そうなる理由説明できますか?
いきなりですが、問題です。
以下の図でスイッチを入れるとどうなるでしょうか?
① 電球1だけ点灯する。
② 電球2だけ点灯する。
③ 両方とも点灯する。
正解は、、、
②です。正解できたでしょうか。
生徒(高校生)に出題すると、正しい選択肢を選ぶことができても、その理由を問うと満足な解答を得られることの方が少ないです。学力が比較的高い生徒でも然りです。その理由の多くは
「電流は流れやすい方を流れるから。」
というものです。この理由だと導線の代わりに十分小さな抵抗の電球を置いた場合でも、電球1は点灯しないことになりますが、そうはなりませんね。
私は次のように説明します。
スイッチを入れるとab間の電位差は等しくならなければいけません。つまり、赤で塗られた部分の電圧降下と、青の電圧降下はどちらも等しくなくてはいけないのです。
導線(赤)の方にいくら電流が流れても、電圧降下は0のままです。一方、電球1に少しでも電流が流れたとすると、ab間に電位差が生じます。
したがって、「赤と青で電位差が等しくなるための唯一の条件は、すべて導線側に電流が流れ、電球1には電流が流れない」でしか満たされないのです。それ故、正解が②になるのです。
さて、次の図は物理を勉強している生徒なら必ず目にする(電球の代わりに抵抗ですが、本質は変わらない)回路ですが、このような問題にも同じことが言えます。
スイッチを入れた「直後」はコンデンサーの方に電流が流れ、抵抗(電球1)側に電流は流れません。
コンデンサーに電荷が蓄積されて初めて電位差が生じます。「直後」に関しては、蓄積された電荷はまだ0とみなせるので、そこには電位差は生じません。
もし抵抗の方に電流が流れると、電位差が生じてしまうため、こちらには流れないのです。
上記の問題に関しても、「スイッチを入れた直後はコンデンサー側に電流が流れる」ということを呪文のようにただ覚えてるだけの生徒によく遭遇(というより大半がそうである)しますが、回路の基本的な性質が成り立つための要請からしっかり説明できるということを理解してほしいと思います。そして、正しい理解ができていない友達には是非教えてあげましょう。
【追伸】
生徒がきちんとした説明ができないのは生徒だけが悪いとは思っていません。多くの問題集の解説や参考書には、スイッチを入れた直後に関する「結果」しか書かれていないものが多いからです。かく言う私も高校生の頃はこのような説明は出来ていなかったでしょう。これに関しては、ちゃんと説明してくれる先生に出会うしかないのでしょうか。。。