消えた年金記録にまさかの事実が
こんにちは。
寝ている間だけでもいい夢が見たいと思うとよぞうです。
かつて公務員だった頃あまりに罵倒を受け続ける毎日の中で、よほど前世で悪いことをしたんだろうと思う時期がありました。
このまま定年まで公務員を続けたら、きっと来世もまた公務員になってしまうのではないかと…
生まれ変わってもまた公務員になりたいと思う方ってどのくらいいますかね。
私はいまだに公務員だった頃の夢を見たりします。
現在の生活とごちゃ混ぜになったような変な夢ですけど。
あれって何なんでしょうかね。
自分の夢を構成する作家がいるなら聞いてみたいもんですが。
今日は、つい先日も消えた年金騒動の頃の夢を見て思い出したことをお話しします。
今から15年前ほど前、消えた年金問題が世間を騒がせた頃、全国の年金事務所には連日来庁者が殺到していました。
「昔勤めていたはずの記録が漏れているのは社保庁の杜撰な事務処理のせいに違いない」
…と決めつける方々一人一人の記録を管轄する事務所内ですべて確認することは難しかった。担当課の職員だけではとても手が足りません。
一応職場の役職が臨時的に対応したりはしていましたが大量の確認作業には到底追いつきませんでした。
騒動の渦中にありながら臨時の専門部所を新設しなかったことも、その後の事実確認が大幅に遅れた原因だった。
どこまでも行っても当時の組織幹部の責任の無さにはあきれ返るばかりでした。
そんな愚痴を言いながら連日窓口対応していたある日、とある夫婦が来所された。
「妻が若い頃5年ほど働いていたはずの会社の記録が漏れている!」と言ってご夫婦で確認に来られたのですが、すでに夫は怒り心頭の様相で頭ごなしに怒鳴りつけてくる始末。
「お前らいい加減にしろよ!」と言わんばかりに威圧感をまき散らして「俺に任しとけ!」と言わんばかりに妻とアイコンタクト。
当時は一件でも多く記録の突合を進めるべく、手元に証拠書類が無くてもある程度本人であることがわかれば口頭確認でも照合することにしていた。
マイクロフィルムと紙の台帳で氏名、生年月日、当時の同僚の名前などを参考に調べていく。
後頭部に視線が刺さるのを気にしながら調べるも…見当たらない。
「社保庁が記録を消したんだな!」
ヒートアップする夫婦。
もはやこんなことは日常だった。
「生年月日が5歳ほど違う方で下のお名前が一緒の記録なら一件見当たるのですが…」
私がそう言うと妻の顔色が一瞬で何かを思い出したように変わり赤くなった。
「それ、私です!」
何かを思い出した妻に夫が詰め寄る。
「どういう事なんだ!」
昔は今と違って雇用する事業所でも身元の確認があいまいだった。
要するに妻が年齢のサバを読んで働いていたことが原因で記録の照合ができていなかったという事が判明した。
一転して「申し訳なかった!」と頭を下げる夫と肩をすくめる妻。
無事に記録が本人のもとへ返されて一段落しました。
来た時とは逆に深々とお辞儀をされて帰られるご夫婦を見送った。
時代が違えば常識も異なる。
事実確認をしていく中でこのようなことはよくあった。
この組織が杜撰な年金記録の管理をしてきたことは事実です。
しかし社保庁叩きに必要の無いこうした事実は報じられない。
宙に浮いた年金記録を最後の一件まで見つけると言っていた政府ですが、すでに亡くなられた方の記録は確認することはできません。
ご本人が特別養護老人ホームに入られているケースでは、介護職員の方を介して話を聞きに行った時も遠方に住む息子さんから詐欺を疑われる始末。
すべては社保庁の杜撰な事務処理が悪い。
しかしその組織はもう無くなった。
今もなお宙に浮いたままの年金記録は時間が経てば経つほど闇の中へ葬られる。
そして現在。
昔と違ってこのような記録消失は起こりませんが、夫婦間どちらかが転職したようなケースでは3号記録の切り替えがうまくできていない事象もあるようです。
年金定期便が送付された際はよくご確認ください。
また夢で思い出したら記事にいたします。
ではまた。