【仕事漫画】編集者という剣客
みなさん、こんにちは。作家のエージェント遠山怜です。私は仕事柄、出版社の編集者とお仕事をしています。
さて突然ですが、編集とはそもそもどんな仕事でしょう。実際に執筆するのは作家やライターの仕事ですが、それでは編集の仕事とは・・・?業務内容としては、企画構成の調整や、内容の確認、表現のチェック、各種入稿作業といったところを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、実態はよく分かりにくい仕事ですね。取り扱うのは、情報だけではなく人の能力と思考という、扱いづらい形無きものだからでしょうか。今回は無形の仕事をこなす編集者について、漫画にしました。
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多くの仕事は可視化されたものを取り扱い、それを製品としています。編集者という仕事も、納品物である最終的なアウトプットは文章や漫画、絵といった目に見える形になります。しかし、その前段階では書く人自身に直接働きかける作業があります。
書き手のタイプは様々なうえ、作品を生み出す姿勢や書く条件も一人一人異なります。作家の頭の中にある情報を、出して再構成することで済む仕事もあれば、書き手の一つの情熱や発端を元に、いちから一緒に考えていく仕事もあります。つまり、完成形のロードマップがすぐに想定できることもありますが、まったく分からないまま作っていくこともあるということです。
もうすでに原稿としてできあがっており、それを文章として通りが良くなるようまとめるだけ、といった作業になることは希少です。
また、本質的に取り扱っているのは情報ではなく、人の感性やセンス、書きたいという気持ち、思想といった捉えどころのないものです。書くべき内容の指示と、書けるように気持ちを支持すること、書いた内容をものにすることと、それぞれまったく異なる側面のサポートをして、その仕事は成り立っています。
目に見える部分の編集という作業は、それらの一部の過程でしかありません。なおかつ、何をすべきか何がベストかは作家ごとに異なっています。その相手のタイプや挙動に合わせて即時的に動き方を変え、物にするというさまを私は一人の剣客のようだと感じています。奇妙かもしれませんが、編集者の方と打ち合わせをする際に、そういった切っ先のうねりを感じてしまう。
編集者と作家、エージェントの誰が口火を切るか。話をどう方向付けるのか。どの落としどころに持っていけるか。相手の意志の流れを動かせるか。イニシアチブは誰か持つのか。悪い流れを制御できるか。相克をかわして妥協点を見いだせるか。
一見、ただの打ち合わせ風景に見えますが、そこで行われていることは商談でも、会議でも、雑談でもないものです。作家とその作品を相手とした、目に見えない勝負が水面下で行われている。だからこそ、スキルとして言語化しづらく定義しにくい側面があります。
その手法は、これまでの経験とその人が考えるベストのやり方に沿って生み出されており、オリジナルのものです。そこに至るまでに、各編集者たちの多大なる経験と苦労がある。
そのやり方に、私は魅了される。ここで起きていることは自分と作家、編集者の頭脳にしか残らない。きっとこの世の誰も、その実を書いてくれないだろう。その鮮やかなさまが記録に残らないのが残念なので、今回は漫画にしました。でも、いつか何かの形で、自分の体験として知って欲しいと思う。
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実はチキン野郎でもあるので、記事が伸びていないと、地味に沈んでいます。まあ、やりますけどね2019年も。ほんとにしつこいので。
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