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国際生活機能分類(ICF)について   

障害を人が「生きる」こと全体の中に位置づけ「生きることの困難」として理解するもの。
ICIDHの改訂版、国際疾病分類の補足としてICIDHがあった。
国際疾病分類(ICD)1990年に採択されたICD-10が最新分類。
世界共通の診断基準として、WHOが国際疾病分類を作成した。
*ゲーム障害の定義(2019.5 ICD-11に追加されることが正式認定(発行2022)


・国際分類ファミリー

健康観:健康とは単に病気がない状態ではなく、生活機能全体が高い水準にある状態。仮に、単に病気がないことが健康だとすればICDだけで事足りてしまう。
健康状態への判断は、ICDとICFを併用し、病気の面だけではなく、生活機能・生きることの困難の程度の両面からみること。二つが存在する意義、互いに補い合う「補完関係」にあるという理解。

・疾病と障害の関係 (砂原茂一医師)
疾病と障害との関係を3つに分類
①独立した障害(先天性障害)
②病気と共存する障害(慢性疾患)身体障害における内部障害、精神障害
③病気のあとに来る障害(後遺症)
PSW業務からみる生活障害の形成要因;篠原由利子
かつての障害「不可逆的」固定化したものが障害であるという考え方から、①・③のみが障害とされていた時代があった。
②はあくまで「医療の対象」とし、福祉・リハの対象とされて来なかった。
・広井良典
①疾病=障害
②疾病と障害の分化
③疾病と障害のボーダーレス化・・現代;急性疾患(感染症)→慢性疾患へ疾病構造の変化・・医学的管理と共に福祉的なサポートが必要になってきた(医療と福祉の共存・ボーダーレス化)

国際障害分類(ICIDH)

1980年 WHO(世界保健機構)が発表したもの。
・人々の病状、死因を分析し医療の効果を図ってきたが不十分な状況が生じてきた。それが、砂原;病気の後にくる障害、広井;疾病と障害の分化、すなわち後遺症の問題。
→死亡か回復かという短期決着ではなく、長期にわたり生活に大きな影響を及ぼすもので、医療よりもむしろリハや、あるいは社会保障が求められることになる。
病気の分類だけでは疾病の後遺症へのリハや社会保障への効果測定が難しい。障害の3つのレベルに分けて整理した。
「社会的不利」を分類したことは当時画期的なことであった。

活動と参加

ICF=174の活動分類すべてできなければならないというわけではない。

環境因子

①物的環境
②人的な環境
*個人の態度だけではなく、集団的意識→社会がどのように見ているのか、需要家排除か。
③制度的環境
*サービス、政策など
*SWも本人からみれば環境因子

+促進因子
Q;下肢筋力の低下している・・適切な歩行補助具(物的環境因子)これを用いて歩行訓練をする(制度的環境)
→活動因子への制限回避
バリアフリー化(物的環境因子)活動制限があっても、参加制限にならないで済む。

個人因子

①個別性、個性、年齢、性別、民族、生活歴、価値観等

「どんな病気にその人がなったのか」の理解は大切である。しかしそれ以上に「どのような人がその病気になったのか」ということを理解することこそ、個人因子をどのように理解していくのかに繋がる。

疾患変調から健康状態へ

ICIDH → 疾患・病気
ICF → 妊娠・高齢・ストレス状態(健康状態・ヘルスコンディション)より広い概念として位置づけられた。
*特定の人々にのみ関係するものではなくて「すべての人に」関係する分類になった。

