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シリコンチップISFET pH計 Q&A

《よくある質問(Q&A)》


Q1 ガラス電極方式のpH計とどのように違うのですか?

[ 回答 ]
本機は、ISFETという半導体デバイスをpHセンサとして用いています。ISFETとはIon- SelectiveField-Effect TransistorまたはIon-Sensitive Field-Effect Transistor=イオン選択性(感応性)電界効果トランジスタの略称です。ISFETのゲート絶縁膜に溶液が接すると、溶液のpHに応じて溶液/ ゲート膜界面の電位が変化するのでpHセンサとして用いられます。最新のマイクロエレクトロニクスを駆使して開発されたISFETは、割れやすいガラス電極の問題を解決するとともに、その微細加工技術により世界初の一滴のサンプル量のpH測定を可能としました。また、半導体技術は温度センサの集積化により素早い温度計測を可能にし、ガラス電極より使い勝手が良いpH計を提供しています。だれでも、どこでも、安心して扱えるpH計としておすすめいたします。

Q2 一滴でもpH測定ができるとありますが、どのくらいのサンプル量を測定できるのでしょうか?

[ 回答 ]
本機は、世界初の一滴のサンプル量が測定できるpH計です。サンプル量は0.05ミリリットルで十分です。この一滴でpHセンサと比較電極を被えるのでpH測定が可能になっています。

Q3 他社メーカーで、肉や果物などの食品に突き刺してpH測定するISFETセンサを採用した「ニードル型pH電極」がありますが、S2Kシリーズは突き刺し測定が可能ですか?

[ 回答 ]
本機では、そのような使い方はできません。ISFETセンサの採用で堅牢なpH電極が実現できますが、食品衛生法の総合衛生管理製造過程(HACCP)の 観点からは、化学センサを食品に直接突き刺すような測定は、センサプローブの複雑な構造がバクテリアを食品加工工程に持ち込む可能性があります。本機は、微量サンプル計測を最大の特徴としています。サンプルをpHセンサ先端で素早くすくい上げてpH測定するか、清浄な方法で微量サンプルを採取し てpHを測定する方法を推奨いたします。

Q4 サンプル溶液の温度を知るのはどのようにするのでしょうか?

[ 回答 ]
本機はpH値と温度をリアルタイムで交互に測定し表示します。交互表示機能は、①pH測定値が安定しない場合、②パワーオン時の二通りありますので、pH測定値が安定した状態でのサンプル溶液の温度を知るには、POWERボタンを押し電源をオフし、再度オンしてください。電源オン直後、数回温度とpH値を 交互表示します。

Q5 pHセンサのクリーニング法を具体的に教えてください。

[ 回答 ]
本機先端部のpHセンサ部が汚れたら、弱アルカリ洗浄剤と軟らかい歯ブラシ(毛先極細)で泡立てながらクリー ニングしてください。洗剤クリーニン グ後は水道水で先端部の洗剤を洗い落とし、テッシューペーパーで水を拭き取ってください。

Q6 pH計を使用せず長時間放置してしまいましたが、従来のガラス電極のように乾燥して使用できなくなってしまうのでしょうか?

[ 回答 ]
S2Kシリーズは短命なガラス電極とは全く異なり、丈夫で長寿命な高性能のISFETを用いたpH計です。長期にわたって放置した場合は、消耗品である比較電極R2K712とボタン電池CR2032を新しいものと交換し、センサ部を洗浄することで簡単に再びご使用になれます。この点で、S2KシリーズはpH計に革命をもたらしました。
ガラス電極の世界では電極の乾燥状態での放置は厳禁です。一度乾燥させると復帰はほぼ不可能ですが、S2KシリーズのISFETpH計では高性能の絶縁膜を採用しているので、長期間の乾燥放置はなんら問題はありません。

Q7 測定溶液の温度が50℃以上でもpHと温度の測定ができますか?

[ 回答 ]
50℃以上の高温ではプラスチック成型部品が劣化する可能性があるのでpH計の寿命を速めることになりますが、測定は可能です。測定中は、pH値、温度とともに警告表示【H.L℃】が表示されます。

Q8 pH2以下の強酸性やpH12以上の強アルカリ性の溶液のpH測定はできますか?

[ 回答 ]
pH2~pH12の範囲外では、プラスチック成型部品が劣化する可能性があるので推奨できませんが、測定は可能です。測定中は、pH値、温度とともに警告表示【H.LpH】が表示されます。

Q9 家庭菜園をやっていますが、土壌のpHを計る方法が分かりません。どのようにするのでしょうか?

[ 回答 ]
土のpHを測る方法は「地盤工学基準JGS0211土懸濁液のpH試験方法」 等で説明されていますが、ここでは簡便な方法を紹介いたします。まずは測定容器ですが、身近にあるPETボトルを加工した手作りのビーカーをご用意ください。採取した土をこのビーカーに入れ水道水(正式には純水)を加えてよく攪拌してください。上澄みを本機でpH測定します。

Q10 エラー表示【Er3pU】が点滅し操作ができなくなりました。

[ 回答 ]
pH計内部の電気回路およびpHセンサの故障です。
メーカーまでご連絡ください。(分解や解体をすると保証の対象外になりますのでご注意ください)

Q11 エラー表示【Er3℃】が点滅し操作不能になりました。

[ 回答 ]
温度センサの故障です。メーカーまでご連絡ください。(分解や解体をすると保証の対象外になりますのでご注意ください)

Q12 ISFET pH計 S2Kシリーズは1点校正を推奨し、2点校正をあまり推奨していませんが、なぜでしょうか?

[ 回答 ]
ISFET(Ion-Sensitive Field-Effect Transistor)におけるpH応答は、溶液のpHに応じて溶液/ゲート膜界面の電位が変化するというメカニズムですので、pH応答感度はほとんど変化しません。感度が変化する場合は、pH応答薄膜が破損した場合やpH 感応膜に汚れが付着した場合だけで、いずれの場合も劇的にpH感度劣化をきたします。経時変化のようなpH感度の劣化はありません。一方、ガラス電極pH計では徐々にガラス膜が劣化したり薄くなったりします。そのためにpH感度は経時変化をきたします。そこでガラス電極pH計ではユーザー様において2点校正が必要になります。pH計に関するJIS規格もこのために定められています。本機では、経時変化の極めて少ないpHセンサを採用していますので、工場でpHセンサの感度設定を厳密におこなうことにより、ユーザー様が面倒な2点校正をおこなう必要性が薄れてきました。このような理由により、1点校正を推奨しています。ネルンストのpH応答に従ってpHセンサの温度補正をおこなうという立場で、ゼロ点の1点校正方式で十分スペックを満足できるものと考えています。


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