まちあるきで人と出会いまちを知る。とよなか地域創生塾第7期「DAY2 地域を知ろう!豊中の南部と北部を歩いてみる」開催レポート
みなさん、こんにちは!2023年10月22日(日)に、とよなか地域創生塾第7期のDAY2を開催しました。
DAY2は「地域を知ろう!豊中の南部と北部を歩いてみる」というテーマのもと、午前中は南北の二手にわかれてまちあるき。午後は塾生全員で再集合し、まちあるきでの気づきシェアとまちづくりに関するレクチャーが行われました(とよなか地域創生塾の詳細やDAY1の様子を知りたい方は、「DAY1 キックオフ!開校式」の開催レポートをご覧ください)。
地域に関わりたいならまちを知るところから
とよなか地域創生塾(以下、創生塾)では、とよなかの地域を「創」り「生」かしていくための知識を学び、想いを共有する仲間と出会い、そして、ともに小さく実践していくことを目指しています。地域活動において、その“地域”(豊中)を生かすには、まずそこにどんな人がいて、どのようなリソースがあるのかを知るところからはじめたほうがいい。
ということで、今回のDAY2では豊中の南部と北部をまちあるき!塾生のみなさんには事前に南部と北部のどちらのまちあるきをしたいか、アンケートを取ってグループを確定。ベッドタウンの北部組と下町の庄内組にわかれて、豊中の特色や魅力を探ります。その道中には、今後の地域活動に活かせそうなヒントとの出会いがたくさん。そこで今回のレポートでは、豊中のまちあるきでの発見と、兵庫県尼崎市を中心に地域活動をされてきた藤本遼さん(今期の創生塾の企画運営を担う「株式会社ここにある」代表取締役)に教わる「まちづくりで大切なポイント」に焦点を当ててご紹介します。
ぎゅぎゅっとポイントを詰め込んだので、置いていかれないようにしっかりついてきてくださいね!
文:中田龍弥(なかた・たつや)
まちの人とともにつくる地域コミュニティが魅力の豊中北部
まずは、北部のまちあるきからご紹介。
北部のまちあるきは、豊中市役所で勤務する傍ら住んでいるエリアで地域活動も行っている中西由美子さんが担当してくださいました。普段は市役所で資産管理課明示係として、行政の資産管理に関わる業務に携わっておられますが、地域では別の顔も持っており、地域のお祭りなどの地域活動にも積極的に参加しておられます。
また、地元住民である事務局(豊中市)の久野さんも同行して案内してくださったので、北部チームは大変地元感が染み出していました。
参加メンバーはまず千里中央駅前にある「千里文化センターコラボ」の前に集合です。びっくりしたのですが、ほぼ全員が集合時間の5分前に集合するという真面目っぷり。順調にまちあるきがスタートしました。
南部(特に庄内エリア)とは異なり北部は店舗や拠点が密集しているわけではないため、徒歩で移動する時間が長いのが特徴でした。かつ、アップダウンもかなりキツめ。でも、それゆえに小グループになって会話しながら移動することができたので、メンバー同士の関係性が深まる時間になりました。
以下では、北部で巡ったスポットを2つご紹介します。
地域のみんなで育てる小学校内のコミュニティファーム
ひとつめは、豊中市立北丘小学校の中にある地域に開かれたコミュニティファーム「畑のある交流サロン@kitamachi」。この場所は運営がスタートして7年ほどになるそうです。この日は、活動を率いている押川さんにお話を伺うことができました。
「北丘小学校の校長先生から『ここをぜひ地域に開いて有効活用してほしい』という声をいただいて」。あまり深くは聞けませんでしたが、きっと地域との元からの信頼関係があったのだと思います。そんな校長先生の声とそこに集まったみなさんの想いからスタートしたコミュニティファームには、その日大阪大学の留学生なども含めて30名ほどの方が集まっていました。見てみるとしている作業はさつまいも掘り。うまそ〜。焼き芋がしたくなっちゃいますね。
