バイクの免許取りに行っただけなのに・・・
物余りの時代で不要になった物がアプリで売買される中、田舎では直接取引というかなりアナログな方法でそれが行われている。
田舎の倉庫は宝の山だ。ほとんど使っていない軽トラック、使わなくなった冷蔵庫、原付バイクにモトクロスバイク、もう手に入らないものばかりだ。
家をもらったなんて人もいるから、余っているもののレベルが違う。
私のこの物余りの時代の波に乗り、職場の親方から原付バイクをもらえる話が舞い込んだ。
超ラッキーだ。これで職場までバイクに乗っていけると意気揚々と仕事終わりに親方のところまでバイクを取りにいく。
倉庫に案内され、「これだ」と言われたバイクに目をやると、外装に”80”の文字がある。まさかと思った。
【ヤマハ メイト v80】※バイクの車種です。
なんと80ccのバイクじゃないか。これでは普通車の免許におまけでついてきた原付乗れるやつでは公道を走ることができない。
これが判明したとき、一瞬もらうのをやめようと思ったが、もともとバイクの免許を取りたいと思っていたので、免許を取得することにして、もらって帰ってきた。
こうなったらさっさと免許をとって乗りたいので、周辺の自動車学校の教習料金を調べてみる。
家から一番近いところで教習料金がおよそ13万円。家から一時間半のところの教習所だとおよそ8万円。その差5万円。交通費を含めても安いと判断し栃木県のその8万円の教習所に通うことにした。
80ccのバイクに乗るには小型自動2輪という免許をとればいいのだが、どうせ取るなら400ccまで乗れる免許でしょ、っていうことで普通自動2輪の免許を取ることにした。
安いということだけで選んだ教習所。これがかなりクセが強い教習所だった。教習所内には元気の良さそうな金髪の兄ちゃんがうようよいて、まずいところに来てしまった、と思っていた。
そもそも私自身も坊主頭で、体も林業で鍛えられていたので、外見はヤバいやつに見えていたかもしれないのでそもそも人のこと言える外見はしていない。
しかし、その兄ちゃんたちは私とすれ違うたびほぼ全員が「お疲れ様です」とあいさつしてくるのだ。
びっくりした。人を外見で判断してはいけないと反省した。
クセの強さは金髪の兄ちゃんだけではない。教官の方がもっとクセが強い。大体不機嫌そうにしていて、教習中ミスれば罵声が飛んでくる。教官に口答えしようものなら施設裏へ連れていかれる勢いだった。
あのネットで見た広告の笑顔の教官たちはどこにいるんだ・・・と、やばいところに来てしまったことには違いなかった。優しい教官も中にはいました。
教習は全部でおよそ20時間あるので、その時間をこなせばこのクセの強い環境から抜け出せると、補講にならないようにまじめに取り組んだおかげで最短で卒業できた。
後からわかったことだが、そこの教習所は関東でも安く合宿免許を受け入れている場所で、関東の元気のいい若者が集まってくることで有名なところだった。
教官が怖いのも、集まってくるやんちゃな若者の規律を守らせるためで、厳しいのではないかということだった。若者にバイク事故で怪我をしたり死んでほしくない思いからかもしれない。
金髪の兄ちゃんたちの「お疲れ様です」も入校時に教育されていうのもだったらしい。
教習生の中に変な奴がいた。「入校時に申請している名前は偽名で、本名は別にある。仕事上本名は知られてはいけない」っていう話をしているところを盗み聞きした。全く意味がわからない。
そもそも、公的な免許を申請するのに偽名で通るのかっていうことと、仕事上バレたらやばいならその話すら人にしてはいけないだろ、というツッコミどころ満載な変な人もいた。
ということで、無事合格証明書をもらったので警察の免許センターへ行き普通自動2輪の免許を取ることができた。無事にあの80ccのバイクにまたがり田舎を疾走できる日がきた。
バイクはもらったものの、結局乗り出すまでに10万円近くかかっていた。元を取るためには自分と同じくらいの年式のヤマハ メイト v80にまたがり続けようと思う。
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