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心を救ってくれた映画

「映画ファン」などと自称できるほど映画館に足を運ぶことのない私。
行くとなれば、短期間に話題の映画を何本も見に行くけれど、ある日プツンと糸でも切れたように行かなくなる。
そうなると、見てみたいと思った映画も予定に入れ忘れて結局見逃す。

「まあいいか。しばらく待てば WOWOW で見られるし」

そんな私が、12回も映画館に見に行った映画。
「すごく良い映画だから、是非見に行って!」と強く勧められて興味を持ち、私にしては珍しく翌日見に出かけ、感動のあまりその翌日も、その二日後にも見に行った。
以来、上映期間が終わるまで見続けた映画。

『ラストサムライ』。

私はこの映画の「何」にこれほど惹かれたのか。

当時、仕事とは別に、プライベートでの活動範囲が急に広がっていた。
周りから期待され、必要に迫られ、一人で何役もこなしていた。私が頼れる人は少なく、あれこれ抱え込んでいた。

一人で過ごす時間も必要不可欠な私だったが、その時間を確保できなくなった。
私はギリギリのところでバランスを取ることに疲れ果て、カサカサと乾いた音が私の中に響いていた。
それでも誰かに相談することも無く、何年もそれが続いた。


この映画では、主人公が罪の意識に、過去の悪夢に苛まれ苦しんでいる。
誰にも明かせない、時に死を願うほどの苦痛と孤独を抱えていた。

そこから日本に渡り、武士に出会った。

”目覚めた瞬間からおのれの務めに励む 自分に厳しく規律ある人々” と武士を称する。

私はそこまで励んでいない。規律もない。

武士が言う。
「人も桜もいつかは散る 吐息の一つ一つ 茶の湯の一杯 敵の一人一人に生命いのちが宿っている それを忘れてはならない」

私はそんな風に毎日考えていない。そして気づいた。

やりたい事を続ける為には必要な事でもあり、期待に応えたいという思いもあった。
一方で、私には荷が重いとも感じていた。
できないと、やりたくないと、私は相応しくないと。
それでも言えなかった。やりたい事を続ける為には。

・・・本当か? 
言って失望されるのが怖くて言い出せなかったのではないか? 
苦手意識を、真正面から立ち向かえないことの言い訳にしていたのではなかったか。

どんな困難であっても立ち向かい誇りを失うな、苦痛を味わっても、救いはあるのだと、この映画は言っているのではないか。そんな風に感じた。 

そうは言っても、すぐにそんな風に変われる訳ではなく。
それでもDVDを購入し、WOWOWでも録画し、何度も何度も見た。
見る度に新たな発見があり、感銘を受ける箇所が異なることも多かった。

私は、時間をかけ自分と向き合うことに重きをおくようになった。

 

そして今、このコンテストを知って、久しぶりにDVD鑑賞。
不朽の名作というのは本当に色褪せないものだと実感。
が、それだけではない。

私は再び『岐路』に立っている。
年齢相応に襲い来る問題に立ち向かいつつ、同時に自分の人生について新たな挑戦を試みる日々。
怖じ気づきながらもなんとか足掻こうとしている私に、この映画はまたメッセージを届けてくれた。

その台詞を最後に記して終えたい。

運命さだめを変えられると思っているのか』 
運命さだめが明かされるまで、自分の最善を尽くす』



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