10に下位保存してもアラートや不具合はありません。
Illustrator ver10 で保存
・CS5以前と同じく、パターン再編集時に配列が"グリッド"に変換されてしまいます。再編集をせずにそのまま投稿することも可能ですがCS5〜CS保存と同様にDL後の懸念が残ります。
・バグか仕様か不明ですがさらにやっかいな事が。
配列変換を更新後、そのままver10で保存→一度ファイルを閉じ再度開くとスウォッチパネルのパターンスウォッチが消滅してしまいます。同時にアートボード上のパターンも意図せず拡張されてしまいます。
🌟対策方法
強制グリッド配列変換時に発生するクリッピングマスク。これが原因でパターンスウォッチが消滅しているようです。クリッピングマスクを合流処理することで、スウォッチパネルのパターンが消滅することを避けられます。
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とよとよ式ワークフロー
サイトの要件と互換性をふまえてのフローです。以下のデータであれば、サイトごとにファイルを分ける手間を省けて、パターン素材としても扱いやすいかと思います。
アートボード上のパターンを分割・拡張する
Shutterstockの審査基準に対応。
ベクターアートワークサイズ「2000×2000px以上」の指定もあるのでこちらも満たしておく。
スウォッチパネルにパターンを残しておく
DLしたユーザーがすぐ作業に取りかかれるよう、スウォッチパネルにパターンを残しておくのが親切かなと。
イラレver10 保存(.eps)
ver10まで下げるとAdobe Stock、iStock、PIXTA、Shutterstock全てに投稿可能に。
【分岐A:面倒だが万全なデータ】
強制グリッド配列変換を更新し、パターンスウォッチ消滅対策にパターン内部で合流処理をしておく。【分岐B:投稿者は楽だが懸念残る】
強制グリッド配列変換をしないで投稿。変換アラートをDLユーザーに委ねる。
僕は仕様に気付いて以来【分岐A】にしています。
「パターンスウォッチ有り」をアピールする
素材タイトルや説明欄に"Patterns are in Swatches"(スウォッチパネルにパターンがあります)と明記してDLユーザーにアピールする。
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僕は面倒くさがりなので上画像のように素材内に翻訳を含めて記述することがあります。が、公式な方法ではないので非推奨としておきます。Shutterstock審査で一番確実なのは、説明欄に英語で記入しておく方法です。
イラレ、ストック初心者さんはまずはこれでOK!
書いていて自分でも頭痛くなってきました。ということで
「互換性とかパターンの初期位置とかわけわからん〜」って人は・・・
CS6で保存してAdobe StockとiStockのみに投稿!
PIXTAでなぜか審査通らない!という人は・・・
アートボード上のパターンを拡張してCS保存で投稿しましょう!
という感じです。半端な技術録で読みずらい記事になってしまいましたが、どなたかの役に立てば幸いです!
お知らせ
今回の記事ような、ストックイラストに特化したtipsを
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