まちに出てみる第一歩。とよなか地域創生塾第7期「DAY5【余白の時間①】これまでの学びを振り返って今後のアクションを考えよう!」
みなさん、こんにちは、こんばんは。
遅ればせながら、2023年12月10日(日)に庄内コラボセンターショコラにて行われた、とよなか地域創生塾第7期「DAY5【余白の時間①】これまでの学びを振り返って今後のアクションを考えよう!」の様子をお届けします!
DAY3〜4は2つのコースにわかれて実施してきましたが、DAY5は2コース合同で実施。
前半はインプットの時間として、豊中市市民公益活動支援センターの上村さんと庄内コラボセンターショコラの橋本さんから、豊中市内の地域課題について話題提供いただきます。そしてインプットの後は、塾生同士で意見を出し合いながら、残りのおよそ3ヶ月の間で「どんなアクションをしていきたいか」を考える時間となりました。
地域課題にも目を向けつつ、自分自身の興味関心や「やってみたい」という想いを大事にする。塾生同士での話し合いの結果、最終的に5つのチームが始動することになりました。
どんなチームが生まれたのか知りたい方は、ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
文:鈴木芽生(すずき・めい)
個性が滲み出るチェックイン
本日も進行を務めるのは、とよなか地域創生塾第7期の企画運営を担う株式会社ここにある代表の藤本遼(ふじもと・りょう)です。
毎講座、冒頭に実施しているチェックインでは、「仕事で着ぐるみを着た」「イベント終わりで創生塾に来た」「自宅にて8時間ぶっ通しでカレーの食べ比べ会をした」など個性的なエピソードが続出。
プライベートでもさまざまな活動をされている方が多く、会の後半にはどのようなチームが生まれているのか楽しみです!
豊中市内の地域課題をインプット① 〜北部エリアを中心とした地域課題など〜
DAY4までの各回では、個人の好きや興味関心などの想いから活動をはじめることが大切、という話が多くありました。その傍らで、豊中市の現状や地域課題などの背景を抑えた上で、個人の想いも乗せてプロジェクトを考えていくということも非常に重要です。
そのため、今回は豊中市の全体の課題感や市民活動的な動きについてお二人方から話題提供いただきました。
まずは、豊中市市民公益活動支援センターの上村有里(かみむら・ゆり)さんにお話しいただきました。
長野県生まれ、東北育ち。推しのモンチッチを集めはじめて50年ほどになり、自宅には100体(匹?)以上のモンチッチがいるのだとか。市民活動の印象が強い上村さんの新たな一面が垣間見えました。
結婚を機に豊中に移り住んできて、30年近くになるそうです。お子さんを育てる中で、子育て支援のボランティアに関わったり、偶然近所にあった国際交流センターで多文化保育の活動をしたりするなど、子ども関連の市民活動に関わるところからスタートされました。
また、上村さん自身が理系で環境に興味があったところから、環境系NPOに関わったり、ガールスカウトのリーダーとして野外活動をしてみたり、まちづくりの団体にも関わったりするなど、さまざまな活動をされてきたそう。それらの地域活動を続けていく中で「ソーシャルな活動を事業型で人を雇用しながらやっていきたい」という想いが生まれ、NPO法人とよなかESDネットワークを設立したそうです。
これまでの活動の中で多様な人や団体との繋がりが広がり、それらを繋げる中間支援的な活動ができればということで、今回の会場である庄内コラボセンターショコラ1階にある「豊中市市民公益活動支援センター(通称「トヨカツ」)の委託運営をしています。
豊中に限った話ではないですが、地域で活動するにあたり、その地域の歴史的背景や地形的特色などの全体感を知っておくことは、地域で暮らす人たちの地域性を知るためにも非常に大切です。そのため、まずは上村さんから豊中の市域の変遷や地形的特徴などについてお話しいただきました。
現在は南北に広がる豊中市ですが、はじめに豊中となったエリアは現在、豊中駅や豊中市役所などがある中心部分だけだったのだとか。そこから北部が増えて、南部にも広がり、昭和30年に庄内地域と呼ばれるエリアが豊中市に入って、現在の豊中市になったそうです。
曽根地域と服部地域の間あたりに高低差のあるエリアがあり(かつて南側は海だったという話も、、!)、そこを境目に豊中南北問題と言われる地域課題もあります。文化の違いや格差があるなどといった南北間での問題があるということを知っておくのも、豊中市で活動する上では欠かせないことの一つですね。