普段は大人20名、子ども10名ほどのメンバーで畑の管理運営をしているそう。自然教育、環境教育も兼ねている活動ですが、学校の庭でこの取り組みをしているのがすごいなあと素直に感心。
「苗はいつもコーナンで買ってくるんですよ」と押川さん。なんだか関わりたくなっちゃう活動でした。
「千里中央公園」を普段の日常がちょっとだけ楽しくなる公園に
ふたつめは、豊中市と連携して千里中央公園パートナーズ(エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社、株式会社ローソン、西日本電信電話株式会社関西支店の3社)が手がける千里中央公園内の「1OOORE SCENES(センリシーンズ)」の見学です。
この日は「1OOORE SCENES」の一角にある「LABO」というコミュニティスペースの運営を担当している久保さん(エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社)に「1OOORE SCENES」の成り立ちと日々の運営についてお話しいただきました。
「1OOORE SCENES」は、設立前から地域で活動する団体さんなどにヒアリングをしたり、地域住民のみなさんとの関係性づくりをしたりしながらスペース設計やイベント企画を進めていった場所。その中で出てきた「ハレの日の(特別な)公園ではなく、普段の日常がちょっとだけ楽しくなる公園」というキーワードを大切にしながらコミュニティと空間を育てておられます。
また「1OOORE SCENES」のOはゼロではなく、英語のオーになっているとのお話も伺い
ました。そこには、①Open:すべての人に開かれている、②Ordinary:日常を彩る、③Organic:いまあるものを活かす、という3つの想いが込められているそう。名称からも「千里中央公園の魅力、千の景色を一緒に見つけ育てていく」というコンセプトが感じられますね。
公園でのさまざまな活動支援や相談対応をする「パークコミュニケーター」を務める久保さんは「豊中市民の方もそうでない方もいろんな方に来ていただき、一緒にイベントなどの企画や取り組みなどの相談ができれば」とお話しくださいました。千里中央公園でなにかやってみたい方は、ぜひパークコミュニケーターのみなさんとお話ししてみてください。
豊中南部は人の温もりとクセがにじみ出るザ・下町
お次は、豊中南部(庄内地域)のまちあるき。庄内地域では、都心部には見かけないような一風変わった飲食店がずらりと並んでいます。お店同士も密集しているため、通った道すべてが見どころいっぱいでした。
南部のまちを案内してもらうのは、南部ブラザーズのお二人。普段はお揃いのオリジナルTシャツを着て活動しているらしいのですが、、あれ、弟の上野さんは私服で登場。兄の橋本さんは裏切られたみたいです笑
庄内駅前に集合した一同、まずは南部ブラザーズのお二人から庄内を中心とした南部地域の概要を説明していただき、準備が整ったら散策スタート!
庄内のまちあるきは駅前のコワーキングスペースからスタート
最初に訪問したのは、駅前の商業ビル「サンパティオ」にある、クリエイターたちのためのコワーキングスペース「toyonaka venture」。写真やグラフィックデザイン、システムエンジニアなどクリエイティブ系の分野で活動するフリーランスの方々が集まり、日々ともに学び合いをされています。
ここでは、toyonaka venture代表の大隈さんよりスペースの説明をしていただきました。実は大隅さん、今回の塾生でもあるんです!
大隅さん自身、本業がウェブ制作ということもあり、「クリエイティブ界隈で活動するフリーランスの方々が稼げるようになってほしい!それなら、まずコワーキングで人を集めよう!」という想いから始まりました。今まさにフリーランスとして仕事をする人と企業をマッチングできるシステムを開発中で12月リリース予定です。
いや〜クリエイター想いの熱い男ですね、、!
