ムービングヘッドを制御する
TouchDesignerのDMX Out CHOPを使ってムービングヘッドを制御していきます。DMXについては『照明を制御する』を参考にしてください。
サンプルファイルはこちら。
準備する機材
今回利用する機材を列挙します。実際はアレンジメントがかなり利くので手持ちであるものや面白そうなものを採用してもらって良いかと思います。
まずはDMX機器。今回はAmerican DJ社のPocket PROを使います。国内流通するDMX制御のムービングヘッドとしては29,800円と最安値に近いと思います。ムービングヘッドは点灯パターンの制御だけでなく照射方向も制御できるため、より立体的な演出が作れます。
次にPCとDMX機器を接続する変換機器。今回はEnttecのDMX USB PRO MK IIを利用します。
こちらを使うことでUSBからDMX信号を制御することができます。手軽さではピカイチですが、大量のLEDなどを制御することが目的の場合はArtnetのほうが有利なのでEnttec ODE MK IIやElastion Node 4でも良いかもしれません。
DMX to USBな変換機器は大体2 Universeのものが多いですが、Artnetだともっと多くのUniverseを一気に制御できる変換機器が多く、その分コスト的にも設置的にも有利です。また、USB to DMX変換機器は独自のドライバが必要になるため、TouchDesignerなどでは素直に動かない機器がほとんどです。
DMX to USB変換機器やArtnet to DMX変換機器は大体規格で定められている5ピンでの入出力を備えていますが、今回利用するPocket PRO含め、DMX機器は3ピンのコネクタしか持っていない機器が多いです(特に低価格帯のデバイスに顕著)。
そのため、最初は5ピンから3ピンへの変換と3ピンのケーブルを購入しておくことをおすすめします。
また、DMX機器には大体DMXの出力と入力両方がついていて、デイジーチェーンをすることができます。要するにDMX機器同士を接続することで、PCから発した通信を全てのDMX機器に渡すことができます。この際、最後のDMX機器にはケーブルの変わりにターミネーターと言われるものをつけることになっています。日本語では終端抵抗と言われるものですが、実際的にはほとんどの場合なくても動きます。が、念のため準備しておきましょう。
こちらも3ピンのものがおすすめです。
セッティング
まずは機材に電源を入れてみましょう。DMX機器は大体DMX通信がなくても動くオートモードがあるので、まず電源を入れてそれらしく動いてるか確認をしてください。
次に、DMXのスタートアドレスとDMXのモードの確認をします。スタートアドレスは『1』にしておきます。チャンネルモードはPocket PROの場合は11と13があるので11にしておきましょう。
設定が終わったら次は配線をします。まずは最小構成でPC >>> DMX USB PRO MK II >>> 5ピン3ピン変換 >>> 3ピンケーブル >>> American DJ Pocket PRO >>> ターミネーター、という一本の構成にします。
まず、PCから制御する
早速TouchDesignerから制御してみましょう。LFO CHOPとDMX Out CHOPがあればDMXでの最小構成が作れます。LFO CHOPはTypeをGaussianに、Amplitudeを22にして値が0~255の中で動くようにします。そしてDMX Out CHOPはInterfaceをEnttec USB PRO MK2にします。
こうするとPocket PROの第一チャンネルはPanなのでPocket PROは首を振り始めるはずです。
次にMerge CHOPを間に挟んで、2本、LFO CHOPを入力します。そうするとPocket PROの首の振り方が複雑になると思います。これは2チャンネルぶんのデータがPocket PROに向かって送信されているためです。
このようにDMX Out CHOPでは通常、チャンネルの上から順番にDMXアドレスが1から割り振られて送信していきます。
なので、最初にConstant CHOPなどで割り振る予定のDMXのデータは作っておいて、それと値をリンクさせたほうがが動かしたいパラメータのみ動かすことができるため、便利です。具体的には以下のようになります。
同じアドレスの他のDMXデバイスを繋いでみる
ではプログラムはそのままでDMXデバイスをもうひとつ繋いでみましょう。
ターミネーターを外し、もう1つPocket PROを接続します。
同じスタートアドレスであれば、プログラムに手を加えずとも全く同じ動きをし始めるはずです。
アドレスを別にしてみる
では次に2つのPocket PROを、別々に動かしてみましょう。片方のPocket PROのスタートアドレスはそのままで、もう片方を1つ目とアドレスが被らないスタートアドレス、つまり今回で言うと13(1~12までを最初のPocket PROが利用している)に設定します。
その上でConstant CHOPを2つにし、Merge CHOPで合成して合計22チャンネル分のデータがDMX Out CHOPに入り込むようにします。
こうすると2つのPocket PROは違う首の振り方をします。
その他
Pocket PROは色の設定など、いくつかの値が線形ではなく、選択式になっています。どのような項目にすると使いやすいか考えてみましょう。
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