古いLレンズはロッコールに勝てるの?EF28-80mm F2.8-4L VS オールド単焦点
祖父から古いEFレンズを譲り受けました.EF28-80mm F2.8-4Lという1989年発売のレンズです.
どうやら1989年から1993年頃まで販売されていたようですね.初代EOS-1と同時期の発売か,相当古いな.でも,いくら古くてもLレンズです!キヤノンのプロ用レンズ.きっと30年前のキヤノンの技術者が本気を出して開発したに違いありません.
私は基本的には標準単焦点党なんです.標準単焦点が一本あったら,大体事足りるよね?ズーム機構がついてしまった時点で負け,画質に妥協が生じてしまうじゃないか!という思想の持ち主.とんだ厄介オタクですね.でも,キヤノンカメラミュージアムの説明を読むと,
とあるじゃないですか!本当に単焦点に勝てるのか??検証してみることにしましょう.
とはいっても,もちろん現代に設計された単焦点レンズに勝てるとは思っていません.シグマのartとかには勝てないでしょう.というわけで,今回の比較対象はオールドレンズにしましょう!
条件
MD Rokkor 28mm f2.8
1本目はMD Rokkor 28mm f2.8です.状態はかなりよい.
MDレンズは前期と後期で開発思想が違っていて,前期は解像度重視,後期は小型化とコントラストに重きを置いた画作りと聞いたことがあります.このレンズは小型化が進んでいますから,おそらく過渡期のレンズか?わかりません.詳しい方がいらっしゃいましたらご教授ください.
やはりEFレンズのほうがコントラストが高いですね.現代的な写りです.しかしながら,ロッコールの自然な風合いもなかなかではないでしょうか.ロッコールの良さはこのニュートラルな色ですよね.
少し拡大してみましょう.
うーん,草の描写を見ると,EF28-80Lのほうが一本一本解像しているように見えます.ただ,色収差はEFのほうが大きそうですね.遠景は差が見られません.周辺は若干MDが有利か.
全体的に判断すれば,互角か少しEF28-80Lが上でしょうか.
Planar 50mm f1.4 Rollei-HFT
お次は50mm.オールドレンズの帝王,Planarと比べてみましょう.私の手持ちはRollei QBMマウント用のPlanar F1.4,西ドイツ製です.ヤシコンPlanarよりも柔らかい描写をするレンズで,ある意味よりプラナーらしいレンズといえるかもしれません.コーティングはツアイスのT*ではなく,Rollei独自のHFT.T*よりも温かい色になるとかなんとか.
やはりEF28-80Lはコントラストが高い!あくまでもオールドレンズと比較すれば,ですがね.拡大しなければ,どちらもよく写っているように見えます.
周辺画質は明らかにPlanarのほうが有利ですね.EF28-80Lは周りが流れています.ただ,真ん中の解像度はほぼ差がないかな.いや,中央でも若干Planarが有利か.遠景はほぼ同格か,少しPlanarが上かなぁ.
全体的に見れば,やはりPlanarの描写のほうが繊細です.
MC ROKKOR-PF 55mm f1.7
これは友人から譲りうけたレンズです.MCレンズですから,随分前のモデルになります.どうやら何かのキットレンズだったみたい.後玉にコーティングの剥がれがあるなど,コンディションは万全とは言えない状態ですが,実力はいかほどでしょうか!?
やばい.MC55,めっちゃ解像してる.拡大しましょう.
これは明らかにMCの勝ちですね.どこを切り取ってもMCのほうが解像しています.葉が生き生きとして見えるのはMCレンズのほう.AEONの看板の風合いもMCののほうがよく出ています.
EF28-80Lの写真の周辺に至っては,ブレていないかと疑ってしまうほどぼやけてしまっています.
番外編1 : FA 43mm f1.9 Limited
番外編です.α7r2+EF 28-80L VS K-1+FA 43mm limited.
カメラ本体の性能に差があるのには留意しなければなりません.α7r2の画素数は4200万画素,K-1は3600万画素です.600万画素くらい差がないんじゃ…と思ってしまう自分もいますが,α-sweet digitalは610万画素ですからね!カメラ一個分違うと思うと大きな差です.
うーん!写真としては断然ペンタックスのほうが好きです!この深い,ちょっと青みかかった色,大好きです.もちろんソニーは非純正レンズがついていますから,GMasterとかをつければもっといい色になるのかもしれませんが,それでもペンタックスの色は瑞々しい!
それにしてもα+EFの組み合わせは,ペンタックスのペアよりもコントラストがきついですね…
拡大しましょう.
周辺画質は断然FAが上.遠景においても,山や建物の描写などを見るとFAのほうが有利に思います.比較的近くにある木の描写などを見ると,EF28-80Lも健闘していますね.全体を見れば,FAのほうがいい描写をしています.
番外編2 : dp1Quattro
解像度といえば,こいつなしに語ることはできません.dp1Quattro,みんな大好きFoveonセンサー,唯一APS-C搭載のカメラがリングインです.コンデジはどこまで食らいつけるでしょうか.
うーん,もちろんコンデジとしてはdpもめちゃくちゃ頑張っているのですが…これはEF28-80Lに歩がありますね.というかα7R2がすごい,さすが4200万画素です.
まとめ
このズームレンズは確かにとってもいいレンズですね!正直ここまで健闘すると思いませんでした.確かに細かいところを見れば単焦点のほうが美しい描写をしますが,比べればそうであるというだけです.
細かく見直すと,
・広角側ではオールド単焦点よりも古いLレンズのほうが有利な場面が見られた.おそらく,70年代,80年代前半においては,単焦点とはいえ広角レンズに対する知見が足りていなかったのであろう.
・標準域では,多くの場面でオールド単焦点が古いLレンズを凌駕する.ただ,古いLレンズが悪いわけではない.
・中望遠になると,Lレンズは厳しい
という結果になりました!
最後に,このテストをやってるうちに,ロッコールが好きになりました.あんなに解像するなんて…