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⑯パイロット版脚本(その2)@耳ビジ+1

「運玉で恋かな」

BGM テーマ曲②

NA僕はビジネス書を書いている作家だ。昔から神社が好きで、神社にまつわるマーケティング本も近々出す予定だ。
今日は取材のため宮崎県の鵜戸神宮にやってきた。
日向灘の荒波が打ち寄せる海岸に面しているこの神社は、全国でも珍しい本殿に向かって下っていく下り宮。
しかも本殿が洞窟の中にあり、とても神秘的な雰囲気だ。

BGM FO

宮司「ようこそお越しくださいました」

NA 宮司にひととおり由緒を説明してもらった。

宮司「あ、そうそう、ほら、あの海に面した崖の下にある大きな岩。あれは霊石亀石と呼ばれてまして、亀石の背中に窪みがあって、この窪みに「運玉」というのを投げて見事に入ると願いが叶うといわれているんですよ。人気のスポットですからぜひやってみてください」

カワテツ「運ダマ?」

宮司「はい。男性は左手、女性は右手で「運玉」を投げ入れるのです。
運玉は5個100円ですからぜひどうぞ」

NAなかなか面白そうなのでやってみることにした。
まだ朝早いこともあり霊石亀石には誰もいない。窪みまでは10メートルくらい。

カワテツ「結構遠いな。左手か‥よし、せーの」

SE コツン

カワテツ「あれぇ、ぜんぜん届かない。よし、もう一回。せーの!」

SE コツン

カワテツ「うそ!なんでー?」

ミホ「わぉ、けっこう遠いなぁ」

NA1人の女性がやってきた。
(やばい、恥ずかしい。見られたかな。へたくそだと思われてる!)と1人で焦っている僕などお構いなしで、彼女は右手に運玉を握ると…

ミホ「せーのぉっ!」

SE コツン

ミホ「あぁーんダメだぁ。入らない」

NA(やった!はずれた!)彼女が外したのを見て、僕はほくそ笑んだ。僕はなにかと負けず嫌いなのだ。

カワテツ「よーし。入れ!」

今度は思いきっり投げてみたら、あさっての方角にいってしまった。
僕の運玉はラスト1つとなった。そのとき

ミホ「サーティーワーン!あ~だめかぁ。リズムは良いんだけどな」

NA サーティーワン?意味不明。
彼女の運玉も残りひとつ。そこに一生懸命念を入れている。その様子がなんともいえず可愛らしかった。そんな様子を見て、僕は(彼女の運玉が早く入ると良いなぁ。。。)と心の底から願った。そして運玉を握り、最後のひとつを放り投げた」

SE コロリン、、、

カワテツ「わぁ!!!入った!」

ミホ「わぁ!入りましたね!おめでとうございますっ!」

カワテツ「ありがとうございます」

ミホ「すごいです!どんなお願い事したんですか?」

カワテツ「それが実は‥(彼女の運玉が入りますよーに なんて言ったら気持ち悪いよな)」 

ミホ「ごめんなさい。初対面の私に願い事なんて言えませんよね」

カワテツ「いや、そういう意味じゃないんですけど」

ミホ「私の願いは‥もう31歳なので、素敵な出会いに恵まれますように。なーんて。
‥ありがちな願いで恥ずかしいんですけど」

カワテツ「ありがちは大切です。最後の一玉、頑張ってください!」

ミホ「そんなふうに言っていただけたら、なんだか力が湧いてきました。
じゃあ、最後の一玉。やってみようかな。入るかな。なんかすごくドキドキします」

ミホ「あ、そうだ。お名前伺っていいですか?」

カワテツ「え?か、カワテツです」

ミホ「私はミホです。カワテツさん!私の名前を呼んで応援してもらっても良いですか?」

カワテツ「もちろんです。じゃあ、行きますよ。ミホさん頑張って。最後の一玉きっと入る。願いはかなう」

ミホ「行きます。私の願い、かなうかな。 せーの!」

BGM カットイン♪テーマ曲②

トヨコNA 運玉。ただいまの出演はカワテツ。声優 ミホ。脚本・シモツマトヨコでした。

BGM FO


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