2024年7月 ヴィンテージキューブ雑感
0.はじめに
なんとラスベガスでリアルヴィンテージキューブができる!ということで盛り上がっています。MOでは絶賛予選開催中で、自分も権利獲得に向けてチャレンジ中です。
が、盛り上がりすぎて1回目の予選期間のリーグはクローズしてしまいました。
という訳で実際に練習することができなくなってしまったので、7-8回入って色々感じたことをアウトプットして次に備えようかと思います。
今のカードプールはこちら。予選期間中にアップデートが予定されているようです。
1.ヴィンテージキューブドラフトの特徴
■パワー9が存在する
ヴィンテージなので言わずもがなではありますが、カードプールにいわゆるパワー9や、それに準じたカードパワーのものが含まれています。
特にマナ加速系のカードはゲーム序盤の動きに大きく影響があり、他のフォーマットにはないブン周りが存在することがこのドラフトの特徴になっています。
■同じカードは1回しか流れてこない
キューブドラフト全般に言えることですが、プールにあるカードは1種1枚づつです。ですので、同じカードは1回(1パック)しかドラフト中で流れないことになります。
これがどういう意味を持つかというと、デッキの戦略を安定して遂行するために必要な枚数をイメージしながらピックする必要があるということです。
例えば2枚コンボであればサーチやドローでそろえに行く、コントロール色を強くしてそろえるまでのターンを稼ぐなどの工夫が必要になります。
また、アグロデッキを組む際も同じカードでマナカーブを埋められないのでどうしても強弱にばらつきのあるカードで構成する必要があります。
ですので、コンボやアグロを組むときに強いアーキタイプを選択する条件として下記2点が重要かなと考えています。
・似たような役割/強さのカードがどの程度プールに存在するか
・《Fable of the Mirror-Breaker》のようにデッキを安定させるカードをいかに自然に組み込むか(特にアグロ)
2.主要なアーキタイプについて
現時点で使ったり使われたりして体験した感想です。他にもあるかもしれませんし、上手くハイブリッドできることもあるかと思います。
■リアニメイト
組みやすく強い一番人気アーキだと思います。
組みやすさの理由は下記3点が大きいと考えています。
・墓地に落とすキーカード《Entomb》以外は複数枚コンボパーツがある
・リアニメイトが成立しやすい青黒という色が強い
・他のアーキタイプとのハイブリッドがしやすい
その分サイドボードで対策されやすいので、サブプランを用意しておくことも必要になりそうです。
とはいえリミテッドですのでそんなにコンボに寄せてきれいに構築できることも少ないので、墓地に依存しない強めのカードをいくつか拾っておくだけでデッキになると思います。
■DD
公式で取り上げられているアーキタイプです。基本的に青黒Xで組むことになるのでベースの色が強く、パーツが揃わなくてもコントロールに逃げやすいため大失敗になりにくいのが特徴です。
リアニメイトとは違ってコンボが決まれば勝ち切れることも魅力です。
リアニやコントロールを想定しているピック中であれば、パーツを見かけたら拾っておいて狙いに行っても良さそうだなと思います。
■スニークショウ
リアニメイトと若干パーツが被りますが、こちらは墓地を経由しないことが魅力です。その分キルターンが遅いか、《Show and Tell》《Eureka》のようなリスクを取ることになります。
要求されるパーツ自体は少ないため他とハイブリッドしやすいですが、その場合は上手くまとめないとただの弱いデッキになるので注意が必要です。
強めのアーキタイプなので早めに専用パーツが流れてきたら積極的に狙いたいです。
■アーティファクト系
ブン回りは強いが上手くシナジーできなかった時の下振れも大きいという印象です。
結局のところ強さが《Sol Ring》《Mana Crypt》等の全員優先度の高いカードに左右されがちという点も気になります。
汎用パーツを取りつつ後の方の手順で専用パーツが安く流れてきたら入ることを念頭に入れておく、というぐらいがちょうどいいのかなと思います。
■土地コンボ系
これも公式で取り上げられているアーキです。
《Dark Depths》+ 《Thespian's Stage》or《Shifting Woodland》のコンボや、《Valakut, the Molten Pinnacle》+《Prismatic Omen》or 《Dryad of the Ilysian Grove》のコンボが勝ち筋です。
