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「宣伝会議 編集・ライター養成講座」の学びを深めた3つの魔法
広告界の登竜門「宣伝会議賞」を主催する出版社、宣伝会議。
70年を超える歴史ある老舗は編集者やライター向けの講座も行っている。
その一つ「編集・ライター養成講座 総合コース」を2023年の1月から7月まで受講していた。
半年間のプログラムは高校時代の3年間くらい濃密な時間が流れており、多くの出会いと学びに恵まれていた。
受講から2年の月日が経ち、目標としていた社会問題について書く仕事に就くこともできた。
今では南青山に足を向けて眠れないくらい感謝している。
(南青山:講座が開かれていた場所)
これで恩を返しきれるとは思っていないが、「講座の学びが1cmくらい、より深まるかもしれないTips」をまとめてみることにした。
※依頼を受けて書いた記事ではなく、個人の愛と感謝から企画した記事であり、全て個人的な意見である点ご了承くださいませ…!
受講のスタイルやきっかけなど
【受講スタイル】
北海道に住んでいるため最後の会以外はオンラインで参加していた。
【タイプ】
夏休みの宿題は8月31日に終わらせていたタイプ。
だからこそ「"めっちゃ頑張る”は続かないこと」を知っており、「"ちょっと頑張る”を続けること」が大事だと思っている。
【きっかけ】
未経験からライターになろうと思っていたところ、求職サイトに並んでいた「経験者求む!」の文言に絶望。
「どうやってライターになりましたか?」と色んなライターに聞く内に「宣伝会議の講座というものがあるらしい」と発覚。
正直、お金が無かったため最初は受講に二の足を踏んでしまっていた。
無料相談会に出まくったところ、無料なのに惜しみなく学びを与えてくれる講師の皆さまに感動し、結局受講に至ったのである。
【その他】
少人数クラスは「瀬戸山玄先生クラス」に所属。文章の血肉となる「心」や「魂」、対象を見つめる「まなざし」を育てていただいた。
(少人数クラスの課題:泥だらけのぬいぐるみ)
卒業課題は在日コリアンにインタビュー、その人生譚を綴った「在日に生まれて良かった。」を提出。ありがたいことに優秀賞をいただけた。(非公開)
魔法1.プチ予習をする
学習の効果を高める最適な方法として「予習の大切さ」がよく説かれてる。
前職では教育の仕事をしていたが、教え子には「ゲームの攻略本」などの例えを使い、「全体像を把握してからアクションをすること」の重要性を説明していた。
1コマ2時間の講座は全速力で42.195kmを走るくらい、あっという間に時間が経ち、受け取る情報量もすさまじく、付いていくので精一杯である。
予備校のような「講座と同じ時間くらいかけて行う壮絶な予習」をする必要は無いと思うし、僕はできるタイプでは無かった。
そこで、「1コマあたり10分ほど」の「プチ予習」をしてから講座に臨んでいた。
「いつ集中するか」を決めておくことで聞き漏らしが減ったり、集中にメリハリを付けることでTipsなどもしっかりとメモをすることができた。
【プチ予習】(1コマあたり10分~)
①事前に共有してくださる資料に目を通す
②「特に聞きたいところ」に印を付けておく
(いつ「全集中」をするか決めておく)
③分からなかったところ・聴きたいことを「質問」としてまとめておく
(講座中に解決:めでたし)
(講座中に未解決:先生に質問をする)
余談だが、講座では多くのTipsが出てくる。
例えば取材について教わったときは、レコーダーが壊れてデータが吹っ飛んだ話から「記録は予備の機械でもしておいた方が良い」というTipsを紹介していただいた。
後日、僕が取材していたときも同様のケースがおきたが、このTipsがあり、バックアップを用意しておいたおかげで窮地には至らなかった。Tipsを聞いておいて、メモしておいて良かったと心から思った。
魔法2.「やったほうがいい」を全部やる
先述のTipsを始め、講座では多くの「やったほうがいいこと」が登場する。
その中でも特に多くの先生が挙げていたのが「大宅壮一文庫」。
東京は八幡山にある雑誌専門の図書館である。
北海道在住の僕は遠方ということもあり、行くのは諦めていた。
卒業後、たまたま東京に用があり、ついでに寄ることにした。
数時間の滞在ではあったものの多くの発見があり、
「卒業制作の前に来ていればもっと良い作品が作れたのに」と感じた。
Web媒体が勃興する現在ではあるが、編集やライティングの知見や技術の多くは今もなお雑誌に根付いており、学べることはまだまだたくさんある。
受講中にちょっと無理をしてでも、「行けば良かった」と心から後悔した。
『記者ハンドブック』(紹介した記事)などの買っておくと便利なアイテムなど、講座では現場で「武器」となる「~ほうがいいこと」や「~ほうがいいもの」が紹介される。
大宅壮一文庫は「できなかったこと」であったが、基本的には「やったほうがいいこと」はやり、「あったほうがいいもの」は手にするようにした。「課題」という実践の場で試せば、それらの教えが正しいことを悔しいくらい実感した。
現場で奮闘されている講師からこぼれるように語られる「やったほうがいいこと」。
実践すればきっと学びが豊かになるはずだ。
魔法3.「拠り所」を作っておく
作家、司馬 遼󠄁太郎先生を「拠り所」にしており、
「迷ったらここ(先生の作品)に帰ってくる」と決めていた。
課題で表現に迷ったときは
「先生だったらこの表現どうされますか?」
と相談し、情報が集まり過ぎてパンクしたときは
「先生だったら何を残し、捨てますか?」
と取捨選択の指針を問うた。
成長には迷いが伴う。
その迷いもまた成長に繋がるものではあるが、必要以上に迷わないための帰ってこれる場所、すなわち「拠り所」を作っておくことも大事であると思っている。
他にも下記の2冊は、課題制作や現在でもなお、迷ったときに帰ってこれる拠り所として活用している。
末筆ながら挙げておきたい。
講座でもご教授くださった松林 薫さんのご著書。
しっかり整理してから書くことの大切さや、その整理の仕方が書いてある。
「迷わず書ける」とタイトルにもあるように、構造や型を学べるからこそ、
「書き方」で迷わなくなり、テーマや取材で見聞きしたエピソードについて考えることへリソースを割くことができた。
努力としての勉強ではなく、技術としての学習を学べる名著。
「勉強しなさい!」と言ってくる人は多いが、実際に「勉強の仕方」を教えてくれる人は少ないはず。
「学び方」に迷ったときやつまづいたときの拠り所になってくれる強い味方だ。
幕末の志士、坂本龍馬は西郷隆盛を
「西郷隆盛は太鼓のような男だ。小さく叩けば小さく鳴り、大きく叩けば大きく鳴る」
と評したと言われている。
編集・ライター養成講座 総合コースは、学べば学ぼうとするほど学びが見つかる、奥深く学びが広がっている講座だった。
本記事が、講座における学びの探索や探究に少しでもお役に立てれば幸いである。