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連勤日記126日目 マリーにキスを

9月10日(火)打ちのめされるようなすごい本(米原万里、文春文庫:2009)に面白そうな本を求めて読む。2017年に買っているが内容は全く覚えていない。日記に絡めて本を紹介している、ネタバレ少な目派。

日記と読書は相性がいい。今読み終わったなんて臨場感を出して直前のインプットをアウトプットに変える。楽しいしニーズもある、私にとっては鉄板のフォーマット。だが、この本も米原万里の人生もそんな安直ではない。

共産党幹部を父に持つ米原は9歳からの5年間をプラハで過ごす。現地にあるソビエト連邦外務所が直接運営する外国共産党幹部子弟専用の8年制ソビエト大使館付属学校に通い、ロシア語で授業を受けた。(Wikipedia)

中学2年から帰国し、その後ロシア語同時通訳者や作家の肩書を持つにいたる。社会主義を取り巻く国際情勢に明るく、アメリカや親米政治家を指弾する際は感情的な印象を受ける。左派と言い切るほど私も詳しくない。

読書家だ、本がいっぱい出てくる。ロシアに関する本はレベルが高すぎ、それ以外もたいてい電子化されていない。だったら米原さんの小説を読もうと思い、嘘つきアーニャの真っ赤な真実(角川文庫:2012)を購入。

小説だと思ったら実体験っぽい、ノンフィクション大賞も獲っている。社会主義体制下での人々の営み、万国共通の青春日記、陰鬱な世界情勢の変化、多感な時期をかなり特殊な環境で育ちその情景を残してくれている。

ついあっちで生まれ育ったのではないかと錯覚するほど彼女は自立していて行動力がある。それゆえに特殊な日常風景が物語に昇華する。彼女でなければこうはならなかったはずだ。打ちのめされるようなすごい本。


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