一次創作『病ませる水蜜さん』キャラクター設定2
こちらでは『病ませる水蜜さん』小説第一章に登場する敵キャラやサブキャラの設定画などを載せていきます。
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※ネタバレが気になる方は先に小説を読むことをおすすめします!
郷徒 羊
警察庁霊事課(別名・怪異対策課)所属。二十五歳独身。表向きは刑事のように振る舞っているが、実際は怪異案件専門の国家公務員。生まれつきわずかな霊感があり怪異対策課にスカウトされた。足りない分は人脈や工夫で補う努力家。
第五話にて、郷美正太郎の昔話に出てきた郷徒毅は彼の叔祖父にあたる。曽祖父・祖父の代で起きた『根くたり様の祟り』の罪は郷徒家全体に負わされ、一族は村を追放された。その後も祟りの影響か家庭環境は決して良くはなく、羊も自己肯定感が極端に低く謙遜が過ぎて自虐的ですらある言動をするようになった。手入れの雑な黒髪と、眼鏡の下のクマが色濃い幸薄地味顔。人から嫌われ疎まれることに慣れているが、何故か怪異には好かれる気がする。
自分が住んだことのない村の因習に興味はなく、できたら縁を切りたいと思っていた。だが水蜜の調査・監視担当になってしまったことでむしろ縁は深く結びつき、これまでの不遇な人生の一因は水蜜にもあるのではないかと憎しみを抱くようになる。
『怪異対策課の事件簿』では実質主人公。脅威の大出世だが、サブタイトルが『郷徒羊の受難』なので色々と過酷な運命が待ち受けているのは察してほしい。
※怪異対策課とは
国直属の怪異案件専門機関。本物の霊能者の間では広く知られており、神職・僧侶・陰陽師・拝み屋や悪魔祓いまで様々な人が要請に応じて怪異による人的・物的被害に対応する。それを取りまとめるのが怪異対策課の職員たちである。捕獲した怪異を無害化、除霊(消滅させる)、収容(どこかに封印する)などの後処理も担っており、全国各地の都道府県警には密かに怪異の収容施設があったりする。
第八話の深雪襲撃事件後に礼を怪異対策課にスカウトしており、その後も定期的に交流がある。
夜見 桃子
第五話に登場。
郷美正太郎の従姉。実年齢は六十七歳なのだが、三〜四十代くらいにしか見えないバリキャリの若々しいお姉様。
正太郎と同じく神実村の出身だが、女性が大学進学することを反対される村の因習に反発して家出。それ以来村とは関わりを断つ。しかしかつて弟同然に世話を焼いていた正太郎のことだけは気がかりで、今でも定期的に会っては家族ぐるみで交流している。
正太郎が神実村にいたころに経験した凄惨な事件を知る数少ない人物。
玻璃鏡
第六話に登場。
江戸時代ごろに日本に流れ着き、人間社会に溶け込んで現在まで生きている怪異。
サキュバスのような生態で、男性の精液や性的な欲望をエネルギーとして吸収する。あくまで出されたものをもらっているだけなので、吸われても健康被害はない。
若い女性の姿をしていることが多いが、玻璃自身は性別が無い。老若男女どんな姿にも変身できる能力を持ち、抱かれたい男性には
『あなたが最も抱きたいと思っている相手に変身する』
と、もちかけて誘惑する。
実在しない理想の人物をカスタマイズすることもできるが、真骨頂は『絶対に実らない恋の相手になりきり、一夜の夢を見せること』
実在する人物の外見、喋り方、性格、記憶に至るまでコピーし(記憶については本人を観察できなければ精度が落ちる)家族であっても偽物だと気づけないほどそっくりそのまま変身することができる。
かなりの面食いで、食事目的を除いてもイケメンに抱かれたい。好みの男性を見つけると積極的に営業をかける。最近はマッチングアプリで相手を探していることが多いそう。
特定の人をターゲットにしていないとき、人が複数人いる場所に姿を見せるときは架空の美女の姿になっている(芸能人など男性に人気の女性たちを参考に、現代の男性受けしそうな容姿を作る)ので、作画する際は自分好みの美女に描いてください。
八景様
第七話に登場。
倉剣村(くらけんむら)という小さな島の村で崇められている、豊漁と海の安全の神様。
小学生くらいの少年を模した身体を形作っているが、青い肌に蛸のような瞳、巨大な蛸足が生えた下半身を持つ。この人型も八景が人間とコミュニケーションをとるための端末のようなもの。他にも様々な蛸型個体を生み出す。その大きさは頭部だけで三メートル以上になることも。
気に入った人間を『お母さん』=自身の妻認定して卵を産み付け、宿主にして出産させる。女性なら子宮、男性なら腸内を徹底的にほじくってから産卵する。その際、強烈な媚薬効果のある体液を与えるため、被害者は快感のうちに妊娠・出産することになる。
