YouTubeで話題!行動経済学でビジネスも身近な問題も解決!『その問題、経済学で解決できます。』
今回は、2014年発売のロングセラー『その問題、経済学で解決できます。』をご紹介します。10年前に刊行された本書ですが、最近でもYouTubeなどのSNSで面白い!と話題に。
本書では、行動経済学を研究する著者が、現実世界で人を相手に「実験」して明らかにしたことをまとめています。実験は、「子どもの成績を上げるには、ご褒美をいつあげれば良いのか」「ワインの売り上げを上げるために、価格はどうすれば良いのか」など、身の回りのことからビジネスでよく直面する問題まで多岐に渡ります。
特に、管理職・リーダーの方に知ってもらいたい「行動経済学」がギュッと詰まった1冊です。
なぜ行動経済学が必要なのか?ー因果関係と相関関係の違いー
そもそも、なぜ行動経済学は必要なのでしょうか?本書の事例とともに見ていきましょう。
ある時、著者は、会社の役員から「広告にたくさんお金を使うほど、売上げが上がった」と言われました。多くの人は何の疑問も持ちませんが、著者はそれに待ったをかけています。わかりやすい例を見てみましょう。下のグラフをご覧ください。
このグラフは、アイスクリームの売上げと溺死者数の関係を表しています。これを見ると、双方に因果関係がある(原因と結果の関係がある)と思ってしまいそうですが違いますね。夏になるとアイスクリームを食べる人が増えると同時に、泳ぐ人が増えるため事故件数が増えているのです。単に相関関係がある(一方が変化すると、他方も変化するが、原因と結果の関係はない)ということです。
このように、因果関係がありそうでも、実は単純な相関関係ということはよくあります。そこで、行動経済学の研究者である著者が研究しているのが、まさにその因果関係となる「人の動機(何が人を動かすのか)」です。
行動経済学を知って「人の動機」がわかると、相関関係にだまされることなく、「因果関係」を明らかにするヒントを得ることができます。また、「人の動機」を知れば、人や会社を良い方に変えるのに利用することができるのです。そのことを示す、著者が行った「実験」を、次に見ていきましょう。
商品を多く売るには値段を上げれば良い!?
あるワイン醸造所では、赤ワインを10ドルで販売していて、よく売れていました。しかし、販売者は、何となく値段を決めていたため、もっと売れる値段をつけるために、著者に相談しました。
そこで著者は、数週間にわたり、この赤ワインの値段を10ドル、20ドルと日によって変えてみることにしました。すると、20ドルにした方が50%もよく売れたのです。
高い値段の方が売れたのは一体なぜでしょうか。
ワインの品質は、人の好みがそれぞれ異なるため、品質は客観的に決まらず、主観で評価されます。そのような商品の場合、値段を釣り上げた方が、消費者にとって魅力的になることがあることがわかっています。我々は、「値段が高ければ、品質も良いはずだ」と考えるからです。
私たちは「安いほど多く売れる」と思ってしまいますが、行動経済学を知れば、もっと効率よく利益を出すヒントもわかるのです。
行動経済学で、会社・人を変えるヒントを得よう!
このように、「行動経済学」で「何が人を動かすのか」を知れば、「会社の事業で利益をもっと出すためには何をすれば良いか」、「チームのモチベーションを上げるためにはどうすれば良いか」などなど、仕事に生かせるヒントが得られます。
また、「人が〇〇に影響されて△△の行動をする」という因果関係を知ることで、相関関係に見えるデータにだまされにくくなるはずです。
行動経済学は、組織や事業に関する判断を任される、管理職・リーダーの方に必須の知識と言えます。
様々な面白い実験も豊富で、読み物としてもおすすめです。本書で、ビジネスに役立つ「行動経済学」を学んでみませんか?