地形や鉄道、道路などの視点から地域を見てみると、行政によって決められた境界線と生活圏域との違いが見えてくることも。そういった前提を知った上で、市民活動を考えていくとまた違った視点から考えられそうです。
豊中における課題感4つをピックアップ
豊中市の全体のお話を伺った後は、市内で生まれている活動や課題感を上村さんの独断と偏見(?)でピックアップしてお話しいただきました。このレポートでは、詳細を記載しきれないので概要のみご紹介します。
▼竹林保全の危機
上新田や千里ニュータウンのあたりにある竹林の保全活動が危機的な状況。これまでさまざまな団体が竹林保全の活動をしてきたものの、担い手不足という課題を抱えている。竹の新たな活用方法を模索する「チーム竹未来」など少しずつ新しい団体も生まれている。竹を伐採するだけでなく、循環が生まれるようなアイデアがあると、課題をビジネスで解決するようなソーシャルな活動が生まれていってほしい。
▼空港問題
豊中の北西部、伊丹空港の近くにおける課題。豊中市の動きとして、ビオトープやドッグランを設置したり、音楽イベントを開催したりするなど楽しい活動も増えている。しかし、地域の人の中にはゴミや騒音問題などから迷惑だと感じる人も一定数存在する。そのため、多様な活動主体と地域で暮らす人がうまくつながり合えるきっかけや活動があると良い。
▼北部の教育課題
南北で経済格差が広がっていて、北部では教育熱が高いがゆえに教育虐待や不登校児の増加というような教育課題があると言われている。学校に馴染めない子どもたちや引きこもりの人たちを支えていける若者支援のような場所がもっとたくさん増えてほしい。
▼外国人労働者や外国ルーツの子どもたち、留学生の暮らし
豊中市内には外国の方が多く暮らしているが、外国人の方の暮らしやすさには課題が残る。豊中駅近くに「国際交流センター」があり、その近くにも「国際交流の会とよなか(TIFA)」と呼ばれる場があるなど北部は比較的、多くの団体が活動している。それ以外の地域には広がっていないため、多文化共生や外国ルーツの子どもたちに関連する活動も増やしていきたい。
最後のメッセージとして、上村さんから塾生のみなさんに伝えたかったのは「課題はどこから見るかによって変わってくるからこそ、決めつけは良くない」ということ。
「南北格差がある」ということを聞いて、南部に対して少しネガティブな印象もあったという上村さん。ですが、庄内で働きはじめたことをきっかけに、「むしろ人の温かさを感じるしすごくいいまちだな」と感じるようになったようです。
「自分の原体験があるから参加する、というような『当事者性』を持って活動すると熱を持って取り組めると思います。外からではなく内側に入ってみたり、すでにやっている人の話を聞いてみたり、まずはやってみることを大事にしてほしいです」
長年、市民活動に関わり、さまざまな形でサポートしてきた上村さんだからこそ言える、重みを感じる言葉で締めくくっていただきました。
豊中市内の地域課題をインプット② 〜庄内(南部)エリアの特徴と課題〜
上村さんにお話しいただいた後は、庄内コラボセンターショコラのセンター長を務める橋本慶(はしもと・けい)さんに話題提供をしていただきます。
豊中市の南部エリアは、スーパーマーケットやドラッグストアもあり、交通の便もよく、生活をする上での利便性は高いのだとか。その一方で、昭和45年をピークに南部のみ人口が減ってきているという課題があるようです。20代の人口は増えてきているものの、子育て世代の転出が多く、結果的に人口減少が続いていました。
その課題に対して、豊中市はハード整備として、6校の小学校と3校の中学校を統合し、小中一貫(9年制)の義務教育学校2校にするという動きをしています。その1校目が庄内コラボセンターショコラの隣にある「庄内さくら学園」です。庄内さくら学園の建設と同じタイミングに、建て替えの時期を迎えていた公共施設を複合化するということで、庄内コラボセンターショコラもつくられました。
住み続けてくれる人を増やす
子育て世代の人口流出という課題が広がる南部地域。誰でもいいから呼び込むのではなく、「住み続けてくれる人を増やす」ために南部地域の本質的な価値をつくっていく必要があるのでは、と橋本さんは考えているようです。
では、南部地域の本質的な価値とはなんなのでしょうか?