健康状態と心身機能

生活機能が健康状態が影響を及ぼすことがある。
肥満、糖尿病=生活習慣=「相互の関係がある」

活動

実行状況「している活動」
・現在の生活で実施に行っている活動
・実際の生活を観察することで把握可能

能力「できる活動」
・現在はしていないが、機会があればできる活動、支援があればできる活動
「していることしかできないとは限らない」
本人の可能性・潜在能力を信じることの大切さにつながる。
能力の評価とは、潜在能力を引き出すことであって、それがどれだけ有効に行えるかが「生活機能の向上・リハビリテーションの効果」に大きく影響する。
「している活動が必ずできるとは限らない」
日常生活ではできるが、職場ではできない。環境調整・合理的配慮が
必要である。
専門的な機関の訓練場面では十分にできているが、職場ではできない。
多分に、訓練場面が実際に活かされない「般化」が生まれる。
環境因子である、制度的な位置づけ、訓練内容の再検討が必要。

はん‐か〔‐クワ〕【般化/汎化】《generalization》心理学で、一定の条件反射が形成されると、最初の条件刺激と類似の刺激によっても同じ反応が生じる現象(刺激般化)。 これに対して、同一の刺激がさまざまな反応を引き起こすときを反応般化という。

コトバンク

人が生活する中で、できることのすべてをしているとは限らない。
両者には通常「差」があるもの。この差に着目することで、本人のニードを達成する上での「技能開発」や「環境調整」の必要性、可能性を確認することができる。
活動向上に向けての重要なヒントになる。

ICFの実践的意義;回避できる落とし穴・錯誤があることの理解

①基底還元論に陥らなくてよくなる。
→「還元主義」とも呼ばれる。「心身機能・構造レベル」を過大視してしまうみかた。つまり、「心身機能・構造レベル」が、活動、参加を決定づけるという考え方。ここに立つと、問題解決には「心身機能・構造レベル」を改善する以外、方法はないとうことになる。各レベルの相対的な独立性の活用は有効である。
②環境因子の偏重に陥らずに済む
→歩行、日常生活困難になれば、訓練ではなくて、環境因子のみで解決する考え方。環境因子は重要ではある。しかい、あくまでも「活動」・「参加」との相互作用の中で重要なのであって、それ自体環境因子単独で影響を持つものではない。「相対的な独立性の無視」になる。
③分立的分業の誤りに陥らずに済む
生活の各レベルの「相対的独立性の活用」はとても大切。しかし、けして「絶対的な独立性ではない」ということも、抑えておかなければならない。チームアプローチにおいて、健康状態は医師の担当、活動はOT、参加はPSW、環境因子は、義歯装具士という業務分担をしたとする。
※業務分担したところで、各職種で「共通の目標も方針もなく、情報交換すら表面的なものだと」すれば、それぞれが「相矛盾する働きかけをする危険性が十分にある」。解決するばかりか、解決するばかりか、問題がむしろ増えることも考えられる。
各レベルの独立性はあくまで「相対的」なものであって「絶対的なもの」ではない。
多職種連携の必要性の理解にもつながるものである。

統合モデルとしてのICF

①医学モデル
・病気ないしは心身機能・構造を過大視し、ぞれによって活動や参加も決まってしまうかのように考える見方。
②社会モデル
・参加や環境因子を重視。障害を作るのは社会の環境である。
③統合モデル
ICFは①②のように偏ることなく、生物・心理・社会すべての次元を統合した考え方。

第三者の障害

本人が病気になる・障がいを持つ・あるいは介護が必要な状態になることが、家族などの身近な人々に及ぼす悪循環のこと。
→老々介護によって介護者が病気になってしまうなど。
生活機能から環境因子へ→が伸びている。
本人にとって一番近い「家族」支援が必要になるということ。

精神障害の特性
統合失調症の特性 見浦康文 昼田源四郎

必ず項ではない「傾向」として捉える。
このような障害を持つことがあり得るため、リハビリテーションの対象として意義のあることである。

精神障害者の障害特性理解の要点(参考)

