#19 ゆめちゃんの弟くんが来る
初夏のある日、いよいよゆめちゃんの弟くんがやって来る日となりました。
これまでゆめちゃんに 、" 新しいコが来ても、まずゆめちゃんにごはんをあげたり、遊んだりすると約束する "、" 放ったらかしにはしないよ " など、安心できるようにと何度も話しました。
それを聞いたゆめちゃんがどんな様子かを見ながら、お迎えする日を決めました。
ゆめちゃんをお迎えした時は、叔父がつけた名前をそのままもらいましたが、今回は弟が名前を付けることに。
命名:朔 です。
この日は、朔くんにとっては慌ただしい一日だったと思います。
まず弟が、預かってくれていたお家へ朔くんを迎えに行き、避妊手術のため動物病院へ。
手術をしないと雄猫はスプレー行為(トイレ以外の場所にオシッコをかけること)をしたり、雌猫を探しに家出したり、雄猫と命懸けの大喧嘩をしたりするそうです。避妊手術は、雄雌どちらにも必要なことなんですね。
雌猫は入院が必要ですが、雄猫は日帰りも可能だそうで、しばらく様子を見てから、我が家へお迎えする段取りです。
私は夜、帰宅後に朔くんと初めて会うことになります。どんなコだろうというドキドキと、ゆめちゃんは大丈夫かという心配で、大急ぎで家に戻りました。
戻ってみると、朔くんは弟の膝の上、ゆめちゃんはタンスの上で警戒中でした。
約束したとおり、まずはゆめちゃんにただいまと伝え、手を伸ばすと、ゆめちゃんは自分から私の手に近づいてくれました。撫でると少し安心したようです。睨んだりはしていないので、私もホッとしました。
それから朔くんに、はじめましてのご挨拶をするために近づきました。
朔くんは弟にピッタリくっついています。疲れているということもあるでしょうが、弟にとても懐いているようです。
弟は朔くんをお迎えすると決めてから、何度か朔くんに会いに行っていたので、もうしっかり信頼されているのでしょう。
茶色の縞で、スコティッシュフォールドの、特徴的な垂れた小さな耳がかわいいコ。ミックスだと聞いていたのですが、それでもスコティッシュフォールドの特徴がこんなにはっきり出るのだなぁとまじまじ見つめ・・・ん?
私の第一印象は、『何か変・・・』でした。
初めて朔くんの話を私にした時、弟も説明しづらそうだったのですが、私も何か違和感がありました。
この違和感をどう説明すればいいのか・・・💦
「可愛いだろ」と嬉しそうに言う弟に、
「うん、そうなんだけどね・・・」
何だろう、何が気になっているんだろう。
男の子と女の子では、首や足の太さが違って当然だし・・・顔、ていうか、頭の形・・・?
とにかく弟が私を朔くんに紹介しました。
「俺の姉ちゃんだ、これから一緒に暮らすからな。俺の言うことも、姉ちゃんの言うこともちゃんと聞くんだぞ」
「はじめまして朔くん。よろしくね」
・・・・・・・・・・・・(しばしの沈黙)
「・・・このコ・・・犬?」
「猫・・・たぶん」
「たぶん?!」
「獣医は猫と言ったぞ」
「・・・」
猫って、こんな声で鳴くコもいるの?
ゆめちゃんはとても猫らしい声で鳴くので驚きました。
それぞれに「個性」があるというのは、人間でも動物でも同じなんですね 💧
まあ、それはそれとして、私が帰宅するまでの様子を聞いてみると、ゆめちゃんはやはりタンスの上でじっと見張っていたし、朔くんはずっと膝の上で、ここが安全な場所か、探検することもなかったそうです。
それはそうだな、今日手術したんだもんね。疲れているよね。
とにかく今日はゆっくり休ませてあげようと、弟は急いでお風呂をすませ、朔くんを連れて部屋へ。
弟がお風呂に入っている間、濁点の付いた「わぁ」を連発して出待ちしていましたが、部屋に入ると落ち着いたようで、すぐに静かになりました。
朔くんが見えなくなったので、ゆめちゃんが降りてきました。私はゆめちゃんと一緒に遊び、たっぷり撫でました。ゴロゴロと喉を鳴らしています。
良かった、警戒はしているだろうけれど、機嫌は悪くなさそう。
ゆめちゃんは当分の間、私と一緒に寝る予定です。翌日から私も連休を取っています。ゆめちゃんも朔くんも安心できるように、数日は二人とも家にいるようにしました。
上手く慣れてくれるといいな。ゆめちゃんとも仲良くなれるといいな。
でも焦らずに、ゆっくり時間をかけて少しずつ、朔くんとも家族になっていこう、と思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
参考書籍
イラスト図解 室内ねこ くらす&育てる 日東書院
監修 松原ペットクリニック院長 岩富俊樹 著者 たまき みけ
ねこのきもち (株)ベネッセコーポレーション