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社会人1年目のギャップ|公務員
私は理系の大学院を卒業した後、地元にUターン就職し、地方公務員として働いています。
今回はそんな私が、社会人1年目に感じたことを話そうと思います。
これから就職活動をする学生、公務員になりたい人、社会人数年目の人向けの内容です。
公務員を志すまで
私は大学(院)時代、化学を専攻していました。化学もいろいろな分野がありますが、地学に近いような分野の、大昔の地球環境を調べる研究室に在籍していました。なので将来は化学の知識を活かし、好きだった地元で働いて、人の役に立ちたいと考えたのです。そんな中、研究室の先輩が専門の化学を活かした職種の、技術系公務員として働いていることを知り、私も志すようになりました。
働いて分かった公務員という仕事
初任地での仕事内容は、環境施策を運用・実行する仕事でした。
私どものような国民の健康などを守る立場である公務員は、基本的に法律や条例(以下、まとめて「ルール」といいます。)に則って仕事をします。ましてや、人(事業者)の権限を制限するような強い権限も与えられている分、決議プロセスはとても慎重です。なので、何をするにも「(法的)根拠は?」という言葉が飛び交っている職場でした。(耳にタコができました)
しかし裏を返せば、ルールにないことはできないし、ルールにないことは仕事にならないということです。親切心からとあるサービスを提供したくても、「ルールにない」とか「所管外」という理由で制度上却下。また、早くサービスを届けようと思って、手続きの一部を省略するとルール違反。仮にサービスを改善したくても、より良いサービスを早く届けたくても、それを考えることは後手に回ります。一番優先されるのは、今のルールに基づく運用なのです。そのため、なかなか歯がゆい思いをしました。(誤解を招かないように言うと、「ルール」も完璧ではありません。ある程度検討の余地が残っていますが、そこにメスを入られるほど人的な余裕がないこともあります。)
社会人1年目はギャップで苦しむ
私が社会人1年目にぶつかった壁、それは「こんなはずじゃなかった」という葛藤です。これは心の中で悶々と湧き上がる苦しみです。キャリアコンサルタントの世界では、これを「リアリティショック」と言います。社会人1年目によくぶち当たる現象で、就職前に思い描いている姿と現実に待ち受けていた姿の差(ギャップ)が大きいとき、このようなことが起きます。
己を知り、仕事を知る
このギャップは、可能なら小さければいいに決まってます。ギャップで萌えるということはおそらく起きないでしょう。
それでは、どうしたらいいか。
その答えは、「自分を理解すること」と「仕事を理解すること」です。これは片方だけでは足りません。どちらも必要です。自分がやりがいに感じることを知っていても、仕事のことが分かっていなければミスマッチが起き得ます。仕事のことが分かっていても、自分が何をやりがいに感じるか分かられなければ、それも同様です。
順番としては、自己理解→仕事理解の順。その理由は明白で、自分の価値感やできること、やりたいことが明確になっていないうちから求人情報を見ても、会社選びの軸がブレてしまい、結局、何をしたいんだっけと堂々巡りになってしまうからです。
まずは自己理解から
国では、「ジョブカード」というツールを提供しています。一番初めはジョブカードを作成する前段階として、補助ツール、例えば「ライフラインチャート」を活用するといいと思います。下にリンクを貼っておきます。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000199572.pdf
さらに言えば、これを基にキャリアコンサルティングを受けることをお勧めします。コンサルティングと言っても、肩肘張らなくても大丈夫です。キャリア専門の相談員(キャリアコンサルタント)が無料で相談に応じてくれます。最寄りのハローワークで実施していますので、一度調べてみてください。
次に仕事理解を
業界や業種、職種のどの位置から探ってもいいですが、最初のうちは視野を広く。狭めることは後から十分にできます。そして、その職種の1日の働き方や、社員が何をやりがいとしているか、社員インタビュー記事などで眺めてみます。次第にその業界や業種、職種に特有の言葉やキーワードが浮かび上がってくると思います。そこまでできたらまずは御の字。その仮説を基に、実際にその道の人に聞いて確かめていくといいでしょう。
私の場合、この仕事理解が圧倒的に不足していたと感じています。公務員を志した理由が「化学×地元」でした。でも、化学×地元なら、化学メーカーでも、製薬会社でも、研究機関でもいいわけです。もともと私は新しいことにチャレンジしたり、今の仕組みを良くしよう、変えようとしたりする性分です。お堅い仕事とは分かっていても、募集要項に「チャレンジングな人」と書いてあるその字面だけを見て、間に受けていました。今考えると、業務内容をよく知らなかったんですね。
これから就職活動をする人や、今苦しんでいる人の一助になれば幸いです。
それでは、また。