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謎の仕事:プラントハンター

こんにちは!
北海道美深町を流れる天塩川でカヌー・ボートツーリング、ドリフトボートフィッシングツアーのガイドをしているトヤガクトです。
HPはこちら→https://gac-river-tours.com

カヌー、ボートガイドの傍ら別の仕事もしています。
それは、プラントハンター。

なんか、カタカナにすると聞こえがいいですが、要は植物の種をとってくる仕事です。
いや、とってきた種はどうするの?という感じですよね。その種というのは、公共工事で道路を作った後の何もない法面に植えられたりするらしいです。自然に生えてきたわけではなくて植えてるんですね。

とってくる植物の種は基本的に野生のもの。
特定の種類の植物が指定され、何キロとってきてと発注者に頼まれます。
めっちゃ簡単な仕事じゃんと思われるかもしれませんが、自然相手なので、種の熟成具合を見極めなくてはいけません。
風が吹いたりすると種は地面に落ちてしまうので熟成したらできるだけ早く取らなくては行けないので時間との勝負でもあります。

多く注文があるのがクサヨシというイネ科の植物。どうやって種を取るのかというと、70Lくらいのポリバケツを持ってクサヨシがいっぱい生えている野に分け入り、腕をいっぱいに広げ、できるだけ多くの穂がついた茎を集めます。
集めたら穂を全部バケツの中にいれ、ひたすらバシバシと、バケツの内側に叩きつけます。こうすることで、種が地面に落ちることなく集められます。

では、1キロいくらで買い取ってくれるの?という疑問が湧いてきますよね。
クサヨシの場合は1キロあたり、3000円。高っ!というのが多くや人の感想だと思います。
ですが、クサヨシのタネは幅0.5mm長さ3mmくらいのとても小さいタネ。
これを1キロ集めようと思ったらなかなか集まりません。
なので、多くを集めようと思ったら場所選びが大切。
当たり前じゃんという感じでですが、クサヨシが広範囲に群生している場所を見つけなくてはいけません。
群生箇所を見つけられたらもう勝ちが決まります。
私の場合だと3時間ほど作業して、採ってきた種は最高で約6キロほどでした。時給換算すると6000円です。

かなりいい仕事と思われたそこのあなた。実際この仕事かなり辛いです。クサヨシの群生している中に入っていくので、虫もいっぱいいるし、最近は暑いのでアブがたくさんいる。作業は単調なので、一瞬で飽きます。種は軽いので全然重たくなりません。

では、3時間もどうやって種を取り続けるのかというと、環境の奴隷になることです。
いや、どういうこと?って感じですよね。
説明すると、車の近くで作業していたらすぐに休憩したくなりますし、すぐに帰りたくなります。
なので、車からバケツを持ってひたすら遠いところまでとりあえずあるきます。遠くなったところからクサヨシの草むらに入り、作業を開始します。作業で進んでいく方向は車の方角にしておけば、いずれ車にたどり着くという算段です。
こうしておけば、すぐに車に行けないし、帰れないし、来た道をただ戻るのもバカバカしく思いせめて種を採って帰ろうと思うのです。

こうやって、自分の意思とかやる気に依存しないで、作業をしなきゃいけない環境を作ることがプランハンターの仕事の仕方ではないかと思います。

ということで、今はクサヨシの種を取るのに知床まで来ています。
いや、なんで?って感じですが、知床のクサヨシじゃなきゃ行けない理由があるらしく、毎年知床まで種を取りに来ています。
美深から片道6時間。1泊2日で車中泊。途中の道でノコギリクワガタとミヤマクワガタのオスを拾ったので子どものお土産にしました。
この2匹が旅のお供をしてくれているので少しだけ寂しくないです。

ということで、あぁ、めんどくさい仕事だなぁと思った時は、まずは仕事をやらなきゃいけない環境を作り出すことが大切というお話でした。

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トヤガクト
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