一台だけしか持っていけないなら.LX100レビュー.
しばらく続いたカメラ収集ですが,これで終わりです.メイン機のニコンD600,マクロ用のペンタックスK-5,解像度がほしいときのシグマdp1 Quattro,えもい街スナップをやるための富士フイルムX100,そして,なんでもやれるパナソニックのLX100でシメですね.LX100は高級デジカメというカテゴリに分類されるカメラで,4/3センサーに24-75mmのズームレンズを搭載.そう,生粋の単焦点党である私の財産のなかで,実用的なシステムの中ではほぼ唯一のズームです.私が手に入れたのは初代のほうのLX100で,中古で35000円くらいでした.
では,作例を載せておきます.
LX100の画質ですが,コンデジとしては過不足ないものです.もちろん単焦点レンズを搭載したX100やフルサイズセンサーのRX1に比べると解像度やダイナミックレンジは劣りますが,それでも十分戦えると感じます.もちろん,紙に印刷してドキドキするような写真をとるためにはdp1 QuattroやD600のほうがずっと有利でしょう.GRにも勝てませんね.この写真もA4に刷ると山のディティールに甘さを感じます.しかしながら,スマホの画面で見て”この写真綺麗”と感じてもらえるような写真なら,LX100で十分でしょう.
このカメラに付いているレンズ,24-75mmで開放f1.8ですよ??フォーサーズで.超ハイスペックやん.ちょっと無理をしてそうな設計なので,本当に写るの?という疑問がでてきて当然ですよね.
この写真は絞り忘れちゃったんですよね…24mm F1.8とかいうアホみたいなショット.開放なので仕方ないですが,流石に遠景の解像度は厳しい印象.後ろの建物のところとかを拡大すると随分甘いように感じますね.ズームレンズでF1.8ですから,仕方ないです.
LX100の色味ですが,少し暗い写りをしますね.富士フィルムのX100がハッピーな甘さを持っているのと対照的に,パナのLXではビターな雰囲気を持つ写真が撮れます.LX100にはライカ D-LUX Typ 109という兄弟がおり,パナソニック製のLX100の絵もライカに寄せられているという噂.言われてみるとこの重苦しさはライカ由来のものかも.ここの朱色とか,富士ならこうなります.
ね,ちょっと富士のほうがハッピーな写りでしょう?ソニーだともっとオレンジっぽい色になるかな.あれはどうしても好かないんですよね.こちらを参照してみてください.
https://noripin.com/2020/01/06/color_comparison/
猫の写真はあまりやらないのですが,たまにはいいですよね.
X100とは比べ物にならないくらい速いAFを持っているLX100ですが,瞳AFもついているんですよね.人物なら画面端の小さな顔でも瞳AFが機能します.それに,なんと猫でも瞳AFが動くんですよね.人の顔と誤解しているのかな.犬では動作しませんでした.ちなみに,小顔の人がマスクを付けていると,うまく顔認識してくれません.コロナ禍には弱いか.
この色はGRのそれに似ている気がするのですが,どうでしょう.GRもいいですよね.砂漠とかでつかってみたい.
LX100の大きさって,コンデジと言えるんですかね.ほぼミラーレス一眼のサイズ感です.なんなら,LUMIXのGF10とかのほうが小さいんじゃないかな.その点GRとかはAPS-Cセンサーを載せて懐に入るくらいなんだから偉い.もちろん,LX100は4/3センサーにズームレンズをあてがっているので不利ではありますがね.
コンデジのいいところは,どこへでも持っていけること.飛行機の機内でも余裕です.どこまでもさわやかな蒼.右に見えるのは富士山.
こういう深い青を見ると,このカメラの中身はライカなのではないかと勘ぐってしまいます.もし中身がパナソニックでも,それはそれでいいんですけどね.
ISO感度ですが,1600まではギリギリ許せるかなあという感じ.3200はできれば使いたくないですね.流石にフォーサーズセンサーでは高感度は厳しいか.これはISO3200のショットですが,ちょっとノイズがうるさすぎ.スカイツリーが浮いて見えちゃいますもんね.もちろんdp1よりはずっと高感度耐性いいですよ.
このレンズ,最近のレンズでは珍しいくらい大きなフレアが出ます.どこかの海外レビューサイトでもフレアがきついと聞いていたので覚悟はしていたのですが,想像以上でしたね.このフレアを活かせるといい写真が撮れそうなのですが,なかなかうまくいかない.もう少し研究しないといけないですね.
"ズームは甘え"という思想のもとで育ったのでズームの手持ちが少ないのですが,やはりコンデジにはズームレンズが便利ですね.圧縮効果を狙いたいときも,辺りすべてを写したい時も一台ですむというのは大きな利点です.望遠端は75mmと飛行機や野鳥を取るのには全く向かない画角ですが,圧縮効果を狙うには十分.
このカメラ,最近のカメラとしては珍しくマクロモードがついてるんです.24mmの広角端の場合なら,3cmまで寄れるんです.LX100よりもセンサーサイズが小さいRX100M3は5cm,GRは10cmですから,LX100は結構頑張っています.流石にK-5にDA35mm macro limitedをあてがったときのようなキレや周辺の柔らかさはないですが,十分使えるレベルだと思います.AFである程度合わしておいて,あとからMFで詰めることもできますので,とても便利.
コンデジのいいところは,まちなかでつかっていても怖がられないこと.街撮りスナップには最適です.フィルムでもコンパクトカメラをつかいたくて,コニカBigminiを買ってしまいました.
LX100はいい意味でも悪い意味でも普通です.初代X100のは絵がノスタルジックでエモーショナルなカメラ. dp1Quattroは恐ろしいほどの解像度で唯一無二の立体感を出せるカメラ.だからこそX100とdp1Quattroはとっても面白くて,変えのきかない存在です.ただ,この二台だけで写真生活を送ってくださいと言われると不安が残ります.X100でパリッとした風景画をやるのには抵抗があるし,dp1Quattroで暗所を撮るのはほぼ不可能です.2つとも望遠は撮れませんしね.そこで,LX100の出番.こいつならなんでもこなしてくれます.
ただ,言い換えれば器用貧乏ともとれるかもしれません.スマホカメラの性能が著しく上がっているこの時代に求められるのはむしろなんでもできることではなく,唯一無二の個性を持っていることなのかもしれないとこのカメラとX100を持って旅をして思いました.もちろん,LX100とPixel6の写真を比べるとLX100の絵のほうが随分綺麗です.しかしながら,どちらの写真も,RX1もそうでしたが,dp1やX100の写真のようなドキドキがない.
おそらくデジタルっぽい写真が嫌いだからでしょうね.SonyのRX1をつかっているときにも感じたのですが,デジタルカメラの隅々までなめらかな,言い方を悪くすると"のっぺりとした”写真は苦手なんです.だからSonyのカメラとは仲良くなれない.対照的に富士やシグマはフィルムに通じるような絵が得られて好きです.もちろんこの2メーカーのアプローチはまったく違いますがね.富士はフィルムカメラに似せたデジタルカメラを作るメーカーで,シグマは孤高のデジタルカメラを作ろうとしたらフィルムに似ちゃったって感じ.
だからこそライカをつかってみたいんです.あのメーカーはデジタルっぽい写真をNGにしているはず.実はLX100を導入したのもライカへのあこがれからでした.いつかはライカQ2を.そう願いながら,LX100で写真を撮ります.