《Fastbond》や《Crop Rotation》、《Expedition Map》など土地周りのサポートカードは豊富なのでコンボ自体は決まりやすい部類ですが、他に流用できず単体だと役割が薄いカードが多いためにピック時に揃わなかった時のリスクが高いことが懸念です。
また、他のコンボに比べるとキルターンが遅めだったり対処されたときのダメージが大きかったりとコンボ自体の強さの問題もあります。
人気の青が流れてこないときなどに、安めにパーツを拾ってデッキにしていくぐらいのアーキタイプかなと思います。
できればコンボ以外に《Wrenn and Six》 + 《Strip Mine》のような強い組み合わせを持っておきたいです。
■ナドゥコンボ
モダンで噂のやつですが、個人的には狙って入ることは非推奨です。
コンボ成立の枚数が多いので、変に目指してピックが歪めても揃わないリスクがあります。
特に《Lightning Greaves》が無色のせいで微妙に点数高めなのが嫌なポイント。
普通のミッドレンジに入っている《Nadu, Winged Wisdom》のカードパワー自体は高いので、普通に強いデッキが組めつつコンボも入ったらいいねぐらいの気持ちで目指すのが良さそうです。
■赤アグロ
飛び道具性能の高さと事故率の低さが魅力のアグロです。
昔からキューブドラフトではこういった単色アグロは敬遠される卓が存在するので、上手く空いていることを察知出来たら参入したいアーキタイプです。
1-2マナは選択肢が少なめなので、もう1色で補完するか安い時に参入して全部ガメるかする必要はあると思います。
3マナは選択肢が豊富ですが、参入の基準になるのは《Broadside Bombardiers》《Fable of the Mirror-Breaker》《Gut, True Soul Zealot》ぐらいかなという感触です。
特に《Broadside Bombardiers》は最後の押し込み力がものすごいので、これがピック出来れば積極的に入ってもいいかもしれません。
■白アグロ
これも敬遠されて異様に安い時があるので選択肢としては持っておきたいアーキタイプです。
《Thalia, Guardian of Thraben》を筆頭に《Containment Priest》《White Orchid Phantom》等のヘイトカードが多く存在し、妨害する能力が高めなのが特徴です。
《Palace Jailer》《Staff of the Storyteller》のようなアドバンテージを得るカードや、《Phelia, Exuberant Shepherd》+《Parallax Wave》のプチコンボなどロングゲームを戦う力もありそうです。
同じ卓に2人以上存在してしまうとデッキパワーが足りなくなりがちなので、独占できそうな空気を察して入りたいところです。
■その他コントロール
上記のアーキタイプに入れなかった時に汎用パーツをかいつまんで入ることになりますが、個人的には積極的に狙うことを練習したいアーキタイプです。
除去やフィニッシャーは選択肢多めですが、アドバンテージ源は限られていてかつ人気なので優先度高めにおさえたいです。
具体的には、《Ancestral Recall》《Treasure Cruise》《The One Ring》《Lórien Revealed》あたりから2種ぐらいを頑張って取れるとデッキパワー確保しやすいと思います。
除去は軽いくて確定に近いものが多ければ多いほどいいということになるので分かりやすいです。
フィニッシャーに関しては、ある程度勝ちに向かえるものなら何でもいいと思いますが、プールに2枚コンボや踏み倒し手段が複数用意されているので覚えておくと便利かもしれません。
例えば下記のようなものです。
・《Oath of Druids》+ 大型クリーチャー
・《Natural Order》 + 《Atraxa, Grand Unifier》
・《Bring to Light》 + 《Valki, God of Lies》
・《Tinker》 + 《Blightsteel Colossus》《Myr Battlesphere》《Portal to Phyrexia》《Triplicate Titan》
・《Stoneforge Mystic》+《Batterskull》《Kaldra Compleat》
・《Sword of the Meek》+ 《Thopter Foundry》
・《Forensic Gadgeteer》+《Basalt Monolith》
・《Zirda, the Dawnwaker》+《Basalt Monolith》or《Grim Monolith》