大隈さんがこのスペースをオープンできたのは、豊中市の手厚いサポートがあったからとのこと。「副業で何かビジネスをはじめたい」という方が比較的気軽に利用できるサポート制度があるみたいです。あまり知られていない情報ですが、豊中市で何かやってみたい人には最高の情報ですね。気になった方はぜひ豊中市へ相談してみてくださいね。
コワーキングスペースをあとにして、ゲストハウス日本宿屋一六八を訪問。代表の井関さんからはゲストハウスの紹介に加え、仲間づくりに関するお話もしていただきました。
クセ強だけどあったかい庄内愛感じる店長登場!
その後も庄内をぶらぶら。
ふらっと歩いた先の飲食店のシャッターに「ラスベガスにいってきます」の文字を発見。ここは橋本さん一押しのジャガーズホットドックというお店です。
ここでは、人情あふれる庄内のまちを肌で感じるエピソードが!
このお店の店長であるジャガーさん、実はバンドのボーカルなんです。そのかたわら、気まぐれにカレーや冷麺を提供したり、ギターを演奏したりと多彩な才能を発揮してお店を営んでいます。また、このお店はマクドナルドの裏に位置しており、マクドナルドでアルバイトをする学生が休憩時間にギターを習いにきたり、帰り際にホットドックを食べてくれたりするのだそう。そうやって仲良くなった学生が二十歳になると、お酒を楽しむためにお店にくることもあるそうです。なんて心温まる瞬間、、!
そんなジャガーさん、11月には帰ってきているみたいなので、ぜひみなさんもいってみてくださいね!
歩いたあとのランチタイムではコラボの予感?
南部のランチタイムは、4人くらいの少人数にわかれてそれぞれ気になったお店へ。筆者の私は塾生の3名と一緒にカレー屋(めっちゃおいしいカレー屋BOSS)さんに入り、昔ながらの優しいカレーでホッと一息つきました。
ここでは、お互いのプライベートの話題になり、中でも塾生の一人である豊中近くの服部緑地でパン屋さんを営む方のお話に華が咲きました。すると、別の塾生の方が「私の手作りパンをぜひ提供させてほしい!」とコラボの提案が。すぐに意気投合し、今後の詳細な計画を立てることになりました。
塾生同士でコラボが生まれるのも、とよなか地域創生塾の魅力の一つですね。今後の展開に期待が高まります。
写真で一言?まちあるきでの発見をシェア
まちあるきを終え、塾生全員が庄内コラボセンターショコラへ再集合。
午後の部は、塾生のみなさんが北部と南部で撮ったベストショット披露からはじまりました。「これは全体に共有したい!」というようなショットが盛り沢山。撮影したみなさんに解説してもらいました。
特に面白かったのはこの1枚。
南部のまちあるきで、路地裏になかなかいい雰囲気(?)の漂う場所を発見したそうです。たくさんの私物が並べられ、気になるところ万歳でした。地域にある秘境を発掘するのもまちあるきの面白いポイントですね。
まちづくりで大切にしたいポイント3つ
ベストショットを紹介しあった後は、地域での活動経験が豊富な藤本さんから、まちづくりで大切なポイントをレクチャーしていただきました。
お話の中には、まちづくりに役立つエッセンスが盛りだくさん。すべてをお伝えしたい気持ちは山々なのですが、ここには書ききれないので、3つだけ抽出してご紹介します。
①巻き込む前に巻き込まれよう
新しいプロジェクトを進める際、さまざまな人々を巻き込んでいくことが必要ですが、その前に誰もが下積みの時期を経験します。
例えば、地元のイベントに参加して、地域の人々と信頼関係を築いていくタイミング。ボランティア活動や運営スタッフとして関与すること、あるいはお客さんとして参加することなど、さまざまな方法で関わることができます。そうして、新しい情報やリソースに触れていくことで、自分の引き出しが豊かになっていくものです。大事なのは、他人を巻き込む前に、自分から巻き込まれてみること。11月には庄内地域でも多くのイベントが予定されているので、何かしらの形で関与してみると素敵な出会いがあるかもしれませんね。
②仲間集めをしよう
2008年に、阪急塚口駅近くの塚口さんさんタウンの一角で「amare(あまり)」という拠点をつくって活動していた藤本さん。そこでは、市役所職員とDIY職人という、異なるバックグラウンドを持つ二人の仲間と一緒にはじめたそうです。彼らがいなければ、そのプロジェクトは実現しなかったとのこと。チームでの協力が、時には個人よりも面白いアイデアや成果を生み出すことがあるのかもしれません。
仲間集めのために藤本さんは当初、自分の情報発信に「いいね」を押してくれた人に対してメッセージを送りまくっていたそうです。お礼を送っていた数はなんと3,000件!その結果、約2割の人々から返信があり、新たなつながりが生まれました。「いいね」を押してくれる人たちは、少なからず興味を持っている訳ですから、自分から一歩踏みこんで連絡することで、意外な仲間と出会う可能性が広がります。これこそが、新たな関係やプロジェクトが生まれる面白さの一つなのですね!
