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小論文の採点基準と上達指導法 〜序論・本論・結論の型で指導してませんか?〜

◆初心者・入門者はまずPREP法

小論文というものは解答に唯一の正解がないように、上達法・指導法にも唯一の正解がありません。しかし、だからといって闇雲に「とにかく書きまくる」ような方法をとって伸びるものでもありません。正解の感覚を掴むために、書くときの軸や注意点を理解していく必要があります。

初心者・入門者がまず着手すべきは、正解の実感を持ちやすい型から入ることです。PREP法は型として非常に優れています。だから前記事でも唯一の型としておすすめしました。型は小論文として評価される全体像をつくりますし、特にPREP法は正解の感覚を掴む上で最適なのです。

◆なぜ「序論・本論・結論」ではないのか?

型の指導が有効ならば、なぜ「序論・本論・結論」の型ではないのか?という質問を、教師時代によく他の教員から尋ねられました。序論・本論・結論の型は王道の中の王道であることは間違いありませんし、実際多くの出版社の出している小論文指導テキストでも序論・本論・結論の型に沿って書くように課題設定がなされています。しかし小論文上達の入門期において、この型は致命的な欠点をもつのです。

それは、序論・本論・結論のそれぞれの要素に何を詰め込めばいいのかがわかりづらいという欠点です。一般的には「序論で問題提起をして・・・、本論では事実などの根拠に基づきながら論展開をしていって・・・、結論で自分の主張をまとめて・・・」といったような解説が与えられますが、そもそも小論文が苦手な生徒は「問題提起って何をしたら…」とか「事実(根拠)をもとに展開ってどうすれば…」という感じに手が止まってしまいます。

そして序論・本論・結論の型は、上記のようなパターン以外にも様々な構成パターンがあります。

(例)
[序]問題提起 [本]根拠に基づく説明+具体例 [結]最終意見(結論)
[序]意見 [本]根拠1+根拠2 [結]反論の想定をふまえた主張
[序]一般論 [本]一般論の反証とその根拠 [結]自分の主張と根拠
[序]意見と根拠 [本]具体例と反論の想定 [結]まとめの主張  など

つまり、序論・本論・結論の型は「三段落構成にしてくださいね」程度の指標にしかならず、「序」「本」「結」で何を述べたら小論文で必要な要素を満たしたことになるのかがわかりづらく、初心者にとって易しくない型なのです。(SDS[ : Sumally要点 Detail詳細 Sumally要点]の型も同様です。)

しかも、課題文を要約してから意見を述べるタイプの小論文やグラフのデータを解釈してから意見を述べるタイプの小論文に対応しようと思うと、さらに別のパターンを学ばなくてはなりません。基本・王道でありながら、実は使いづらい型なのです。

その点PREP法は
①小論文に必要な要素をすべて満たす
→論証で必要な主張根拠に加えて具体例説明が入り、すべてそろう。
②段落構成を考える際に微調整で済む
→P・R・E・Pの4段落構成、P・RE・PまたはPR・E・Pの3段落構成、PR・EPの2段落構成など、多様な段落構成に対応可能。
③様々な出題パターンに対応しやすい
→テーマ型はもちろん、課題文要約型やデータ分析型ならば最初のPointの段落の前に要約やデータ解釈の結果を載せればあとはPREPの流れで書ける。

という利点をもっているため、初心者が明確な目的をもって考えやすい型となっています。

*余談で、CRF[conclusion結論,Reason論拠,Fact事実]の型も悪くはないのですが、中高生に論拠と根拠の違いを求める小論文入試がほとんどない上に、逆に具体例を求めない型であるため実践性でいうとPREP法に劣ります。


初心者・入門者には、明確な指針や正解に必要な軸・核を提示する必要があります。だから序論・本論・結論ではなくPREPの型が有効になるのです。


◆PREPの型で練習。その後は…?

入門者・初心者にはPREPの型が有効だと説明いたしました。では、その後伸びるために何をすればよいのか?

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