【猫の宝石店】 400字の物語
猫の宝石店がリニューアルオープンした。あの猫の額ほどしかなかった店が、今や猫の手を借りたいほどの大盛況だ。
真珠のネックレスが豚に大人気だったことから噂が広まり、猫の宝石店は、世界的ジュエリーショップとして有名になった。支払いも小判からキャッシュレスになった。
有名になると、客も増える、客が増えると、猫手が足りなくなってきた。猫店長は、東京ネズミーランドにいる猫の従業員をスカウトすることにした。
猫の宝石店は益々成長し、猫ホールディングスという大企業になった。猫店長は猫社長になり、音楽業界に参入した。
その結果、音楽CD、馬に聞かせる「ヒーリング念仏」は発売以来、大ヒットした。猫社員は増え続け、この世界のネズミは減り続けた。
猫ホールディングスは、ついに東京ネズミーランドを買収した。だからといって猫社長はネズミを食い物にするような猫だましなことはしない。猫なで声で優しく猫かわいがりしている。