③正解ではなく、納得を求めよう
例えば、ミーツ・ザ・福祉。元々は、尼崎市と市内の団体や事業者を中心にした実行委員会で企画運営担っていたのですが、2017年度より「NPO法人月と風と」と「株式会社ここにある(当時は代表の藤本さん個人)」、そこに加え有志の実行委員会メンバーで、企画運営を引き継ぐ形で実施しています。
このイベントのテーマは「障がい福祉の啓発活動」。この障がい福祉という分野は、当事者やその関係者、それ以外の一般の方との境界線がはっきりしているケースが多い印象です。センシティブな分野であるがゆえに、第三者が気軽に関わることの難しさもあります。そのため、分野の入り口を広げるためのアプローチとしてどのような方法をとるのか、についても意見がまとまらないこともしばしば。そういった難しい場面においては、できるだけ多くの人々が納得できる方法を見つけることが重要だと藤本さんは語ります。
完璧ではなくても、現時点でメンバー内で納得感の高いアプローチを追求する。そうすることによって、当事者として活動に関わることができ、今後につながるフィードバックを受けることにつながるのです。目指すべきは、リアリティの中での納得感なのかもしれません。
以上、特に伝えたいポイントを3つに絞ってお伝えしました!どれも、藤本さんの実践の中から生まれた内容。地域創生塾の塾生である半年間だけにとどまらず、卒塾後も忘れず大切にしていきたいですね。
役割分担で「受講者」から、ともに「つくる」側へ
講義のあとは、イベント・メディアと空間活用の2コースにわかれて、塾生同士でコース内でどの役割を担いたいか話し合いました。とよなか地域創生塾では、場をともにつくることを大切にしているため、塾生のみなさんにもあらゆる役割を担当していただきます。
例えば、飲み会幹事。この役割は飲み会をしたいとき(コースとして開いた方がよさそうなタイミングの際など)に、第一声をあげて日程調整やお店の確保などを担当します。この飲み会幹事という役割、意外と学べることが多いんです。当日、人数が変わることの大変さを痛感したり、全員が楽しめる場をつくる(ニーズに答える)練習ができたり。まるで、小さな企画を運営するような経験ができるのです。学びの機会は、いろんなところに隠れていますね、、!
飲み会幹事の他には、日直やグラフィックレコーディングなど。みんなのやってみたい!という気持ちを尊重しながら、各々の役割を決めてDAY2は終わりの時間を迎えました。
次回は、空間活用コースDAY3「越境」してみよう!
次からはいよいよ、イベント・メディアコースと空間活用コースの2つにわかれての実施です。
先に開催するのは、11/6(月)の空間活用コース。阪急電鉄株式会社の永田さんに、地域におけるプライベートと仕事のつなげ方についてお話しいただきます。大企業にサラリーマンとして所属しつつ、個人としての自分と地域をどうつなげていくか。憧れるけれど、実現するのは難しそう、、そんなテーマを学べる会になりそうです。
次回もお楽しみに!
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