また、性別問わず母乳が出るように身体を改造できる。それもすさまじい快感を伴う上、母性が湧き起こってしまうため、被害者は八景と家庭をもってママになりたいという衝動に支配されてしまう。水蜜とはまたタイプの違う、誘惑タイプの怪異。
性格は温厚で比較的話が通じるため危険度は低め。だが長年の信仰により強大な神霊となっており、人間は基本的に無理やり力で勝つことは不可能。
倉剣村の人々を愛している。自分好みの『お母さん』=可愛いお嫁さんと家庭を持ち、日々イチャイチャするのが何よりの楽しみ。愛妻家なので死ぬまで溺愛してもらえる。好きなタイプは『健康的で、可愛くて、おっぱいが大きい子』とのこと。おっぱいは雄っぱいでも可。見た目は少年だが言動はスケベ親父みがある。
一人称は『儂(わし)』訛った喋り方をする。ふんわり名古屋弁風。
伊藤兄妹
二人とも第七話に登場。
伊藤 栄(いとう さかえ)
褐色肌のガチムチ兄貴。健康的な笑顔が素敵だが、時折暗くしっとりした雰囲気も漂わせる。
幼いころに両親を海の事故で亡くし、妹と二人きり取り残された。しかし村人たちに助けられ、漁師と旅館手伝いの多忙な日々を送りながらも幸せに暮らしてきた。
そのため村全体への感謝と愛情が深く、村に貢献したいという気持ちが人一倍強い。
村の守り神である八景様に惚れられ、海の事故を装って攫われる。
伊藤 マキ(いとう まき)
とある小さな漁村で旅館を手伝う高校生の少女。子どもがいない旅館の夫婦が伊藤兄妹のことを気にかけており、実の子のようにかわいがっている。
明るい笑顔が愛らしく、いつも元気いっぱい。だが強がり過ぎてしまう面もあり、限界を超えると本来の寂しがりやな性格が表れ泣いてしまう。
兄妹の絆は何よりも深く、また村の人々のことも深く愛している。
最近体調が悪そうな兄を心配し、男手を求めて夏休みの短期バイトを募集した。そこに礼と仁の大学生男子コンビがやってきて物語が始まる。
最終的には兄妹共に八景様の花嫁となり行方不明となる。しかし兄弟仲良く大切に養われ、たくさんの子を産みながら幸せな一生を送った。
寺烏真 蓮
寺烏真 礼の実兄。二十七歳妻子持ち。現在は娘一人だが将来的に三姉妹の父となる。一人称は『小生』で普段着に法衣や甚平、着物を愛用している。その反面髪型にはこだわりがあり、学生時代はロングにしたり、今はソフトモヒカンだったりと第一印象はヤンチャな感じ。
寺烏真家長男でお寺の跡取り。義理人情に厚く真面目な仕事ぶりから檀家の人々からの信頼は強い。頼れる兄貴という雰囲気で、優れた人格の人物である。あるひとつの欠点を除いては。
歳の離れた弟を溺愛するブラコン。弟の礼のこととなるとちょっと気持ち悪いくらいデレデレになる。礼は成長期を迎えるまで小柄で、兄に憧れて髪を伸ばしていたため少女に間違われることがよくあった。さらに生まれつき霊感が強く怪異に狙われやすかったため兄としては心配が尽きず、すっかり大きくなった今もその頃の感覚で過保護になってしまうらしい。
兄弟仲が良すぎて地元では有名。礼が実家を離れて大学に通うと決まったときもかなり駄々を捏ねた。一人暮らし開始早々ヤバい怪異に囲まれている礼のことはかなり心配している。できたら家に連れて帰りたいが、弟ももう大人だし……となんとか我慢している。
『寺生まれで霊感が強い』一族としては未熟な礼を遥かに上回る実力がある。アマチュアとプロの差。
ちなみに、彼の妻は幼馴染で寺烏真家の箱推し。夫がブラコンなのも微笑ましく見ているちょっと変わった奥様。
不破 倫
五条ゼミに所属する大学四年生。豊島と同じく長身の美青年だが、どこか闇を感じる雰囲気がある。一見チャラいが、たった一人愛した人にだけはとことん尽くす健気な性格。
五条教授のお気に入りの愛人だった。不倫であることは理解していて、五条にとって都合のいいように肉体関係を持ち、それだけでなく彼のためなら何でもしていた。五条先生のことを本当に愛しているのは、ここまで尽くして役に立っているのは僕だけだ、という病んだ執着を抱えていた。
五条は本当は豊島を一番の愛人にしたかったことも知っていた。故に豊島に対し激しい嫉妬心や劣等感を抱いた。同学年で成績、ルックス、人気など何もかもで比較され自分を上回る豊島が羨ましく、妬ましく、一方的に激しく憎んでいた。
正体は人間ではなく、人の魂を喰らって生きてきた人喰い鬼。驚異的な身体能力や人間の精神を惑わせる術を操ることができ、こっそりそれを駆使して五条好みの学生を堕としては献上していた。
ある時ついに豊島のことも襲い、五条に抱かせることに成功した。しかし五条が豊島ばかりに夢中になっていく光景を目の当たりにしてついに限界を迎えてしまう。どんなに愛しても都合よく利用するだけの五条に愛想を尽かし、最後には裏切る選択をした。五条の男性機能を奪い取った上、目の前で飛び降り自殺したように見せかけて五条に大きな傷跡を残した。
