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それでもソニーは愛せなかった. Cyber Shot RX1レビュー.

Tamron SP 45mmを買ったばかりなのですが,実はコンデジを買っていました.ソニーのRX1です.ソフマップの中古で75000円でしたね.

なんとこいつ,コンデジのくせしてフルサイズセンサー搭載.噂によると初代α7と同じセンサーのようです.レンズは贅沢にCarl ZeissのSonnor 35mm f2.スペックだけ見ると,まるでCONTAX T2のようなカメラですね.デジタルCONTAX T2とでもいいましょうか.この小さいボディから生み出されるのは,まさにフルサイズクオリティの絵でした.

Kego2021
福岡 警固公園
DSC-RX1

警固公園の夜のショット.福岡は治安が悪いだとか,怖い人達がうろついているとかいう話がありますが,そこまで恐ろしい街だとは思いません.確かに京都や神戸よりも,髪色が明るい人や居酒屋のキャッチが多いように感じますが,名古屋の錦や大阪なんばより随分ましでしょう.
さすがフルサイズセンサー.夜景でもノイズがそこまで気になりません.色もよく残っています.

博多の昼
博多駅
DSC-RX1

冬になると博多駅の博多口がライトアップされるんですが,これは昼の写真.ちゃんraw現像でシャドウを重めにしてあげると人が浮かび上がってくるようですね.見事な立体感.さすがツァイス.
そもそも,なんでコンデジ?って話ですよね.これまでK10DやK-5,D600などを使ってきましたが,ズームレンズは通ってきてなかったんです.ほぼ標準単焦点一本で勝負してきました.ならば,レンズ交換できなくてもいいんじゃない?というお話になってきます.しかし,写りは妥協したくない.ならばフルサイズか特殊なセンサーを積んだコンデジしかありえんだろうと.RX1とSigmaのdpシリーズ,富士のX100Fを比較して,一度RX1を買ってみました.

眺望
博多駅博多口
DSC-RX1
JPEG撮って出し

AffinityPhotoで明瞭度をあげて,ダイナミックレンジ拡張をやってみました.やっぱりこのカメラはRAW現像をして使うカメラですね.JPEGやと色が好みじゃない.その点ペンタックスのカメラは最高です.ホワイトバランスをCTEにして,カラー調整を鮮やかにすればJPG撮って出しでもそれなりに満足できる絵が得られます.
あと,RX1のAFはとっても遅いです.もうびっくりするくらい遅い.まあ,でも遅いAFにはなれているので,私にとってはそこまで問題ではありませんが.しかし,α7シリーズとかになれている人が使うと困惑すると思います.フルサイズセンサーは精密なフォーカスを要求するでしょうし,コンデジだからスペースにも限界がある.仕方ないのかもしれませんね.

たそがれ伊都
九大伊都キャンパス
DSC-RX1

冬の空というのは本当に美しい.朝の世界を切り込むような直射日光,昼のどこまでも行けそうな高い空,夕方のグラデーション,夜の星空まで,すべて見事です.RAW現像をしてみると,RX1はうまく階調を残して記録してくれていました.ただし,JPEGは満足とは言えないものでしたね.

JPEG撮って出し

どうも私には緑かかった色に見えるんです.どうも色が好かない.このカメラは階調の再現性もシャープネスも,被写体の立体感の出し方も見事だったのですが,どうしてもJPEGの色が好きません.そんなもんRAW現像すればええやんという話なのですが.

冬空
九大伊都キャンパス
DSC-RX1

このような爽やかな青色はひさしぶりに見ました.他のカメラよりも青がシアンっぽいというか,ちょっと淡めですよね.結構ここは好きなポイントでした.ゆるめにRAW現像してもJPG撮って出しでも大体こんな感じ.カメラ好きな人に見せると,CONTAXT2の青色というより,コニカHEXERの青に似ていると指摘されましたね.なるほど,ソニーのカメラの系譜はコニカとミノルタにさかのぼりますから,まあ無理もありません.

劇場
福岡 天神地下街
DSC-RX1
JPG撮って出し

最近私,AdobeのLightroomを導入しまして,初めて現像したのがこの写真ですね.なるほど,確かに使いやすい.Affinityと比較するとAutoの精度がよくて,Adobeの色を基本として編集することになるので現像がはかどります.
そうそう,天神地下街のテーマは”劇場”だそうです.確かに神戸三宮の地下街”さんちか”の明るさとは対照的に,大人な雰囲気の漂う街です.

秋過ぎる
九大伊都キャンパス
DSC-RX1

ソニーのカメラをしっかり使うのはこれが初めてなのですが,αのデジカメなら,コニカミノルタ時代に出た”α-sweet digital”を持っています.これもいつかレビューしないとなりませんね.こいつの写りは本当に瑞々しくて,爽やかです.ライカやシグマの写りが油絵のような色彩なら,コニカミノルタは水彩画的とでもいいましょうか.解像度は610万画素とへっぽこですが,あまりカリカリにこだわらずに撮影したいときにはいい選択肢です.
しかしながら,RX1からその瑞々しさは,残念ながら感じられませんでした.確かにコニカミノルタ最後のデジタル一眼である”α-sweet digital”とソニー最初の一眼レフカメラ”α100”の絵を比較すると,明らかに前者のほうが私の好みの写りでしたので,やはりソニーはミノルタの写りを伝承してくれはしなかったようです.

はぐれもの
福岡 筑肥線車内
DSC-RX1

これはJPEG撮って出し.これはそんなに悪くないか.
福岡の地下鉄は本当に便利です.直通する筑肥線は九州大学伊都キャンパスの最寄り駅である”九大学研都市駅”,”周船寺駅”,を通って,姪浜で市営地下鉄空港線となり,一台商業地である”天神”,夜の街である”中洲川端”,交通の要所”博多”を経て,福岡空港まで貫きます.なので,天神と博多を通る電車の車両に京急の宣伝が貼ってあったりするんですよね.つくづくコンパクトシティです.


福岡 波多江
DSC-RX1

福岡はあまりにコンパクトシティですから,30分も電車に揺られると田舎になっちゃうんですよね.そこに伊都キャンパスはあります.この写真は伊都キャンパスから南下したところにある農場に放置されていたコンテナを写した写真です.これはJPEG撮って出しなのですが,惚れ惚れするほどよく写ってますね.サビ具合だとか,文字の消えかかったところとか,フルサイズの懐の広さを感じます.

愛すべき伊都
九州大学伊都キャンパス
DSC-RX1

最後は定番のショットを.確かにこのカメラは超高性能です.高性能なレンズ,満足なフルサイズセンサー,驚くほど小さなボディ.しかしながら,どうもソニーの絵は好きませんでした.デジタル入稿を意識しすぎた結果なのか,はしからはしまでなめらかで,デジタルっぽい絵に見えるんですよね.私はもっとフィルムのような,強烈な立体感がほしいんです.とても惜しいですが,このカメラは返品して,dp1 Quattroを当たろうと思います.


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