見出し画像

山に魅せられて

兵庫県出身。趣味がきっかけで立山に出逢い、その美しさと雄大さに魅了され移住を決意。現在は登山ガイドとして活躍されている酒井さんにお話を伺いました。

移住のきっかけ

2008年、21歳の時、スノーボードが趣味だった酒井恵さん。当時、岐阜県のスキー場にてシーズンアルバイトとして働いていたある日、「夏までスキーやスノーボードが滑れる、立山っていう場所を知ってる?」という仲間の一言から、全てが始まりました。

その年に、初めて仲間と立山室堂(標高約2,450m)を訪れた時に見た雄大な立山連邦に感動し、スノーボードを担いで立山の浄土山の雪上を登り、山に登ることの楽しさ、自然の素晴らしさに目覚め、立山町で暮らしたいという思いが募りました。

それからの酒井さんは、立山駅構内の売店や室堂で観光アルバイトをしながら室堂で寮生活をし、山好きが高じて冬は各地のスキー場で住み込みとして働き、また春には立山へ戻ってくるという山から山への暮らしを続けていました。それほど立山との出会いは、彼女の人生を大きく左右するものでした。

登山ガイドになった理由

初めは、登山なんて疲れるし、なぜ苦しい思いをして登らないといけないのかと理解ができず、むしろ山なんか大嫌いだったという酒井さん。そんな酒井さんが、初めて訪れた立山で得た感動体験。もっといろいろな山に登りたいという思いは募るばかり。休みの日は仲間と共に、北アルプス周辺の山々を登ったそうです。その時、仲間が山頂で淹れてくれたコーヒーのことを今でも忘れられません。味わいもさることながら、山ならではのもてなしがとても嬉しく、自分も同じように登山に挑戦する人をもてなし、山を好きになってもらうきっかけ作りをしたいという思いを強くしました。

2014年、27歳の時、ずっと山に携わる仕事をしていきたいと思い始め、登山ガイドの資格を取得することを決意。最初は、どうしたらいいのかわからない状態から、およそ5年をかけて猛勉強。途中で諦めかけ、挫折した期間もあったそうですが、何とか自分を奮い立たせ、筆記試験を経て、実技試験に見事合格した酒井さんは、登山ガイドステージⅡ(※)を取得。2019年に立山ガイド協会に所属し、立山の女性登山ガイド第一号となりました。

知識と経験を積み重ねてきた酒井さんは山の魅力だけではなく、厳しさも実感しました。当初は仕事がコンスタントにあるのかと思っていたそうですが、予約が入るのは主に週末のみ。2020年には新型コロナウィルスの影響により、さらに仕事は激減。現在はアルバイトで生計を立てながら苦労と背中合わせの生活をしているそうですが、それでも、「好きなことをして生きているからとても幸せ」と笑顔で話してくださいました。

(※公益社団法人日本山岳ガイド協会認定。国内で四季を通じて整備された登山道において登山ガイド行為を行う事が出来る。)

今後の目標を教えてください

現在は先輩登山ガイドのもとでアシスタントガイドとして経験を積み、日々勉強中。「富山には里山が多く、良い山がたくさんあります。そこから眺める立山連邦は言葉にできないほど綺麗です。立山ガイドだけに限らず、その麓にある里山登山も案内したい。山に登ったことがない人、特に子供たちに、一つの目標に向かって歩くこと、登山の楽しさ、頂上についた時の達成感、自然の雄大さを広めていきたい」と目を輝かせていました。

ガイド

子供たちをいかに楽しく歩いてもらうかに気を配っているそうで、皆でロープにつながりながら歩くと「電車ごっこみたい」と大喜びして歩いてくれるそう。山のファンを増やすために酒井さんは日々工夫を凝らしています。

住まいについて

酒井さんが登山ガイドの資格を取得し、本格的に立山登山ガイドとして活躍することが決定した時、知り合いを通じて賃貸住宅を借り、立山町に定住することとなりました。当時、借りた家は間取り10LDKで家賃3万円だったそうです。その3年後には知り合いから2DKで家賃5万円の賃貸住宅を紹介してもらいました。幹線道路沿いで、車も停めやすい場所のため、いずれは登山帰りのお客さんが気軽に立ち寄れる休憩所を作りたいと思い、現在の家に決めたそう。

富山での暮らし

移住当初はご近所となじめず、困ったこともあったそうですが、幸い、立山駅や室堂でのアルバイト時代からの仲間たちは皆、富山県外からの移住者が多く、よき相談相手として移住者同士の交流が現在も続いています。

春は山菜採りやホタルイカ獲り、夏はバーベキュー、秋はキノコ狩り、冬はスキー場に通いスノーボードで滑る楽しみがあり、オールシーズンで登山に出掛けるなど、四季を問わず、アクティブに過ごされています。

「富山は水も食べ物もお酒も美味しい。自然の恵みを間近で感じて、美味しくいただけるなんて、とっても豊かで面白い!遊びのフィールドがギュッと詰まった大好きな場所です。」

と富山暮らしを満喫されています。

移住のアドバイス

「まずは富山に来てみて、美味しい水・食べ物・自然が豊かな景色をぜひ体感してほしい。山に興味があるなら、働く場所は山小屋やスキー場など、探せばいくらでもあると思います。行こうかどうしようか迷うくらいなら、まずは行動を起こしてみるといいと思います!」と熱い思いを語ってくださいました。

こだわりの道具を見せてください

たくさん歩くため、登山靴は消耗が激しく、年に1回は必ず買い替えるといいます。
登山リュックの中には、山でクマに遭遇したときに役立つクマよけスプレーを常備。いざというときに身の確保をするためのロープにカラビナ、突然のけがやトラブルに対応できるように救急セットを常備しているそうです。

登山靴

登山道具


いいなと思ったら応援しよう!