その後はスッパリ五条との接触を断つ。大学卒業までは五条を見て見ぬふりしつつ勉学に励むと言い切る逞しい精神に成長した。
しかし誰かを愛さずにはいられない、情が激しく深い性格から新たな心の拠り所になる人間を欲し始めた。以前は嫉妬から強く憎んでいた豊島が、酷いことをしたにも関わらず親身になって話を聞いてくれたことから感情が反転。逆に愛おしく思うようになり、セフレでもいいから付き合ってほしいと付き纏うようになってしまった。豊島のほうは郷美教授一筋のため断固拒否し続けているが、なかなか諦めてくれそうにない。
五条 秀城
元俳優で、現在は舞台演出家兼演劇ゼミを担当する大学教授。俳優時代から大人気で、今もカッコいいと評判のイケおじ。
礼たちの通う大学に勤めており、つまり郷美教授の同僚。年齢は郷美より少し下くらいでほぼ同年代だが、彼が若作りしている+郷美が敢えて老けて見える装いをしているため歳の差があるように見える。大学内ではおじ様好き女子の人気を二分しており、目立ちたがりの五条は郷美を一方的にライバル視している。しかし学生の前では好感度の上がるキャラを作っており「サトミちゃーん」と馴れ馴れしく呼びながら郷美にひっついて女子大生をキャー♡と言わせるファンサが得意。郷美は真面目に大学教授をやりたいので正直迷惑しているが、大人しいのでなかなか強く言えず困っている。そして郷美を慕っている豊島からはかなり敵視されている。
セクシーでチョイ悪な外見は、可愛らしく癒し系の郷美とは対照的。学内での態度も真逆で、学生の容姿や実績を値踏みするようなアカハラ言動は度々問題視されている。しかも、気に入った学生を愛人にして肉体関係をもっているという噂すらあった。卒業後の教え子と結婚、不倫により離婚を何度か繰り返しているためである。
噂は真実で、自身のゼミの教え子で四年生の学生・不破倫とも不倫関係にあり都合のいい性処理相手として扱っていた。
豊島の金髪碧眼のルックスや肩書きを気に入り、彼が一年の頃からしつこく自分のものにしようとアプローチしていた。しかし前述の理由から蛇蝎の如く嫌われていた。それでも諦めきれない五条は自身の言うことなら何でも聞く不破を使って豊島を拉致、強引に関係を持ってしまう。しかしそれは五条を健気に慕う不破の心を酷く踏み躙る行為であった。
最終的には、不破に愛想を尽かされ破局。実は人喰い鬼であった不破の能力で男性器を不能にされてしまった。しかも目の前で自殺する光景を見せられトラウマに。その後は一気に老け込んで大人しくなり、学生に手を出す問題行為はなくなったそう。
啓沙果 桃幻
千年ほど前、水蜜が人間として生きていたころの人物。神実村の開祖と言われている啓沙果家の子孫で、最後の当主だった。啓沙果家は元は都で活躍した陰陽師一族であったが、政争に敗れて田舎の山奥に落ち延びた。そこで神実村の原型となる集落を作り住み着いたと言われている。
先祖から代々受け継いだ陰陽師の技術を使いこなせる賢い人物だった。村の政治もとり仕切っており、村長は他にいるのにも関わらず実質的な支配者であった。優秀な上に人柄も穏やかで、村の男児を集めて教育する私塾を自身の屋敷で行なっていた。
水蜜の母はかなり若いころに村の外の男性と関係を持ち水蜜を産んだ。父親は村を去っており、大人の男性から庇護を受けられないと立場がかなり厳しい神実村で苦しい生活を強いられていた。幼い水蜜を抱えて困っていた彼女に手を差し伸べたのも桃幻であった。彼の家には子どもが産まれておらず、水蜜を養子に迎えて跡取りとして育てたいと申し出た。そして水蜜の母の生活も援助した。そのような行いから、桃幻は素晴らしい人格者としてさらに評価されることとなった。
しかし、それは表の姿、仮面でしかなかった。彼が執念深く追い求めたのは村の女神『根くたり様』の復活であり、そのために水蜜を引き取ったに過ぎなかった。水蜜を女神の巫(復活させるための生贄)にしようと目をつけたのである。
桃幻は密かに水蜜に対して性的虐待を繰り返した挙句、村中に手を回して男たちに水蜜を襲わせるように仕向けた。残虐な性教育により追い詰められた水蜜に儀式をすることを決意させ、ついに神の復活を実現させてしまう。
しかし、復活した神は桃幻ではなく水蜜に味方した。水蜜は桃幻に従わず、身に宿した神の力で彼を廃人にした。桃幻はそれすらも想定通りだと笑い、水蜜に言葉による呪いをかけてこの世を去った。彼の魂は粉々に砕かれて根くたり様に喰われてしまったため本当に跡形もなく消えてしまったのだが、現在でも水蜜の心に深い傷を遺している。