橋本さんは「音楽、食、スポーツ、ものづくりを絡めて、この4つの要素を体験・体感できる仕掛けがあれば新たな魅力になるのでは」と語ります。その出発地点として、会場である庄内コラボセンターショコラ(以下、ショコラ)を活用してもらうため、様々な活動団体との連携や交流を深めていっているようです。
ショコラを中心に多様な団体同士がつながったり、活動領域が広がったりするなど、あらゆる形でコラボが生まれ、その結果イベントや施設への動員も増加。
ですが、橋本さん曰く「何人来たかが重要ではなく、運営側として参加してくれる人を増やすことが大事」とのこと。イベントへの参加ハードルを下げる仕掛けをつくることを心がけているのだそうです。また、「別に行政がやる必要はないのでは?」ということでも積極的にサポートしています。
「一歩目を踏み出すところは行政がやった方がいいと思っているんです。例えば、警察の許可などを取るのはかなり大変なんですが、行政がやっていると信用があるからスムーズに進みやすい。一度開催できれば、前回開催した実績があるということでその後もスムーズに進めることができるんです」
地域の担い手を増やしていくために、行政として一歩目をサポートする。行政だからこそできる協力の仕方であり、地域で活動したい人にとっては非常にありがたい支援ですよね。
南部地域だからこそあるものを魅力としてどう見せていくか。
ハード面や制度など施策では継続的な変化は難しいですが、地域の魅力を感じられるような機会をつくっていくことで、まちを愛してくれる人を増やしていけるのではないか、ということを考えながら、橋本さんは様々な活動に取り組まれているようです。
なにかやってみたいことがあれば、どんどん橋本さんに相談してみてくださいね!
ショコラのセンター長になるにあたり、人脈を広げるためにまずはじめたのは「巻き込まれる」こと。これはDAY2の講義の中で、ここにある代表の藤本が全体に向けて伝えていたこととも重なりますね。自分で何かをはじめる前にはいろんなイベントに参加してみるなど、自分から巻き込まれていくという動きがやはり大切なようです。
また、イベントを企画する際のチームをつくる時には、「自分(橋本さん自身)が1番汗をかく」ことを意識しているのだとか。特に今年は初年度ということもあり、「1回やってみてダメだったらやめる」という気持ちでまずはやってみることを大切にしているからこそ、責任を取る役割は少ない方がいいと思って、橋本さん自身が主体となって動くことが多いのだそうです。
「庄内地域をはじめとする豊中全体のために、行政としてできる限りのサポートをする」という橋本さんの熱い想いをひしひしと感じる話題提供の時間となりました。
塾生同士でも活動事例や団体、課題をリサーチ!
塾生それぞれの興味関心や気になる事例や団体を可視化するために、事前にリストアップしてきてもらっていました。それをみんなで眺めながら、簡単にお互いの興味関心や事例などをシェアしあう時間に。
事前にリストアップしてくれていたのは30以上の取り組みや団体の事例たち。リストアップしてくれた塾生からコメントをもらいつつ、特徴的な事例についてインプットをすることができて、今後の活動のタネにもなりそうな予感です。
自分たち/豊中の資源(リソース)を可視化しよう!
