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消防士時代に火事現場でした恥ずかしいミスの話

2024/9/1


僕は約3年間消防士をやっていたので何回か火災現場に出動したことがある。
今日はそんな元消防士が火災現場でやらかしてしまった恥ずかしいミスの話をします。これを読んだ消防士の方が同じミスをしなければいいなと思います。


「アパートから火が出てる!」

火災通報を受けて僕たちはすぐに現場に向かいホースを延ばしました。すると、ひと部屋からものすごい勢いで火が出てたのを今でも覚えてます。

僕は新人だったので外から放水をして隣の建物に火が移らないよう延焼防止をして、仕事のできる上司が集まったエキスパートの隊は玄関から消火活動をしながら逃げ遅れた人を探していた。
幸いにもこの部屋は住民が外出中で他の部屋の人も逃げていたのでケガ人がゼロだった。

消火活動を順調に終え、新人の僕は次の活動に移った。それは先輩とロープで繋がり酸素マスクをつけた後に2人で部屋に入り、残った火を探しながら消火活動をするというもの。
訓練では何回もやっているが実際に酸素マスクをつけて火災現場に入るのはすごく怖かった記憶がある。
先輩が部屋の中を消火し終えた後の残火処理とはいえ、まだ部屋の中に大きい火が残ってる可能性もあるから気は抜けない。
経験を積んで欲しいという意味が込められていたのか、僕はホースを持たせてもらった。
いざ、部屋の中に入ると目の前は煙で真っ暗。何も見えない。姿勢を低くして火が残ってないか手探りで探す。
すると、僕の左手が暖かい何かを確認した。いや、暖かいというより熱かった。

「火だ…!!絶対に火だ!この熱さは結構危ないかも…」

そう思って、すぐに先輩に

「火です!ここに火が残ってます!放水します!」と放水の確認をして、僕はすぐに放水した。しかし、いくら放水しても火は消えない。

放水する角度を変えたり、広範囲に放水したり、逆にストレートで勢いよく放水したり、いろいろ試したが一向に消えない。

先輩が「消えたか!?」と何度も確認してくるけど、「消えないです…!」と何度も返事をして放水を続けた。

そのうち、ボンベの中の酸素が少なくなり、2人で部屋を出ることになった。
部屋を出たあとは先輩が隊長に火が残ってることを報告していた。
その先輩の姿を後ろで見てた僕はある異変に気づいた。

「外に出たのに左側がまだ熱い…」

なんだ。と思い左側をみると左腰につけていた懐中電灯の灯りが左手に当たっていたのだ。
しかも、すごい近い距離感で左手に灯りが集中していた。

「うわ。。さっきの火ってこの懐中電灯の灯りだわ。。ずっと懐中電灯に放水してた。。」


勇気を出して隊長にさっきの火が懐中電灯の灯りだったことを報告すると、もうその日は2度と部屋の中に入って活動することはなかった。
僕は他の活動にうつった。


そのあとは、部屋の中に経験豊富な先輩が入り残火処理を行い、その日の活動は終わった。


懐中電灯の灯りを火と勘違いするなんて、初歩的でもないありえないような恥ずかしいミスをしてしまったので、現役の方々はこんなことがないよう気をつけてください。


でも今考えると消防士ってスゴイ仕事だわ。

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