⑩キュンと笑いのとらえかた@耳ビジ➕1
昨日の会議を受けて、さっそく、やまねたけしさんも、私もそれぞれ脚本を書いて提出した。
カワテツさんがそれに対して無反応のときは
何か言いたいこと、問題があるのですぐわかる。
メッセージのやりとりではなく直接話を聞く。
「キュンとしなかった」
という結論であった。
では、脚本を見ただけでキュンとさせるべきなのか?
私の考えはそうではなく、主人公がキュンとするのはそもそも厳しいので、演じているときに恥ずかしい気持ちになったり、聴いている人が笑ってくれたり、それでも一生懸命やってる様子が
キュン
に繋がれば良いのかな?と。
私の脚本はキュンとならないのはわかるし、非現実的ではあるが
「まずは2人でこれを読んでみましょうよ」
こういうとき、いやいやながらも乗ってくれて、しかもニュアンスちゃんと出して台詞を言ってくれるのが、私がカワテツさんを好きな理由。
私の脚本「カワテツバージョン」第1稿は以下
「運玉」(仮題)
NA
僕は川上徹也。人気作家でありコピーライティングの鬼である。
普段はビジネス書を書いているが、もう一つ昔から日本の神社の歴史を探るのが好きで、近々本も出す予定だ。
今日は取材のため宮崎県の鵜戸神社にやってきた。
日向灘に面しているこの神社は、洞窟の中に朱塗りの色あざやかな主祭神が鎮座し、とても神秘的で静謐な空気に包まれている。
宮司「ようこそお越しくださいました」
宮司にひととおり境内を案内してもらった。
宮司「、、、まぁ、というのが、おおかたの由緒になります。あ、そうそう、あちらの奥に”霊石亀石”というものがありましてね。亀石の背中に窪みがあって、この窪みに「運玉」というのを投げて見事に入ると願いが叶うといわれているんですよ。人気のスポットですよ。ぜひ川上さんもやってみてください」
カワテツ「運玉?」
宮司「はい。男性は左手、女性は右手で「運玉」を投げ入れるのです。運玉は5個で100円ですからぜひどうぞ」
なかなか面白そうなのでやってみることにした。
まだ朝早いこともあり霊石亀石には誰もいない。
カワテツ「こんなの楽勝でしょう。よし、せーの」
SE コツン
カワテツ「あれぇ、ぜんぜん届かない。よし、もう一回。せーの!」
SE コツン
カワテツ「うそ!なんでー?」
そこに1人の女性がやってきた。
カワテツ心の声(やばい、恥ずかしい。見られたかな。へたくそだと思われそう。)
1人で焦っている僕などお構いなしで、彼女は右手に運玉を握ると
女「せーのぉっ!」
SE コツン
女「あぁーんダメだぁ」
カワテツ(やった!はずれた!)
彼女が外したのを見て、僕はほくそ笑んだ。僕はなにかと負けず嫌いなのだ。
よし、今度こそ!気合を入れ直して運玉を握った。最後のひとつだ。
カワテツ「せーの!」
SE コロリン
カワテツ「わぁ!!!入った!」
女「わぁ!やりましたね!すごい!上手。おめでとうございます」
カワテツ「ありがとうございます。いやぁ実は全然入らなくて、多分これ100個目くらいだと思います」
舞い上がって、かなり盛ってしまった。
女「あははは。すごいです。どんなお願い事したんですか?」
カワテツ「あ、、、いや、そ、それは、、、あ、貴女はなにを?」
女「私は、、、素敵な出会いに恵まれますように。なーんて。女のひとり旅でイタイですかね」
カワテツ「いえ、そんなこと。ぼく応援しますよ。頑張ってください」
女「ふふふ嬉しいです。そんなふうに言っていただけたら、なんだか力が湧いてきました」
カワテツ「はい、僕ここでちゃんと一緒に念を送っています」
女「うん。じゃあやってみようかな。
なんかすごくドキドキします」
カワテツ「僕も、ドキドキします」
女「あ、あの、お名前伺っていいですか?」
カワテツ「え、か、川上です」
女「川上さん。。。私は◯◯です。川上さん!名前を呼んで応援してもらっても良いですか?」
カワテツ「もちろんです。◯◯さん頑張ってください」
女「はーい!いきますよぉ、せーの!素敵な方と出会え、、、ま、、、し、た!!!」
SE コロリン
♪テーマ音楽♪
カワテツさんは笑いをこらえながら読んだそうだ。
リスナーさんからも笑ったとの声。
キュンとせずとも、みんなを笑わせられたなら、コンテンツの意味は成すのかな?と思う。
たけしさん作の祐子りんバージョンも試しに読んでみた。以下
「私の想いはサスティナブル」(仮)第1稿
ゆう子ナレ
私の名前はゆう子。都心のデザイン会社で働いている。私たちの仕事は「持続可能な開発目標」つまりSDGsに基づいた広告戦略を提案すること。私は3年目ながら、グループリーダーを任されていた。
哲也 ゆう子さん、資料の確認をお願いできますか。
ゆう子ナレ 彼は新入社員で、私のチームに入った哲也君。初めて会った時からハキハキと話す好青年だと思っていたが、私の右腕になるのに時間はかからなかった。
ゆう子 うん、いいね。これでいきましょう。
哲也 ありがとうございます。
ゆう子ナレ 仕事ができる男性ってステキ!
哲也 (プレゼン)ここまでよろしいでしょうか。
ゆう子ナレ 堂々と話す姿が輝いているように見えた。
(電車SE)
ゆう子 今日のプレゼンも良かったよ。先方もとても満足そうだった。
ゆう子ナレ 取引先からの帰り。この日は快速電車での移動だった。私たちの他に乗客はいない。偶然できた二人だけの時間。初めは、いつものように、今回の提案内容の反省や次の営業に向けてのアイデア出しをしていた。一通りの議題を話し終わった後、ふいに彼は言った。
哲也 実は僕、ゆう子さんに憧れてこの会社に入ったんです。
ゆう子 えっ?
哲也 覚えてませんか? 2年前の会社説明会。
ゆう子ナレ そうだ、思い出した。就活生を前に新入社員代表で話をしたことがあった。
哲也 説明会で「以前はコミュニケーションが下手だったけれど、社内外のプレゼンをこなすうちに自信がついてきました」って。
ゆう子ナレ 確かにそんな話をした。彼は続けて言う。
哲也 僕も人前で話したり、自分の意見を論理的に伝えたりすることが苦手だったんです。だけど、あのときのゆう子さんを見て、僕もゆう子さんみたいになりたい、それから、その……ゆう子さんと一緒に働きたいと思ったんです。
ゆう子ナレ なんということでしょう。私が彼を想っていた以上に、彼も私のことを想っていてくれたのです。
哲也 それで面接対策とか、大学のゼミでたくさん練習して……
ゆう子ナレ 意外だった。すごく努力したんだ。
哲也 この会社に入れて、しかもゆう子さんと同じチームで働けて、僕、本当に嬉しくて。
ゆう子 恥ずかしいからそれ以上言わないで!
ゆう子ナレ 私は自分の唇で彼の唇を塞いだ。
♪ テーマ曲
設定の修正(祐子さんの実際の年齢にすることなど)は必要だったが、基本的にこれを「祐子さん自身が読まされる(演技させられる)」ことによって
日頃使わない「恋愛心」を動かすことになるはず。
「恥ずかしさ」と「胸キュン」はかなり近い気がする。
それぞれ修正を加えて、ひとまず仕上げていく方向へ。
クラハ文化祭は10月30日土曜日の予定です。