400字のショートショート
【赤いパンツ】
男は売れないお笑いピン芸人です。売れてる先輩が毎日赤いパンツを履いていると聞いて赤いパンツを履いてみたくなりました。男はなけなしのお金で赤いパンツを買いました。
家に帰ってさっそく赤いパンツを履いてみます。なんだか先輩みたいに売れるような気がしてきました。前向きに生きよう。そう思えたのです。
まったく効果がありませんでした。舞台に立つと、どんなギャグもコントも会場はくすりとも笑いません。
男はさらに落ち込み、家に閉じこもってしまいました。
そんな後輩を心配した先輩が家を訪ねてきました。先輩は銭湯に誘います。嫌なことは水に洗い流したらええ。そう励ましてくれて、銭湯で服を脱いだら先輩が爆笑しています。
男は効果がない原因がわかりました。そうやったんか! と男は声を上げます。ズボンを脱いだら、パンツが後ろ向きになっていたのです。そのエピソードトークが舞台でウケて、売れる芸人になりました。
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