豊中のことを中心としたインプットの時間を終えたら、休憩を挟み、「自分たち/豊中の資源を可視化しよう!」ということでワークを行いました。
リソースカードと名付けられたカードが1人に5枚くらいずつ配られ、各自書き出してもらいます。そのカードにはそれぞれの持っている「スキル」「ネットワーク」「モノ」「コト」を記入。リソースを出し合えたら、それらのカードを全体で眺めて「リソース同士をかけ合わせたら何ができそうか」をみんなで話し合う時間をとって考えてみました。
全員が手持ちのカードをすべて記入し終えたところで、すべてのカードを机の上に広げてみんなで眺めてみます。
ものは捉えようで、自分では何気なくできていることでも、実は他の人から見たらすごいことだったりすることって意外と多いですよね。その反対に、自分のとても苦手としていることが実は得意な人が身近にいることも。
リソースカードを眺めていると「案外、困っていることって誰かに相談したら解決するかもしれない」と、楽観的に考えられそうな気がしてきます。
さて、みんなが書いたリソースカードを見てアイデアを膨らませたら、いよいよ自分の「やりたいこと(テーマ)」を出してみます。まだ具体的になっていなくてもよいので、やってみたいことや取り組みたいことがある人は紙に書き出してもらいました。
ある程度、プロジェクトのタネが出揃ったところで、記入してもらった紙を全体の前に張り出し、書いた方からプロジェクトイメージをシェアしてもらいます。そのイメージを聞いて、一緒にできそうなところを掛け合わせてみたり、関わってみたいプロジェクトのメンバーになってみたり。
イメージの共有と全体での話し合いの結果、下記のような5つのプロジェクトチームが始動することになりました。
<おかずクラブ>
余った野菜などを持ち寄ってみんなで一緒に調理をして食べる会を定期的に開催。作りすぎたおかずや持て余した食材などを交換し合える関係性を築くのが最終目標。LINEのオープンチャットなどを作成してそこでやり取りができるようにしていきたい。
<癒し+屋台(癒し台)>
アロマテラピーなど癒しをテーマにしたコンテンツを(DAY4で製作した)屋台を活用して届けたい。立ち寄ってくれた方の話を聞いたり、相談に乗ったりする。イベントがあれば出店したり、月に1回程度定期的にショコラなどの場所で出してみたりする。
<ケアと演劇(表現)のプロジェクト>
演劇ワークショップを通じて子どもたちに体験の機会を届けたい。今すぐ大きなことはできないので、小さな演劇をイベントの一角でやってみたり、屋台を活用してみたりして、ケアの視点を取り入れながら、まずは小さく形にしてみる。
<メディアプロジェクト>
豊中市内の活動を発信したり、豊中関連のリソースをアーカイブしたりできるようなメディアをつくっていきたい。メディアといっても様々な媒体ややり方があるため、プロジェクトメンバー内でイメージのすり合わせをしつつ、進めていく必要がある。
<団地でキッチン>
塾生の一人が仕事でも関わる団地の中の共有スペースを活用して子育て世帯向けのイベントを実施する。まずはプロジェクトメンバーで運営をしつつ、ゆくゆくはその団地に住む人たちが中心となって回していけるようなコミュニティができるのが理想。
残りの時間は、話し合いで絞られたプロジェクトチームごとにわかれて、それぞれのやりたいことを共有したり、認識のすり合わせを行ったりするなど今後に向けて具体的な話をする時間に。
今後は、講座も続いていく裏側で今回立ち上がった5つのプロジェクトも同時に進行していきます。
そして、2024年2月18日(日)には、本日の会場でもあるショコラで「キッズランド」という子ども向けのイベントが開催される予定なのだそう。そこで、とよなか地域創生塾第7期として、スペースを確保していただき、それぞれのプロジェクトチームごとにブースを出すという方向で進めていくことになりました。
まだまだ始動したばかりですが、約3ヶ月後はどのような形になっているのか楽しみですね!
最後に、各プロジェクトチームの今後の動きを全体にシェアしてDAY5は終了!インプットをして発散して収束するという頭をフル回転させた4時間でした。
DAY6からは、また2つのコースにわかれて講座が進んでいきます。次回は2023年最後の講座、イベント・メディアコースの「イベント・フェスをつくってみよう!」です。関西最大級の無料音楽イベントを主催する講師お二人に、イベントやフェスのつくり方を根掘り葉掘り聞いちゃいます、、!
ぜひぜひ、今後のとよなか地域創生塾の発信もご覧くださいませ〜◎
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