アディクション

https://www.jamhsw.or.jp/ugoki/hokokusyo/20160331-01/PDF/lecture04-02.pdf

https://www.jamhsw.or.jp/ugoki/hokokusyo/20160331-01/PDF/lecture01.pdf

評価尺度


精神症状評価尺度
社会生活評価尺度
職業能力評価尺度
主観的QOL評価尺度

アセスメントツール 確認要点


目的・特徴
対象;地域で暮らす方/入院患者
実施方法 どのように評価するか
→半構造化面接・行動観察

・包括的機能評価尺度(GAF)ギャフ

ACTの加入基準でも使用される。
精神科在宅管理料;3.000点

社会生活評価尺度


①リハビリテーション行動評定尺度 入院中の方
②精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)地域で暮らす方
→統合失調症の能力評価

心理教育

家族研究の歴史
統合失調症の研究から1940年代後半のアメリカ。
精神分析的な要因、なぜ人は統合失調症になるのか?

家族にのしかかってくること

「もし自分の家族が精神病を発病あるいは再発したら、あなたはどんな心理状態になると思いますか。
また、どのようなことがのしかかってくるでしょうか。
考えてみましょう。(3分間)

家族心理教育・家族教室での声
*ショック・不安
*罪責感・無力感
*喪失感
*孤立
*家族間の緊張
*専門家からの非難(アドバイスを受けること自体が自分たちの対応が悪かったのでは・・)犯人捜し・・
*スティグマ・偏見
*重いケアの負担
*将来に対する悲観

家族には何が必要か

*希望・・なんとかなるかも
*安全保障観・・自分も支えられている
*つながりの感覚・・ひとりじゃない
*対処可能観・・自分の対処が役立っている
*自己肯定観・・自分も一人の人間として生きていいんだ

家族心理教育プログラムのプロセス
FPE

1.心理教育の紹介 → 2.ニーズアセスメント ↓↓

① 教育セッション・・病気や治療についての知識、情報の共有を図る内容
② グループセッション・・対処技能、問題解決のための選択肢を増やすためのプログラム「なんとかなるかな」と思えるようになるためのセッション。2部構成・・8~10回シリーズ(1クール)1
*スタッフ主導から、家族主導へつなげていく。
心理教育委員会:多職種で構成/計12名
☑プログラムの概要
対象;統合失調症の家族
構成;月一回開催 7月~翌年2月 年度で8回開催
グループセッション(2時間)
定員;6家族(最大8人参加)

教育セッションの中身

統合失調症について
統合失調症のお薬について
ご家族ができることって?
お薬の上手な活用方法
再発予防のためにできる工夫
より良い生活を送るための社会資源
当事者の体験から学ぶ~何が回復に役立ったか~
ご家族が元気を保つためにできること

教育セッショの留意点

*わかりやすく、あまり専門的でない言葉を使う
*相手の体験に配慮して伝える
*一方的でなく双方向であること
*希望が持てるように(肯定的に)
*自責感やスティグマを減少させるようにする
*多職種チームで(それぞれの専門分野で)取り組む
※エンパワメントモデル・・病気に対してそれぞれの立場で向き合っている。
病気について知識を持っているのは専門職だけではない。
病気に関しては、一方的に正しい知識を伝えることではない。
あくまでも、専門家や科学的研究ではこうなっていますよ、だから今私たちはこう考えていると「留保付き」で説明することが大切。
メディカルモデルではなく「僕らはこう考えていますがどうですか?」
家族の知識もシェアする。
*社会資源、制度はレギュレーションが決まっている。

家族心理教育:家族への効果


疾患への理解の深まり
対処技術の向上
スティグマや孤立感の減少
負担・困難の軽減
QOLの向上
自己効力感の増大
~主体性の回復へ~

当事者への効果


再発率、再入院率の低下
QOLの向上
就業率の増加
EBP(科学的根拠に基づいた臨床実践)
アメリカ精神医学会治療ガイドラインに掲載

*薬物療法、家族心理教育、SST(心理社会的療法)の併用が再発率の予防率が高くなる。

スタッフへの効果


75%以上が肯定的評価をした。*福井里江ら2004
なぜ地域に家族会が必要なのか 〜家族支援の重要性について〜

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ようかん
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